大学概要 【2018年度実施分】女子学生のキャリア支援教育

経済学部

No.3

実施責任者山本 雄吾

本事業は,本学部女子学生のキャリア形成・就職活動支援のため,女性経営者・先輩たちの活動やこれからの目指すべき働き方に触れることによる動機付け,ビジネスに必要な実務知識の修得,国際機関等での活動体験の提供を行うものである。本事業は直接的にはキャリア支援教育であるが,自らの卒業後の職業生活を意識することで,経済学部の多様な経済・社会にかかわる講義を受講することの意義を再確認させる効果も期待している。

2019年3月13日、「仕事とくらしのインターンシップ@名城」ふりかえりの会を開催

2019/03/18

 2019年3月13日、「仕事とくらしのインターンシップ@名城」ふりかえりの会を開催しました。当日は、参加学生5名、受け入れ企業担当者、経済学部担当教員のほか、今後、本インターンシップのような企画への参加を検討している経済学部生も参加しました。
 まず、参加学生から、各体験の報告や感想、仕事とくらしを作る上で大切だと考えたことについて、報告を行いました。それぞれの体験の様子や報告を受け、受け入れ企業さんからのコメント、学生からの質問、教員からのコメントがなされ、各経験をさらに深めることができました。各体験、ふりかえり、ふりかえりの交流を通じて、仕事とくらしはそれぞれ容易ではないけれど、企業や地域、保育施設などとも協力して、覚悟をもって自らがとりくんでいけば、自ずとみちは拓かれること、そうした中でおもしろく楽しい人生を作れることなどが見えてきたように思います。

当日のふりかえりを終えた学生の感想

◯経済学部3年男性
 いろいろな人の意見や感想を聞いて、何かを犠牲にしないと幸せは手に入らないし、そういった犠牲を伴っていくことが人生だと改めて感じました。けれど、一人一人ではなくチームとしてやっていくこと、楽しむ・笑顔でいるということも非常に重要なことだと思うし、何より人生において必要不可欠なことだと思います。会社で厳しく注意されたことをモチベーションにつなげるとともに、誰かがそれらで落ち込んでいるときには支えてあげられることが会社で重要な要素であり、そういった関係を築くことが大事だと思いました。今後、働いていく上で、そういった経験を楽しみながら成長し、どんな苦しい時でも笑顔で乗りきれるそんな大人になりたいと思います。今回、このような機会を作ってくださり、本当にありがとうございました。

◯経済学部1年男性
 仕事をしながらの子育てはむずかしく、協力が必要で、犠牲にすることもあるため、大変だとわかりました。会社の中で厳しいことを言われても、ふつうに仕事ができる会社はいい会社だと思いました。ミスしたことは次直すようにしていくことを個人個人がすることがだいじだとわかりました。一人一人育った環境が違うと、見ている視点も変わり、交流することの大切さも感じました。
 私が普通に4年間すごすだけでは知ることのできない会社のことの知識を身に付けることができましたし、仕事と家庭を両立させるにはどうしたらよいのかもしることができ、とてもいい経験になりました。ありがとうございました。

◯経済学部3年女性
 仕事とくらしをこれまでにない視点で体験することができました。仕事と家庭の両立の大変さを改めて感じることができたし、大変さだけでなく、子どもがいるからこそ仕事を頑張れるし、楽しいこともあるんだと知ることができました。実際にお話を伺うことで、それぞれの家庭の形が違うので、さまざまな考えを聞くいい機会でした。自分たちはまだ子供の立場からの思いしかわからないので、親の立場での悩みや思いを知ることもできました。共働きはこれからあたりまえになっていく時代なので、家庭内での協力も必要だし、会社、地域、社会全体が考えていかなければならないと思います。
 今回のインターンシップは普段とは異なる内容の体験で、たくさんの経験ができる日程を組んでいただきました。ありがとうございました。

