育て達人第188回 西野 隆典

都市情報学部入試委員長は立体音響の専門家 目指すは音響VRの社会実装

都市情報学部都市情報学科  西野 隆典教授(音響情報処理)

都市情報学部は2022年度、「観光」というキーワードを新たに加え、「まちづくり」の学びを発展させます。学部入試委員長としてオープンキャンパスを運営した西野隆典教授に狙いなどを聞きました。

可児キャンパスから2017年度にナゴヤドーム前キャンパスに移って学部の存在感が増しました。入試委員長としての話からお願いします。

キャンパス移転後、さらに注目度が高くなってきたと感じます。都市情報学部は、社会科学、人文科学、情報学、工学などさまざまなアプローチで「まちづくり」について学べる学部です。

学部紹介サイト

オープンキャンパスの手応えはいかがでしたか。

オープンキャンパスで学部紹介をする西野隆典教授

オープンキャンパスで学部紹介をする西野隆典教授

新型コロナウイルス感染症対策のため事前予約制となりましたが、参加者の好感度は上々であったかと思います。より多くの方に注目してもらえるよう「飛躍の年」にしたいと思います。

2022年度は観光系9科目がスタートする予定です。どんなことを教えますか。

情報科学の知識に裏打ちされた「まちづくり」の観点から観光について教育をします。講義を通じて、観光のもつ魅力や可能性を発掘し、「まちづくり」に生かすことのできる人材、情報技術を身につけ、データに基づいた観光政策の分析や提案のできる人材を育成していきます。

ご自身はどんな研究をしていますか。

「立体音響」という技術について研究しています。頭部伝達関数という立体音響で使われる音響特徴に関する研究が主なテーマです。この頭部伝達関数を使って、立体的な音の伝わり方、再現の仕方などをシミュレーションするなどしています。また、その時々に興味をもったことを、学生の皆さんと一緒に研究してきました。

名古屋鉄道の「名鉄の電車音にはリラックス効果があるのか!?」という実証実験の監修をしていますね。

「1/f ゆらぎ」という現象があります。自然界にある音には1/fゆらぎが含まれていることが多く、そういった音は人に心地よいのではないかと言われています。鉄道の音にも1/f ゆらぎがあるのか、名鉄電車の走行音を分析しました。ある路線の一定区間の走行音にこの現象がみられましたので、その結果に対してコメントしました。

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※「1/f ゆらぎ」とは

パワースペクトルが周波数(frequency)に反比例している「ゆらぎ」のこと。小鳥のさえずりや川のせせらぎ、木の葉が揺れる音など自然界にある音も「1/fゆらぎ」を持ち、心地よくリラックスできる「ゆらぎ」と考えられている。

「バイノーラル録音」での研究もありますね。

人間の耳で聞いているような音を録音するためのマネキン(左)と

人間の耳で聞いているような音を録音するためのマネキン(左)と

バイノーラル録音は、両耳にマイクを置いて録音する方法で、立体音響技術のひとつです。研究室には、人間の耳で聞いているような音を録音するためのマネキンがあります。

研究の一例

「運筆音を用いた記述者識別」という論文も書いていますね。

運筆の際の微細な音を分析すると、個々に特徴があり、本人が書いたものか、他人の手になるものかはっきりと区別できます。

音響情報処理の研究をするようになったきっかけは。

研究の道を開いてくれた本を手にする西野教授

研究の道を開いてくれた本を手にする西野教授

学生時代、「仮想現実学への序曲―バーチャルリアリティドリーム」(1996年、共立出版刊)という本に出合いました。VR(仮想現実感)の特徴や可能性を総合的に紹介した本です。聴覚のVRがあることに驚きました。その後、コンピューターのハードウエアが進歩し、いろいろなVRができるようになりました。立体音響の研究は今、VRやAR(拡張現実感)システムの一部として社会実装されつつあります。

学生に繰り返し説いていることは何ですか。

自分で考える習慣を身につけること。いろいろなことに興味をもつこと。学部としてもそういう人材に入学してほしいと思います。

好きな言葉を色紙に書いてください。

「知るは楽しみなり」です。NHKテレビの人気番組だった「クイズ面白ゼミナール」で司会の鈴木健二アナウンサーの決まり文句でした。知的好奇心を満たすのは喜びです。

趣味は何ですか。

街の風景を見ながら、歩いて、地図と現実とを照合することが面白いです。星空を眺めることも趣味です。子どものころ望遠鏡をのぞいて天文家に憧れました。ゲームと漫画も好きです。「ポケモンGO」を万歩計代わりにしたり、『MASTERキートン』や『よつばと!』を愛読したり。

最後に、この際、強調しておきたいことがあればどうぞ。

学生のみなさんに対してです。困難はあってもできることからコツコツと積み上げて人生を楽しんでください。人生、着実に歩んだらいいのではないでしょうか。また、効率ばかり求めず、たまには回り道をしてもよいと思います。

西野 隆典(にしの・たかのり)

岐阜県出身。2000年、名古屋大学大学院工学研究科電子情報学専攻博士課程後期課程単位取得退学。2003年、博士(工学)。三重大学大学院工学研究科准教授から2017年、現職。日本音響学会、電子情報通信学会、情報処理学会に所属。名古屋市大規模小売店舗立地審議会委員、同市環境影響評価審査会委員などを務める。

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