大学概要【2016年度実施分】地域のまちづくり活動(地域資源の活用提案)

理工学部

地域のまちづくり活動(地域資源の活用提案)
実施責任者:柳沢 究

近年、地域ならではの特徴的な産業リソース「地域資源」に注目が高まっています。本プログラムでは地域・行政と連携をとりながら、建築学科の複数研究室が主体となって、地域に存在する建築の地域資源としての価値・魅力を発掘する調査研究やワークショップ、その活用の可能性を示す提案の製作やイベントの実施を行います。2016年度は以下の二つを対象として取り組みます。
①中川運河(名古屋市中川区)の沿岸および倉庫群
②高蔵寺ニュータウン・サブセンター(春日井市)

ACTIVITY

高蔵寺ニュータウン内「岩成台サブセンター」 実態調査(10月実施) 

2016/12/26

高蔵寺ニュータウン内にあるサブセンターは住民の生活を支える施設として設置されています。人口減少や高齢化などの問題がある今、どのように活用されると良いのかについて、地域の人々と考えていきます。
まず、現状の課題や使われ方を把握するために、サブセンター内に訪れたかた、商いを営むかたにヒアリングを実施しました。
喫茶店のご主人はお客さんはニュータウン外の人が殆どだと語るなど、意外な側面も発見されました。お店が減っていくことを寂しく感じる方々も多く、楽しいアクセントになる提案が必要になるのではないでしょうか。

サブセンターは1階がテナント2階が住居

サブセンター内

遊具で遊ぶ小学生へのヒアリング

お年寄りへのヒアリング

<実態調査の結果から、サブセンターの活用アイデアについて検討> (11月〜12月)

2017/01/25

前回の実態調査の内容について分析を共有し、ディスカッションをしました。加えて、今後の活動の方向について話し合いました。
岩成台サブセンターの活用方法のアイデアを作成し、それをパネル展示として住民の方々に発表することになりました。自分達の活用アイデアと伴に、全国の先進的な事例などのポイント・アイデアなども紹介するパネルを作成して行きました。

実態調査の結果を、全員で共有し、ディスカッション

岩成台サブセンターの活用アイデアを作成していく

<1月・岩成台サブセンターにて活用アイデアについてアンケート>

2017/01/26

1月、サブセンターの活用方法について、アイデアをパネルにし、それを住民の方々に見ていただきました。当日、多くの小学生、中学生などから、意見をいただくことができました。
学生達が考えた提案について、小学生達が興味津々、熱心に耳を傾けてくれた姿が印象的でした。パネルの中には、サブセンターの空き店舗や空間を舞台に「こども夢の商店街」「勉強もできるレンタル屋台」など、大人から子どもまで楽しめるような、企画・提案が含まれており、アンケートでは、実現すると良い!と評価したものに、投票をしていただきました。年齢層によって反応も異なり、学生は自分の提案に対して生のコメントを聞くことができ、街を考えていくきっかけを得た様子でした。今後、この結果を春日井市やURなどに報告し、街の活性化に結びつけていければと考えています。

多くの小・中学生が関心を示してくれました。

パネル展示

提案内容について、熱心に耳を傾けてくれる小学生達

提案内容

中学生の気になる提案は、小学生とは少し違う様子

反省会

◆中川運河沿岸倉庫活用調査・提案プロジェクト

2017/01/26

◯4月 中川運河倉庫カタログの制作
都心から名古屋港を直線的に結ぶ中川運河(全長約8.4km)は、名古屋における経済・産業の発展を下支えてきた歴史ある運河です。現在は、水運物流の減少を背景に水上輸送は廃れ、運河に沿って倉庫が建ち並んだ風景は失われつつあります。しかし、その広大な水辺空間と昭和の倉庫群の面影が残る中川運河は、自然に生育した樹木と共存しながらも、独特の魅力的な景観を形づくっています。これらの産業遺産である倉庫の活用を見据え、柳沢研究室が2014〜2015年度に実施した沿岸倉庫の調査をまとめた「中川運河倉庫カタログ」を作成しました。倉庫一つ一つに詳細な分析を行うことで、倉庫から見た中川運河の魅力をビジュアル的に伝えると共に、特に運河の魅力的な景観創造に寄与していると考えられる倉庫を「中川運河遺産」と認定しました。

◯4月 中川運河クルーズ
4月13日午後から中川運河でクルーズを行いました。雨が今にも降りだしそうな中、名古屋港からささしまへ行き、普段は見られない運河側から倉庫を眺めることができました。木々が生い茂っているものや建物に植物のつたが張っているもの、壁が錆びているものや運河側に大きなクレーンがついているものなど、一つ一つの倉庫に異なった特色が見られ、それぞれかっこよさや運河の歴史を感じさせるものがありました。