◯経済学部3年女性
 ふりかえりの会であらためて感じたのは、私とみんなの意見が異なっていたので、さまざまな視点があり、面白いなという点です。
 私は比較的明るいエピソードが多かったのですが、みんなの発表を聞いていると、厳しい現実のエピソードが多くて、プラス面だけでなくマイナス面(大変なこと)もしっかり頭に入れなければならないと思いました。
 仕事とくらしを考えるということは、生きること、自らの人生についてしっかり向き合うことだと感じました。この経験を忘れず、みんなの意見も吸収したいと思いました。どうもありがとうございました。

◯経済学部3年女性
 他の4人の報告を聞いて、また別の視点から捉えた話があり、面白かったです。また、違う企業、保育園の実習に行っていて、その話も面白かったです。さらに企業さんにも来ていただいて、私が体験しにいった企業の方の前で発表するのはとても緊張したのですが、発表後にほめてくださって、とてもうれしかったです。みんな発表の仕方がうまくて、自分の発表が全然まとまっていないと感じました。もっと企業の人にも先生にもしっかりと伝わるような発表にしたかったと思いました。すごく貴重な経験になりました。受け入れてくださった皆さん、本当にありがとうございました。

ACTIVITY

経済学部女子学生のキャリア支援プログラム「未来をつくるしごと」第1回講演会「あなたらしい生き方、働き方~仕事も趣味も学びもパートナーも」を開催しました。

2018/06/25

本年度、経済学部では女子学生のキャリア支援のため、「未来をつくるしごと」連続講演会を実施します。これは、女性起業家、女性が働きやすい職場環境を目指している企業・行政の担当者、本学を卒業し社会の第一線で活躍されている先輩女性の方々を講師としてお迎えし、働くことの意義、問題に直面したときに対応方法、家庭と仕事の両立などについての経験や哲学(考え方)を語っていただくものです。本講演会が、女子学生の皆さんが自分の将来を考える一つの契機となると同時に、就業に対する漠然とした不安の軽減に役立つことを願っています。

第1回講演会(平成30年6月21日開催)では、パブリック・ハーツ(株)代表取締役水谷香織様をお迎えしました。水谷様は、公共事業などに関する社会の合意形成を促進するコンサルティング事業を自ら立ち上げ、多様な分野でファシリテーターとして活躍されています。講演会では、あなたらしい生き方、働き方を実現するためのコーチング理論や、対立する意見の調整を図る合意形成方法の紹介、女性の多様な働き方の一例として、オンラインweb会議ソフト「Zoom」を使用し、実際に子育て中で在宅勤務のパブリック・ハーツ社の社員の方にも講演に参加していただくデモンストレーションなどが行われました。

2018年6月1日 国連ハビタット人間居住専門官松尾敬子氏の講演会 「スリランカにおける紛争後の再建事業」を受講して

2018/07/02

この「学びのコミュニティ創出支援事業」では、「持続可能な開発目標」(SDGs)に関心を寄せ、国際機関の英文レポートなどを意欲的に読み進めている経済学部生(ことに女子学生)が、国連等主催のレクチャー・シリーズで学びを広げることをサポート。途上国の現場で活躍される第一線の専門家の方々の取り組みをうかがいながら、自らの進路やこれからの社会を描き出すにあたって、思考をより一層深められることを期待しています。

■2016年6月1日ハビタットひろば講演会の概要

この講演会では、2013年から2017年にスリランカ北東部州で実施された国連ハビタットによる紛争後のコミュニティ・インフラ再建が主題に掲げられました。250を超える村々での具体的な生活改善の進め方・成果について、当プロジェクトを推進された人間居住専門官松尾敬子氏がレクチャーくださいました。

■国連ハビタット人間居住専門官松尾敬子氏の講演会
「スリランカにおける紛争後の再建事業」を受講して

産業社会学科2年 筒井流水

松尾敬子氏のご講話は、事業紹介映像から始まりました。住民参加の手法とされる People’s Processは、計画段階や建設中はもとより、建設後の維持管理に至るまで、 全過程で用いられていました。具体的には、まず村人を一軒ずつ訪ね、事業計画に関する会議への出席を促しますが、地域リーダーのみならず、女性や障がいを持つ人など、すべての住民が平等にコミュニティの再構築に参加する機会づくりが重要とうかがいました。村人と国連スタッフが顔を合わせ、「今後の定住、そしてさらなる発展のために、次世代に向けてどのような施設が必要か」、「その建設にあたり住民自身ができることは何か」と、語り合う場が設けられていました。

