大学概要【2021年度実施分】実習・体験を基盤としたHACCP教育の充実による能動学修の推進

農学部

実習・体験を基盤としたHACCP教育の充実による能動学修の推進
実施責任者:林 利哉

MS-26で掲げている価値観、“多様な経験”、“学びを楽しむ”の実現において、実習・体験教育は極めて有効である。食品衛生法の施設基準に則った食品加工施設を活用する食品加工・製造の実体験は、教室で学ぶ食品関連科目の“理論”と、自ら手を動かして学ぶ“実践”とを結びつける実学上極めて重要なコンテンツであるといえる。また、もはや食品安全の国際基準ともいわれるHACCP(危害分析・重要管理点)方式を学ぶことも、ますます国際化の進展が予想される我が国の食品業界を今後支えていく本学科学生にとって、極めて意義深いことであるといえる。すなわち本取組は、身近な題材をベースとした実践教育の場において、食の安全・安心を熟考・実行させる実体験型能動学習推進プログラムである。

ACTIVITY

食品衛生関連講義におけるHACCP教育の実施

2021/12/26

 応用生物化学科の食品衛生関連講義において、HACCPの概要と、その制度化についての勉強会を行った。NPO法人 食品安全ネットワークの協力を得て、HACCPとは、微生物汚染等の危害要因(ハザード)を分析・把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去または低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全確保を達成する衛生管理手法であり、日本国内において制度化が加速していることを学んだ。学生からは、HACCPの基本と実際を学べてよかったとの感想が届いた。

講義・勉強会の様子

食品製造学・衛生学実験(5、6月)

2021/12/26

 本学農学部応用生物化学科3年生、およそ100名に対して、食品製造・衛生学実験(応用生物化学実験Ⅶ)を、COVID-19感染予防対策を可能な限り講じつつ実施した。前半部分では、原料乳、市乳の微生物・理化学的検査等、食品衛生学的品質管理に直結する実験を行い、後半は、簡易製法によるヨーグルト、チーズ等の製造実習・実験を行った。食品衛生的配慮を伴う製造工程や原料の取り扱いにおける基礎的な理論や知識について、実践を通して学んだ。

食品衛生学的実験の様子

食肉製品製造演習①

2021/12/26

 応用生物化学科2年生のおよそ半数(約50名)と3年生(約10名)に対して、食の安全・安心に関する事前講義を1コマ、ならびに3日間の畜肉加工、1日間の醸造実習を行った。畜肉加工実習では、ひと班あたり、豚もも肉の塊(約8kg)やロース肉(約4kg)を主原料に、フランクフルトタイプのソーセージ、プレスハム、ロースハム等の加熱食肉製品を製造した。醸造実習では、大豆、麹を用いて豆味噌の製造を行った。受講生にとっては、座学として学ぶ理論と、実際に手を動かすことで得られる体験とが有機的に結びつく貴重な機会になったと同時に、食品製造工程における安全・衛生管理の厳しさと大切さを併せて体感できたものと考える。
 3年次の食品製造学関連講義の中で、それ以前に履修した食品加工実習の受講者と非受講者における食の安全・安心に関する基礎知識の定着性の比較を行った結果、今年度も、受講者と非受講者間で明確な差が生まれた。すなわち本実習受講者の方が、知識の定着性が高く、食の安全・安心に対する意識も高くなる傾向がみられた。しかしながらこの傾向は、夏休み期間中の集中実習をあえて選択する時点で、そもそも食への関心が高い可能性もあるため、引き続き調査を続け、他の属性の影響も含めた慎重かつ適切な解析をする必要がある。

畜肉加工実習の様子

食肉製品製造実習②

2021/12/29

 猪肉の有効活用を目的に、猪肉(凍結)を主原料とした嗜好性に優れたエマルジョンタイプのソーセージの試作実習・実験を行った(4年次生)。豚肉との混合や豚脂の活用に加え、分離大豆タンパク質の活用といった工夫を取り入れた製法を自身で考案して試作を行った。猪肉は、豚肉のみを主原料としたものと比較して、硬さ等の物性や結着性・保水性が高くなる等、比較的加工特性に優れた原料特性を有することが示唆された。このことは、本取組の成果の一つとして、学生らがこれまで学んできた食品製造と食品衛生に関する知識・技術を総動員し、安全で良好な品質を有する製品の製法を自らアレンジ、実践するスキルを習得できたことを示唆するものである。

猪肉加工の様子

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