大学概要【2020年度実施分】実習・体験を基盤としたHACCP教育の充実による能動学修の推進

農学部

実習・体験を基盤としたHACCP教育の充実による能動学修の推進
実施責任者:林 利哉

MS-26で掲げている価値観、“多様な経験”、“学びを楽しむ”の実現において、実習・体験教育は極めて有効である。食品衛生法の施設基準に則った食品加工施設を活用する食品加工・製造の実体験は、教室で学ぶ食品科学系科目の“理論”と、自ら手を動かして学ぶ“実際”とを結びつける実学上極めて重要なコンテンツであるといえる。また、もはや食品安全の国際基準ともいわれるHACCP(危害分析・重要管理点)方式を学ぶことも、オリンピックイヤーを控え、ますます国際化の進展が予想される我が国の食品業界を今後支えていくであろう本学科学生にとって、極めて意義深いことであるといえよう。すなわち本取組は、身近な題材をベースとした実践教育の場において、食の安全・安心を実行・熟考させる実体験型能動学習推進プログラムである。

ACTIVITY

食品安全・衛生学(講義:3年次必修)におけるWebClass掲示板を活用したディスカッション

2021/01/12

 応用生物化学科 3年次必修科目である食品安全・衛生学にて、食の安全・安心に関するお題についてWebClass掲示板を活用したディスカッションを複数回行った。その一つとして、狂牛病対策として日本が講じてきた牛の全頭検査の是非について、アメリカの対応等と対比しながらの討論を行った。安心を優先するために、科学的根拠を超えた措置をとるのか、あるいはあくまで科学的見地に則り、安全が確保できる最低ラインでとどめるのか、安全性確保の線引きは、非常に難しい選択を伴うという共通認識を得た。

食品製造学・衛生学実験(7, 8月)

2021/01/12

 本学農学部応用生物化学科3年生に対して、食品製造・衛生学実験(応化実験Ⅶ)を感染症対策により3クラスに分けて実施した。前半は、食の安全に直結する原料乳、市乳の検査等、食品衛生学的な実験を行い、後半は、簡易製法によるヨーグルト、チーズ等の製造を行った。食品衛生的配慮を伴う食品製造工程や原料の取り扱いにおける基礎的な理論や知識について、実践を通して学んだ。

【乳製品製造の様子】

食肉製品製造演習(1)

2021/01/12

 応用生物化学科 食品機能学研究室3、4年生 約20名(一部大学院生も含む)に対して、ベーコンの様な食肉製品(非加熱食肉製品)の製造演習を行った。本学附属農場の食品加工施設を利用して小規模ながら伝統的製法を実践し、原料肉の処理にはじまり、塩漬、整形、乾燥、燻煙、包装、そして製品の最終チェックまで行った。また、学生・院生の発案により、スモークエッグやスモークチキンも試作し、官能評価も行った。
 3年次の食品製造学関連講義の中で、2年次に履修した食品加工実習の受講者と非受講者における食の安全・安心に関わる基礎知識の比較を行った結果、今回も、受講者と非受講者間でポジティブな差がみられ、すなわち受講者の方が、知識の定着性が高く、食の安全・安心に対する意識も高い様子が伺えた。このことは、食品加工実習受講者は、夏休み期間中に開講される実習をあえて選択する時点で、食への関心がそもそも高いとも言えるため、今後も継続的に調査を続け、他の属性の影響も含めた慎重な解析が必要となろう。

【燻煙製品製造実習の様子】

食肉製品製造実習(2)

2021/01/12

ジビエ肉として注目を集めている猪肉の有効活用を目的に、嗜好性に優れた猪肉ソーセージの試作実習・実験を行った。学生の発案で、豚肉とのミックスや豚脂の活用に加え、植物性タンパク質素材の添加等の工夫を取り入れた種々のレシピを準備して試作を行った。猪肉を主原料としたソーセージは、豚肉を主原料としたものと比較して、結着性に優れる等、加工特性に優れ、良質な製品をつくることが可能であることが確認された。

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