また、プロジェクトの計画から完成までの各段階では、事業実施状況のモニタリングや事業費の管理、職業訓練など細かなところまで、すべてを住民自身が行えるような工夫がなされていました。自らの意思で決定および実施できるようなプロジェクトの運営環境においては、オーナーシップが育まれ、コミュニティの「団結力」も強まります。さらに国連は、事業終了後も視野に、村人と教育省などの関係機関が協議する場も整えていました。こうした進め方が、まさに住民参加を軸にすえた手法なのだと学びました。

私は、東日本大震災の復興支援ボランティアに関わっています。この活動では、学生の有志を募り、夜行バスにて名古屋から宮城県の大島という離島へ向かい、震災当初から瓦礫撤去、小学生との野球教室、漁業・農業のお手伝いを通して島民の方々との交流を深めてきました。実際のところ、私たちの場合は、“ボランティア”と言っても、島民のみなさまに教わることばかりでした。今回のご講演を拝聴させていただきながら、改めて事業運営には相当な工夫が求められることに気づかせていただく機会となりました。

最後に、「人のことはわからないからこそ、顔と顔を合わせて話し合うべき」との松尾敬子氏の言葉が胸に響きました。5年間にわたる事業において、住民一人ひとりに向き合い、たゆまぬ情熱を注ぎ続けてこられた松尾氏には、心からの敬意を表します。

  • 松尾敬子氏が推進された事業の写真展にて(2018.6.1) 松尾敬子氏が推進された事業の写真展にて(2018.6.1)
  • ハビタットひろば講演会会場にて(2018.6.1) ハビタットひろば講演会会場にて(2018.6.1)

経済学部女子学生のキャリア支援プログラム「未来をつくるしごと」講演会を開催しました。

2018/08/02

 本年度、経済学部で実施している女子学生キャリア支援事業「未来をつくるしごと」の第3回目の企画として、2018年7月13日(金)に愛知県産業労働部労政局労働福祉課主査・扇谷めぐみ氏をお迎えし、「仕事が好き、家庭が好き そう言える働き方を~仕事と家庭のインターンシップinあいち」と題して、講演会を開催しました。
 講演会では、製造業が中軸を占める愛知県の産業構造の特徴、中小企業の果たす役割をご説明いただいた上で、県内の女性の就労状況についてお話しいただきました。愛知県では、女性の就業が進んでいるものの、M字型雇用の改善や男性の育児休暇取得の促進が全国平均に比べて遅れているなど、力を入れてとりくむべき課題も多いとのことです。また、女性と男性が働きやすい職場づくりを支援するための多様な施策を通じて、行政も働く人たちのサポートを愛知県が行っていることもお聞きしました。特に、県では、昨年から学生向け事業として、子育て中の社員の方を学生が訪ね、職場での仕事だけでなく、家庭での子育ても体験する「仕事と家庭のインターンシップ in あいち」を実施しています。講演では、映像を交えて、仕事と家庭の両立の現場を知って成長する学生さんの様子が紹介されました。
 ご講演を受けて、学生からは「どうして男性の育児休暇取得がこんなに少ないのか」「育児休業などを取得することで、労働者に不利益なことをする企業はいないのか」など、鋭い質問も出されました。それぞれの質問について、長年、県の労働行政担当者として活躍されている扇谷さんから働く現場の実態を踏まえた的確なお答えいただき、活発な議論が交わされました。
 参加した学生からは「男性の育児休暇取得が少なくて驚いたが、自分たちの世代はもっと育児にも関わっていきたいと思う」(男子学生)「仕事と子育ての両立はむずかしいと思っていたが、今日の講演を聞いて、周りの環境次第では決してできないことでないことがわかって、希望が持てた」(女子学生)、「すごく見方が変わった。学生時代の今から、なんとなくではなく、自分で動くべきだと思えました」(女子学生)など、前向きな感想が数多く寄せられ、学生時代から、将来の仕事やくらしを見据えて働き方や生き方を考えることの大切さが伝わったと思います。

