特設サイト第89回 カレーの基本スパイス

あっという間に梅雨があけ、6月というのに猛暑日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。先日、あいち健康の森薬草園にて、愛知県薬剤師会主催のイベントがあり、そのお手伝いをしてきましたので、リポートします。

毎年6月に行っていますが、この季節ならではの講座として、愛知県薬剤師会の専務理事による「食中毒について」のお話がありました。いろいろな自然毒の話や日常の食生活での注意などがあり、これからキャンプやバーベキューの機会も増えることでしょうし、とてもよい注意喚起になったと思います。食品衛生は、薬剤師にとっても重要なことです。
つぎに、暑い季節を迎え、スパイスを有効に活用しようという薬草園ならではの企画として、カレーの基本スパイスとマサラティーの講習を、愛知県薬剤師会の薬草園分科会のメンバーが指南役となって行いました。まだまだコロナ禍でもありますので、いつもの半分の参加者での開催となりましたが、みなさん楽しんでいらっしゃいました。

薬草園イベント風景

薬草園イベント風景

基本のカレースパイス

基本のカレースパイス

マサラティー

マサラティー

八事キャンパスのウコン

八事キャンパスのウコン

カレーに用いるスパイスの代表的なものとしてターメリックがあります。
ターメリックは英語名であり、生薬としての和名はウコンです。基原植物はショウガ科のウコンですが、よく言うアキウコン(Curcuma longa)の方がなじみ深いでしょうか。成分として、クルクミンという黄色色素を含み、抗酸化作用や抗炎症作用など数多くの薬理活性についての報告がありますが、消化管からは吸収されにくいことも知られており、その作用機序についてはまだ不明な点が残されています。インドの方たちは、毎日の食事の中にウコンを取り入れており、その安全性が担保されていると言えますし、それだけ摂取する中で、クルクミンも人々の健康の維持・増進に働いているのかなと思います。一方、サプリメントなどでウコンを摂取し過ぎますと、食事として摂るよりも量が多くなってしまうこともあり、健康被害が報告されることも知られています。何ごとも、「過ぎたるは及ばざるがごとし」です。

カレーの基本のスパイスは4つで、ターメリックのほか、コリアンダーとクミン、そしてレッドペッパーを等量混ぜて完成です。当日は、クミンシードをフライパンで少し温めて香りを出し、乳鉢と乳棒で粉末にして、あらかじめ用意していたターメリックやコリアンダーの粉末と混合し、お好みで粉末のレッドペッパーと混合していただくようにしました。

薬学部の学生や薬剤師の方々にとって、乳鉢と乳棒を使って粉末にすることは基本的技術ですが、一般の方々にとってはあまり馴染みがなく、かなり力を使うと額に汗しながらの作業となりました。この時点で、すでにクミンのよい香りが漂い、今夜の夕食は是非ともカレーといった雰囲気となります。わが家でも、基本のスパイスをつかったカレー作りを始めて2年となりますが、市販のカレールーをほとんど使わなくなりました。インターネットを検索しますと、いろいろなレシピがありますし、スパイスもいろいろなものを加えることもあります。

クミンシードの粉末化

クミンシードの粉末化

鶏肉とナスとズッキーニのカレー

鶏肉とナスとズッキーニのカレー

生薬は薬としてだけでなく、このように香辛料としてもわたしたちの生活の身近にあります。あいち健康の森薬草園では、いろいろなイベントを行っていますので、是非、ご参加ください。薬草園のスタッフも愛知県薬剤師会のメンバーも心待ちしにしております。

(2022年7月1日)

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