中川運河倉庫カタログ

左)搭乗の様子 右)倉庫に生い茂る草木

◯4月 都市センターでの成果報告会
クルーズの後は金山の都市センターに移動し、市役所・管理組合・都市センターの方々に作成した中川運河カタログをお渡しし、二年間の中川運河の調査報告をしました。カタログには倉庫の特徴一つ一つが詳しく書いてあり、中身の詰まったもので市の方々にもとても好評でした。中川運河の今後の活用の仕方を話し合い、私たちも知らなかった運河の魅力について再発見できた場となりました。

成果報告の様子

話し合いの様子

◯6月 サンプル倉庫の実測調査
倉庫のリノベーションの案を考えるにあたり、中川運河沿いにある倉庫の1つを実測調査しました。実測経験者をリーダーに平面図、断面図、立面図、配置図の4つのチームに分かれて作業を行いました。倉庫の周りには植物が生い茂っており、計測することが困難な箇所もありましたが、全員で協力して全ての実測を終えることができました。
倉庫の中は外から見るよりも広く、リノベーションするにあたってこの広い空間をどのように利用するのかを考えさせられました。

実測図面を書いている様子

倉庫実測の様子

完成した提案

◯7~9月 沿岸倉庫の活用提案の作成
今まで中川運河で行ってきた活動を通して得たことをもとに私たちの中川運河に対する考えを提案の形にまとめました。中川運河沿岸の再編に必要なルールとスペースは何か、それをどのように社会的にシェアすべきか、中川運河にどうしたら賑わいをもたすことができるか、毎週話し合いを重ね考えました。最終的に、中川運河の特徴である親水性や都市の中でありながら豊富な緑地を持つことを生かし、マルシェを開催することで倉庫の管理者や利用者、周囲の人々が関わり合うという提案にまとめました。このコンペを通して、中川運河らしさとは何かということをもう一度考え直し、それをどう分かりやすく伝えるかを考える良い機会となりました。(参加学生)

◆亀崎長屋改修プロジェクト

2017/01/25

左)実測調査(内部実測の様子)中)既存軸組模型 1/50 右)地域ボランティアの石川さんと共に町を歩きながらの現地調査

◯8〜9月:亀崎町三軒長屋の現地調査・活用提案の検討
半田市亀崎地区のNPO法人亀崎まちおこし会が進める「空き家再生コンペ 三軒長屋2.0」に柳沢研究室として参加し、大正年間に建てられた三軒長屋の活用提案を行うための調査・検討を行いました。

正確な現状図面が存在しないことから、8/4に学生約8名と対象建物の実測調査を行いました。3つのグループに分かれて実測調査を行い、それらのデータを基に現状図面を作製しました。さらに、建物の構造を把握するために軸組み模型を作製するとともに、建物の傷んだ箇所の現状把握を行いました。8/31には、学生約7名で地域ボランティアの石川さんと共に亀崎町の魅了を教わりながら、町を歩いた現地調査を行いました。亀崎町独特の空間構成を感じ取りながら、家々を縫うように延びる生活道(世古道)や井戸の位置を示したプロット図を作製し、提案への情報収集を行いました。

◯亀崎三軒長屋の活用提案の制作
本コンペでは、大正年間に建てられた三軒長屋を店舗としてどのように活用すべきなのかを提案することが求められていました。私たちは、亀崎町・三軒長屋・店舗の3つが合わさるからこそ生まれる建物とは何か?といった問いをテーマとして提案内容を考えてきました。そして、三軒長屋に「都市のもの」である生活道(世古道)を取り入れた「三軒セ↑コ長屋」として、町や長屋の特徴を後世に残しつつも、都市に対して従来の建物のワクに収まらない、柔軟性のある建物の振る舞い方をうたった提案を行いました。

提案シート

提案シート

1/30 提案模型

◯10/23:公開プレゼンテーション&審査会
半田市亀崎町の来教寺にて、提案のプレゼンテーションを行いました。審査員6名による投票の結果、最終的に第2席である「優秀賞」をいただきました。審査会を終え、建築とは物質的な器(環境)をつくり出すうえで、人の行為を促したりまたは束縛したりと、その場の未来を決めてしまう影響力をもつことを実感しました。この様なつくり手としての責任を体験できたことは、学生にとって濃密な人生経験となりました。(参加学生)

プレゼンテーションの様子

いただいた賞状

  • 情報工学部始動
  • 社会連携センターPLAT
  • MS-26 学びのコミュニティ