経済学部の女子学生のキャリア支援プログラム「ANAビジネスソリューションによる接遇・マナー研修」を開催しました。

2018/08/21

 本年度、経済学部では女子学生のキャリア支援のため、「ANAビジネスソリューションによる接遇・マナー研修」を実施しました。これは、ANAのCA経験者による「接遇=おもてなしの心の表し方」を学ぶ、ワンランク上のビジネスマナー研修です。就職活動やインターンシップに役立つのみならず、この先、社会に出て多くの人と出会う際に大切な心「接遇」を理解し、「接遇」の表し方を基盤に、接遇力・コミュニケーション力を高めるための重要なポイントを習得することが目的です。この研修によって、気づく力や判断力を養い、入社後のクライアントとの交渉や社内の関係部署とのコミュニケーションの際にも役立つことを期待しています。
 平成30年8月2日・3日開催の「ANAビジネスソリューションによる接遇・マナー研修」では、講師として宇佐美 佳代様(ANAビジネスソリューション株式会社 専属講師)をお迎えしました。宇佐美様はANA(全日本空輸株式会社)に客室乗務員として入社後、国内線・国際線のパーサー、チーフパーサーとしてフライトを従事されました。また、客室乗務員を育てるインストラクターとして教育・訓練を務める傍ら、多くの社外講演などを務められました。
 研修では、演習と実習を中心に、社会生活におけるマナーやコミュニケーションについて学びました。スピーチの演習や模擬面接では、実習した学生一人一人に対して、講師の宇佐美様から個別に具体的なアドバイスをいただきました。和やかな雰囲気の中、学生は前向きに研修に取り組み、研修が終わる頃には表情や姿勢は見違えるように大きく成長しました。

経済学部の女子学生のキャリア支援プログラム「ANAビジネスソリューションによる接遇・マナー研修」の参加者アンケート結果が纏まりました.

2018/09/21

 本接遇・マナー研修の内容については,初めて知る内容と答えた受講生よりも,すでに知っている内容がいくつか含まれていたと答えた受講生の方が多くみられました.研修の難易度については,難しいと回答した受講生から簡単と答えた受講生まで,様々でした.しかし,この研修が今後の就職活動に役立つと思うか,については,すべての受講生が役立つと答えており,研修に対する評価の高さが見られました.

 自由記入のコメントを見ると(下記参照),研修のどういった点を評価していたのかがうかがえました.多くの受講生がまずあげていたのが,面接でどのように対応するのか,一人ひとりアドバイスをもらえた点でした.少人数で個別に具体的に指導していただけた点に対して,受講生の反応がよかったようです.また,話を聞くだけではなく実際に動いてみたことがよかったとする意見から,座学だけではなく実際に体験することで得られたものが大きかったことがわかりました.

 加えて講師の先生の丁寧なご指導に対する評価も多く聞きました.総じて受講生にとって有意義な研修であったことがアンケートよりわかりました.

 自由記入

面接の練習ができて,個人的にアドバイスももらえてよかった.今まで知らなかった基本的マナーが知ることができてよかった.
大講義室で大勢で聞くのとは全く違いました.少人数で1人1人見ていただけてとてもよかったです.少し不安でしたが参加してとてもよかったです.実際に動いてみると改善しなければならない点がよくわかります.後輩にすごくお勧めしたいです.
講師の先生が優しくて,楽しみながら研修に参加することができました.
面接での応対の練習ができてよかった.一人ひとりアドバイスをもらえて参考になった.
実習がたくさんあって,実際にやってみることができてよかった.改善しなければいけない点が発見できた.
面接の練習はなかなかできないので,丁寧に教えてもらえてよかった.
カメラを使ったり,他の人に自分を見てもらうことで,自分の問題点や良いところが客観的にわかった.研修の方の説明や対応が丁寧だった.
模擬面接の後にフィードバックがあり,役立つと思った.チェックする項目をもう少し増やしてほしいと思った.

