育て達人第168回 堀田 一弘

培った画像認識技術の成果を世界に発信

理工学部電気電子工学科 堀田 一弘教授(画像認識、機械学習)

国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)、国立研究開発法人理化学研究所(理研)などと共同で新しい技術を開発し、詳細が2018年12月7日夜、Nature Researchが提供するCommunications Biologyに掲載されました。タイトルは「光応答性ポリマーを用いた培養細胞の自動高速レーザープロセシング-人工知能(AI)技術に基づく判別で大量・高速処理を実現-」。堀田一弘教授はディープラーニング(深層学習)を用いた画像認識技術で開発の一翼を担い、本学の名を世界に発信しました。

まず、中身とご自身の役割を教えてください。

好きな言葉を色紙に書いた堀田一弘教授

好きな言葉を色紙に書いた堀田一弘教授

ヒトiPS 細胞(人工多能性幹細胞)の継代培養では、突発的に生じた分化細胞の除去が、現在は手作業で行われていますが、高速に取得された培養ディッシュ全域の顕微鏡観察像から未分化iPS 細胞と分化細胞を判別する方法をディープラーニングに基づいて開発しました。分化細胞は、周囲の未分化細胞に悪影響を与えます。蛍光顕微鏡画像を「教師」画像として学習し、位相差顕微鏡画像だけから不要な分化細胞を判別します。これを用いて、光応答性ポリマー層上で培養されたヒトiPS 細胞から、突発的に生じた分化細胞をレーザー照射によって自動的に除去させたところ、未分化細胞の割合を97 %以上にまで純化できました。

プレスリリース「光応答性ポリマーを用いた培養細胞の自動高速レーザープロセシング」

産総研や理研と一緒に研究したきっかけは。

学生・院生を指導する堀田教授

学生・院生を指導する堀田教授

今回一緒に研究した株式会社片岡製作所とは以前から共同研究していました。京都市にあるレーザー技術の会社です。片岡製作所との研究を通して関わりました。

12月6日の「外観検査アルゴリズムコンテスト」では、優秀賞を学生と共同受賞しました。そのエッセンスを教えてください。

3D画像から生きた細胞の抽出を行うアルゴリズムのコンテストで、企業の人が参加するため、学生が賞を取るのは珍しいのですが、4年生が工夫してやってくれました。今回はディープラーニングに必要である教師付きデータが少なかったため、効率良く学習できるような工夫を入れた所、僅差の2位となりました。

表彰記事「理工学部電気電子工学科の本多さんと堀田教授が外観検査アルゴリズムコンテストで優秀賞とレゾナンスバイオ賞」

これらを含むご自身の研究内容を語ってください。

画像認識や機械学習をやってきました。埼玉大学時代の先生が産総研の前身の一つ、電子技術総合研究所(2001年に統合・再編)の出身で、学部生のころから茨城県つくば市の研究所に行っていました。最近では、細胞生物学、材料、写真測量など異分野への応用も積極的に行っています。細胞画像の認識では、名古屋大学医学部や京都大学医学部とも一緒に研究してきました。

研究生活で転機はありましたか。

二つあります。一つは、研究所で育ったことです。プロ集団に囲まれて、彼らが楽しそうに研究している姿を見て、研究者を志しました。もう一つは、名城大学に移ってきて、2012年にアメリカのメリーランド大学に在外研究に行かせてもらったことです。ちょうどディープラーニングのブームが始まる時で、世界中から研究者が集まっていました。中国、韓国、インドから来た留学生たちの「天下を取る」といった勢いを目の当たりにし、刺激を受けました。

教育のモットーは。

自分で問題を見つけ、解決策を深く考えることです。失敗することも多いですが、これを繰り返しやらないと伸びませんし、就職してから困ることになります。

学生に向けてメッセージをお願いします。

1回は本気で何かに取り組んでみたらいい。とにかく1回真面目に全力投球してみると、面白さが分かる。自分の将来が開けるかもしれません。

時節柄、受験生にもメッセージをください。

第一志望でなくても、自分の運命だと思って、入った大学で全力を尽くすこと。与えられたところで一生懸命やることです。私は国立大学入試の前期日程で第一志望に落ち、後期日程で入りましたが、そこで頑張ったことで道が開けました。

趣味は。

野球です。埼玉大学では野球に興じ、前任の電気通信大学では、職場の軟式野球部でピッチャーをしていました。落ちましたが、学生時代にプロ野球日本ハムの入団テストを受けたこともあります。好きなチームは広島カープです。

好きな言葉を色紙に書いてください。

「文武両道」です。そのココロは、研究だけしていてもダメ。運動をして脳を活性化し、いいアイデアを出していこうという意味です。コンピューターにばかり向かっていては、いいアイデアは浮かんできません。バッティングセンターで順番待ちをしているときにひらめいたりするものです。

年末に当たり、2019年の計は。

電気電子工学科の研究室対抗ソフトボール大会で5連覇することと、カープのリーグ4連覇です。また、われわれの研究によりさまざまな分野の発展に貢献することです。

堀田 一弘(ほった・かずひろ)

1975年、水戸市生まれ。2002年、埼玉大学大学院理工学研究科情報数理科学専攻博士後期課程修了。博士(工学)。電気通信大学電気通信学部情報通信工学科から2010年、理工学部電気電子工学科准教授に就き、2018年から教授。所属学会は、IEEE(米国電気電子工学協会)、電子情報通信学会、情報処理学会、映像情報メディア学会。著書に、「学習理論」(共著、コロナ社)など。

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