大学概要【2016年度実施分】自然環境教育をとおした生物環境問題についての問題解決能力の育成

農学部

自然環境教育をとおした生物環境問題についての問題解決能力の育成
実施責任者:日野 輝明

環境問題の解決を図るためには,身近な環境において自ら問題を見つけて仮説をたて、自ら調査方法を考えて実施し、得られた結果を自ら考察・検討し、新しい問題に応用していく実践能力を有する人材を育てていく必要がある。 本事業では,奥山でのシカの高密度化,里山林や耕作地の管理放棄,都市での緑地消失やゴミ処理についての環境問題に対して取り組むための実習地を整備し,そこでの動植物の調査を通して,学生の問題解決能力を育成することを目指している。

ACTIVITY

干潟実習 (6/2更新)

2016/06/02

4月22日と5月6日に藤前干潟で1年生の実習を行いました。望遠鏡で干潟で採食するシギやチドリなどの水鳥を観察したあと,干潟に入ってスコップや網を使って捕まえたいろいろな種類のハゼ,カニ,エビ,貝などについて,活動センターで各グループで協力して名前を調べ,行動を観察したりスケッチをしました。また,センターの職員の方から藤前干潟がゴミ埋立処分場計画から守られた歴史や干潟生態系の重要性についてのお話を聞き,最後に沿岸沿いのゴミ拾いをして,干潟の保全とゴミ問題解決について各自が考えレポートを作成しました。

水田(田植え)実習 (6/2更新)

2016/06/02

5月20日に行った1年生の実習では,豊田市古瀬間町で田植えと水生動物の採取を行いました。この水田は耕作放棄された場所を昨年水田として整備したもので,農薬や肥料を使わない冬期湛水・不耕起による稲作を実践しています。学生たちは泥にまみれながらも,楽しんで田植えと動物採取を行いました。実習後は,耕作放棄地の問題や冬期湛水・不耕起栽培による生物多様性保全の効果について,各自が考えレポートをまとめました。10月にはまた実習で稲刈りをして,獲れたお米を味わう予定です。

里山林実習(8/2更新)

2016/08/02

6月10日と17日に行った1年生の実習では,豊田市自然観察の森に設置してある里山林試験地で,樹木の樹高・胸高直径の調査,地表徘徊性昆虫であるオサムシと土壌動物の採取,およびネズミの捕獲調査を行いました。この場所では,豊田市の許可を得て3年前に50m×50mの伐採を行い,伐採区では下刈りと落ち葉かきを毎年行う「管理区」と何も行わず遷移に任せる「放置区」,非伐採区では「落ち葉かき区」と何も行わない「対照区」の4タイプの試験区を設置して,動植物の比較調査を継続的に行ってきています。学生たちは,暑い中,藪をかき分けてトラップを仕掛けたり,高木の樹高を読み取るのに苦労しながらも,しっかりと調査を行いました。採取した土壌動物とオサムシは,7月8日と15日に実験室で顕微鏡下で同定作業を行いました。これらのデータをもとに,里山林管理が生物多様性に及ぼす影響について分析を行い,その結果に基づいてレポートを作成することになっています。

下刈・落ち葉かき区

放置区

奥山林実習(9/7更新)

2016/09/07

奈良県の大台ヶ原において,2年生の1泊2日の宿泊実習を8月17日から20日にかけて2回に分けて行いました。この実習では,ニホンジカの採食にともなう植生の変化が森林生態系に及ぼす影響を明らかにすることを目的にしています。初日は森林内を歩いて,ニホンジカによる森林衰退の実態を観察し、2日目は,環境省によって設置されている防鹿柵内外で,ササ,オサムシ,ネズミなどの動植物のデータを採取したり,シカ密度推定のためにの糞を数えたりしました。雨が多いことで有名な大台ヶ原ですが,今年は4日間とも天気が良く充実した実習を行うことができました。採取したデータは,後期の実験において同定したり分析を行います。その結果をもとに,人と生物と自然の共生を図っていくために,シカの個体数管理や森林生態系保全をどう進めていくべきかという問題について,学生各自が考えをまとめてレポートを作成することになっています。

水田(稲刈り)実習(10/25更新)

2016/10/25

10月7日に行った1年生の実習では,5月20日に別のクラスが田植えを行った豊田市古瀬間町の水田において稲刈りを行いました。この水田では,農薬や肥料を使わない冬期湛水・不耕起による稲作を実践しており,稲刈り時も田んぼの水を抜きません。そのため,学生たちは泥にまみれながらも,楽しんで稲を刈り,さらに刈った稲を天日干しのためにハザ掛けを行いました。また,大小の網を使って水生生物の採取を行い,自然栽培による水田における生物多様性の高さを体感しました。実習後は,別クラスと同様に,耕作放棄地の問題や冬期湛水・不耕起栽培による生物多様性保全の効果について,各自が考えレポートをまとめました。また,2週間後の10月21日には,有志の学生8名によって,現地で脱穀を行い,附属農場で精米を行いました。

都市緑地実習(12/15更新)

2016/12/15

11月21日と23日に行った2年生の実習では,天白区の相生山緑地において,現地で自然保護活動をされている団体(ラブリーアースJapan)の方たちと一緒に,陸生貝類とヒメボタルの採集を行いました。相生山緑地は,植生や地形が多様性に富んだ広大な緑地であり,かつヒメボタルの大規模な生息地でも知られています。また,陸生貝類は環境によって種類相が異なる環境指標生物で,ヒメボタルの餌となります。学生たちは班ごとに分かれて,緑地内の16箇所で土の中や低木の枝葉から小さな陸貝を熱心に探し出していました。採集した陸貝は,2週間後に実験室で顕微鏡下で同定を行って種類と個体数を調べました。学生たちは得られた結果をもとに,陸貝-ヒメボタル-環境要因との関係を分析し,都市緑地における生物多様性と環境保全の意義についてまとめたレポートを作成することになっています。

成果発表会(12/15更新)

2016/12/15

11月26日にS102で開催した生物環境科学科の公開講座にあわせて,1年生2クラス16班が「生物環境科学実習」で行ってきた調査結果を班ごとにまとめてポスター発表を行いました。学生たちは,各実習地における動植物の採集や観察の結果をもとに,干潟の保全とゴミ問題,里山林の管理,耕作放棄地と農薬の問題などのさまざまな環境問題についてしっかりまとめて,一般の方にも熱心に説明をしていました。それぞれの発表について学科教員が全員で審査を行い,合計得点の高かった上位2つの班を表彰しました。

里山林管理実習(3/3更新)

2017/03/03

1月の6日と13日に行った1年生の実習では,名東区の牧野ヶ池で水鳥の観察を行った後、豊田市自然観察の森に設置してある里山林試験地において、下刈りと落ち葉かきを行いました。この試験地では、人為的な管理が里山林の動植物に及ぼす影響について継続的に調べる実習を行ってきています。今年度最後の実習では、上級生が整備してきてくれた試験地を、次年度の1年生のために整備を行いました。学生たちは枝切りバサミやノコギリ、落ち葉かきなど普段あまり使ったことのない道具を使って、不慣れで大変骨の折れる作業を楽しみながら実施しました。

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