経済学部女子学生のキャリア支援プログラム「未来をつくるしごと」第3回講演会「いろいろな働き方~わたしのキャリアデザイン~」を開催しました。

2018/09/28

本年度、経済学部では女子学生のキャリア支援のため、「未来をつくるしごと」連続講演会を実施しています。第3回講演会(平成30年9月27日開催)では、NPO法人起業支援ネット代表理事久野美奈子様をお迎えしました。NPO法人起業支援ネットは、カフェや料理教室、エステサロンやヒーリング、子育て支援、障がい者・高齢者支援などのビジネスを立ち上げるサポートを行っており、とくに女性の起業家が多いことが特徴です。講演会では、久野様ご自身の経験も含めて、自分にとっての「しごと」の意義、仕事と家庭の両立、などについて、優しい語り口でお話いただきました。

経済学部女子学生のキャリア支援プログラム「未来をつくるしごと」第4回講演会「まだ見ぬ自分の可能性を引き出す方法」を開催しました。

2018/10/11

本年度、経済学部では女子学生のキャリア支援のため、「未来をつくるしごと」連続講演会を実施しています。第4回講演会(平成30年10月10日開催)では、フリーアナウンサー/東海ラジオパーソナリティの青山紀子様をお迎えしました。講演では、進路に悩んでいる学生の皆さんに、「自分の好きなこと、自分が人より少し優位に立てることを生かした職業に就けば、楽しみながら(仕事を)突き詰められる」ことや、「過去の自分に何ができたかではなく、今自分に何ができるかという『自分力』を高めること」の重要性などをお教えいただきました。また、相手に自分を伝えるための話し方のレッスンも行いました。

2018年10月1日「世界ハビタット・デー」に関わる報告: Interview & Workshop

2018/10/22

Interview

星野幸代氏
国際連合人間居住計画(ハビタット) 福岡本部 本部長補佐官

2018年10月1日 アクロス福岡8階

 星野幸代氏は、2004年より国連ハビタット福岡本部に勤務され、イラク担当専門官として同国の戦後復興事業に従事された後、現在は本部長補佐官として、アジア太平洋地域に加えて、アフリカでの環境技術協力事業(福岡方式の廃棄物埋立場整備に向けた技術移転)などに深く携わっておられます。このたびは大変ありがたいことに、世界ハビタット・デーのワークショップに先立ち、「国際協力の現場で培われたスタンス」や「プロジェクト運営に関して大切なこと」をうかがうことができ、さらには「私たち若い世代が、次の一歩を踏み出すにあたり」、貴重なヒントをいただいてまいりました。

■国際協力の現場で培われたスタンス
 まずは、事業対象地域の「歴史、文化、価値観を深く理解すること」が基本。また、「ある意味、自分の“信念”や“軸”といったものには、こだわらないスタンスが重要」とも教わりました。昨今、ご自身は、これこそが“真”という思いよりも、むしろ視角が異なるとモノの見え方が違うことを胸に刻み、できる限り人々に「寄り添う」姿勢を大切になさっているそうです。

■プロジェクト運営に関して大切なこと
 プロジェクトには、それぞれに異なる運営上の難しさがありますが、事業目標の達成とともに大事なのは事業後の「持続性」と強調されました。「住民参加」型の事業運営には、地域社会の多様な声-特に若い世代や女性の観点や考え-を丹念に汲み取り、安全・安心なまちづくりに反映してきたという「経験」の共有が極めて重要との強い思いが込められていました。さらに、そうして築かれた「人のつながり」は、災害からの復旧・復興においても鍵になるとも説いてくださいました。
 なお、技術面に関しては、住民との対話を通じ、それぞれの対象地域の状況・条件、事業運営の持続的な維持管理・経営を勘案しながら、最適な技術を見極めていかれるそうです。また、人々の積極的な参加を促すには、設計にある程度の柔軟性も求められるようで、基本的なプランをもとに、各戸が自らのニーズに応じて付加していけるような工夫も大切と教わりました。

■私たち若い世代が、次の一歩を踏み出すにあたり
 まずは、身のまわりの関心事項に関して、「日本以外でも類似した事象が生じている状況に注意を払い、世界的な視野から理解を深めること」とのアドバイスをいただきました。たとえば、気候変動に起因するとみられる大規模水害は、日本だけでなく、世界各地で頻発し、人々の生活を随所で揺るがしている“全体像”をつかんでおくことが大切とご教示くださいました。
 また日本国内にあっては、少子高齢化に関わる諸問題への対応が急がれますが、その“切り抜け方”については、今後ますます多くの途上国からも注目されるようになるとの見立てに続けて、日本は「人工知能などの最先端技術による対処だけでなく、人間的な温かさに満ちた方策も合わせて発信できると良いですね」との期待も添えられました。

筒井流水 [産業社会学科 2年]

Workshop

世界ハビタット・デー 2018 ワークショップ
「Municipal Solid Waste Management -ごみ問題について私たちができること-」を受講して

2018年10月1日 アクロス福岡3階

 2018年10月1日、「世界ハビタット・デー」に合わせて開催された国連ハビタット・(公財)福岡県国際交流センター主催「ハビタットひろば」では、都市の固形廃棄物管理をテーマにワークショップが行われました。
 「開会: ごみ問題についての紹介」では、世界の約20億人が定期的なごみ回収サービスを受けられず、都市から排出されるごみの30~60%は収集されていない状況のもと、人々の健康や環境には深刻な影響が生じていることが提起されました。そして、地方自治体、学校、NGOs、企業など、さまざまなアクター間の連携した取り組みが求められていることを学びました。
 このワークショップにおいては、持続可能な開発目標(SDGs)について、ゲーム形式で体感する「カードゲーム 2030SDGs」に取り組みました。その後、福岡をベースに活動する市民団体がこれまでに主導されてきた実践をベースに、「ごみ問題についての事例紹介・グループ・ディスカッション」が進められました。

■カードゲーム 2030SDGs
 「SDGsの17の目標を達成するために、現在から2030年までの道のりを体験する」このゲームでは、「世界の経済・環境・社会の状況変化」を見ながら、さまざまな価値観を持った人々が「与えられたお金と時間を使って、プロジェクト活動を行い」、その結果として現れた「2030年の世界」を、ファシリテーターの方に導かれながら参加者全員で振り返りました。
 参加者からは、「世界はつながっていることを実感」、「グローバル社会の全体を感じながら行動するなかで、私も起点に」、「自分の目標を伝える/相手の目標を聞くことが鍵」、「奪い合えば足りず、分け合えば余る」などの示唆に富む感想・意見があがりました。確かに、私自身も、ゲームを通じてそのように実感しました。「ハビタットひろば」に集われる方々は、ご所属・世代において多様で、いろいろな対話・交渉の仕方を感得する良い機会となりました。

■ごみ問題についての事例紹介・グループ・ディスカッション
 特別非営利活動法人「循環生活研究所」が推進されている、自分たちの暮らす近隣生活圏(半径2km)をベースに循環型社会を構想する取り組み、「ローカル・フード・サイクリング」を、学ばせていただきました。これは、家庭から出る生ごみを焼却処分するのではなく、「ダンボール・コンポスト」で堆肥に変え、菜園の「土づくり」に活かし、そこで育てた有機野菜を食卓へという試みです。近年は、若い世代が集住する新しい住宅地区にも導入され、活動に大きな進展が見られるとのことでした。当事業は、二酸化炭素の削減にもつながります。また「土づくり」は「人づくり」に結びつき、そうした人々が暮らす地域社会は、さまざまな課題を自律的に解決し得るとの展望に、「地球的規模で考え、足元から行動する」という言葉を思い起こしました。
 私は、このところ「食品ロス」の問題に関心を持ち、映像作品の制作に取り組んできましたが、本事例紹介ならびに討議内容にも大いに触発されました。

吉田朋泰 [経済学科 3年]

  • アクロス福岡8F 国連ハビタット福岡本部にて (2018.10.01) アクロス福岡8F 国連ハビタット福岡本部にて (2018.10.01)
  • アクロス福岡3F こくさいひろば にて (2018.10.01) アクロス福岡3F こくさいひろば にて (2018.10.01)

経済学部女子学生のキャリア支援プログラム「未来をつくるしごと」第6回講演会「就職したからわかること、就職してから学んだこと」を開催しました。

2018/12/03

本年度、経済学部では女子学生のキャリア支援のため、「未来をつくるしごと」連続講演会を実施しています。第6回講演会(平成30年11月28日開催)では、パーソルテンプスタッフ株式会社の加藤まい様を講師にお迎えしました。加藤様は、本学経済学部のご卒業で、講演では、人材派遣業界についてご紹介いただいた後、営業の仕事の苦労ややりがいなどを具体的にお話しいただきました。質疑応答では、学生さんと年代が近いこともあり、就職活動の進め方などについてもお教えいただきました。

国連ハビタット福岡本部長 是澤優氏のご講話を拝聴して

2019/01/07

2018年12月10日
アクロス福岡3階 こくさいひろば

「世界の都市問題解決に向けた国連ハビタットの活動」
国連ハビタット福岡本部長 是澤優氏

経済学科 吉田朋泰
産業社会学科 筒井流水

 是澤優 本部長のご講話では、今日「持続可能な開発目標」(SDGs)に向けた取り組みが世界各地で展開されるなか、私たちの都市的な暮らしが、エネルギー消費から二酸化炭素/ゴミの排出まで、いかにグローバルな課題と結びついているのかを改めて強く感じました。また、昨今は、途上国のみならず先進国の地域間・都市内においても格差が広がり、貧困が世代をこえて固定化され、社会がまさに分断される危機に直面している状況下、国内外では社会的包摂の視点が力説されています。私たちは、その糸口のひとつとして、都市が持つ大きな力を諸問題の解決に活かす工夫が重要であることも学びました。

 2016年にエクアドル・キトで開催された第3回国連人間居住会議(ハビタット3)では、「ニュー・アーバン・アジェンダ」が都市化と人々の暮らしに関わる国際的な新方針として採択されています。また、地球温暖化に関する「パリ協定」や、東日本大震災での経験等を踏まえて2015年につくられた防災・減災の枠組み「仙台フレームワーク」は、先述のSDGsとともに、いずれも世界の諸都市が課題解決を進める上で重要な指針となっているとうかがいました。そうした国際社会での方向性を視野に、2018年2月、国連ハビタットは、マレーシア・クアラルンプールで第9回世界都市フォーラムを開催。そこでは、それらの目標等の実施を具体的にどのように図っていくかが討議され、目下、次回の2020年に予定されているアラブ首長国連邦・アブダビでの同フォーラムに向けた作業も継続されていると教わり、関係機関によるグローバルな取り組みを大変力強く感じました。

 なお、今回のご講話では、国際的な都市景観コンテストについてもご紹介くださいました。そのコンテストでは、当初、いわゆるビジュアルに美しい場所が高く評価されていたそうですが、最近は、上述のような国際社会での潮流に合わせ、いかに地域住民の方々が力を合わせ、居住環境を改善してきたのかを重視する傾向が見られるとのことで、アジアのローカル・コミュニティが受賞された事例をいくつか拝見いたしました。経済・社会のあり方を見つめ直すビデオ・コンテストにチャレンジしている私たちにとっても、作品づくりに関して貴重な示唆をいただく機会となりました。

[担当: 谷村光浩]

「仕事とくらしのインターンシップ@名城」説明会&学内セミナーを開催しました。

2019/01/08

 今年度、名城大学経済学部では「学びのコミュニティ創出支援事業」の一環として女子学生のキャリア支援として、「仕事とくらしのインターンシップ@名城」を実施します。このインターンシップは、名城大学経済学部が愛知県中小企業家同友会とタイアップして、愛知県の中小企業で働く先輩たちがどのようにして仕事を身につけ、働いているのか、そして子育てや趣味などのくらしとどう両立させているのかを、実際に体験するインターンシップ(しごと体験、くらし体験)です。また、瑞穂区で保育施設を運営する新瑞福祉会の協力を得て、保育施設で子どもがどう育つかを実際に保育園で実習することにより、体験するプログラム(子育て体験)も組み込んでいます。
 実際にインターンシップを行うのに先立ち、学生向けの説明会と学内セミナーとして、愛知県でプラスチック加工業を営む株式会社サン樹脂取締役/中小企業家同友会理事・協同共生委員会委員長の磯村裕子さんをお招きして、「自分の生き方を探る〜中小企業の現場から考える 働くこととくらすこと」と題する講演をいただきました。ご講演では、愛知県中小企業での女性就業の現状に関する解説のほか、美容師からはじまり、結婚を経て、夫の家業であったサン樹脂の経営に携わるに至った磯村さんのキャリア、働きやすい環境作りを従業員と真剣に向き合いながらつくっていくことのやりがい、仕事とくらしの両立のためにサン樹脂株式会社で行っている支援内容などをお話いただきました。
 もともとサン樹脂株式会社では、現場で働く女性が少なかったそうですが、何年もかけて男性と同じように技術を身につける女性従業員を育成するにあたり、職場環境整備はもちろんのこと、本人や同僚の意識改革も含めて必要だったこと。現在では、パートナーが出産するにあたって、男性社員が有給休暇をとれるよう、体制を準備し、男性の両立支援にも力を入れていることなどが紹介されました。
 読後の感想を見ると、学生が最も驚いたのは、中小企業経営者が働く環境整備に力を尽くしているという点です。学生はともすると企業のネームバリューや規模の大きさが働きやすさと比例していると思い込みがちで、中小企業はブラック企業だと偏見を抱きがちです。しかし、中小企業と言っても働きやすい職場づくりを目指す企業は非常に多く、実際に働きやすい職場も多くあります。磯村さんのお話で、こうした事例に直に触れたことにより、中小企業の就業条件に偏見を抱いていた自分を反省したという感想が多く寄せられました。
 また、従業員と経営者が働きやすさを模索しながら、仕事とくらしの両立を図っていることに、受講した学生は希望を持ったようです。感想では「子育てをしながら働き続けることはむずかしいと思っていたが、諦めなくても大丈夫だということがわかった」「もし失敗しても、それを軌道修正して働き続けて行けばよい」「自分自身も働きながら、考え方が変わっていくのだから、それでいいのだと思う」など、働き続ける不安ではなく希望を感じたようです。
 インターンシップの実施は2019年2月、3月を予定しています。

「仕事とくらしのインターンシップ@名城」に参加する学生と企業/受け入れ保育施設との顔合わせ会を実施しました。

2019/01/08

 名城大学経済学部では、2018年11月29日(金)に「仕事とくらしのインターンシップ@名城」に参加する学生と企業/受け入れ保育施設へのインターンシップ説明会および顔合わせ会を実施しました。参加登録を行った学生は全部で5名。しごと体験、くらし体験を行う受け入れ企業は4企業。子育て体験を行う保育施設は2施設。
 顔合わせに先立ち、経済学部からインターシップの概要、体験前・体験後を通じて学生が行うべき作業について、説明を行い、その後、実際に体験を行う企業、施設のみなさんと学生が顔合わせと打ち合わせを行いました。当日は、登録学生、受け入れ企業と施設の全員が参加しました。
 顔合わせの際、学生は少し緊張した面持ちでしたが、どのように体験先に行くのか、用意すべきものなど、一言一句をもらさずメモし、プランを具体化していきました。また、企業・施設側からは、学生に対し、体験内容に関する希望なども聞かれ、なにをどう体験するかの最終調整が行われました。
 いずれの体験も2〜3月に実施予定で、3月13日に、受け入れ企業・施設と学生が参加するふりかえりの会が予定されています。

2019年2月、「仕事とくらしのインターンシップ@名城」の各体験を実施しました

2019/03/18

 2019年2月、いよいよ仕事とくらしのインターンシップのしごと体験(企業での仕事のインターンシップ)、くらし体験(社員の子育てやくらしの様子を体験)、子育て体験(保育施設での保育体験)が行われ、経済学部生5人が4企業(株式会社・アーティストリー、サン樹脂株式会社、株式会社・エステム、有限会社・ソフィア企画)、2保育施設(たんぽぽ保育園、こすもす保育園)で、実習を行いました。
 学生たちはインターンシップを通じて、働くことと生活することのむずかしさとおもしろさ、会社や地域が仕事やくらしを支えていること、保育施設で子どもたちが力強く育っていることなどを目の当たりにし、これから自分はどう生きていくのか、深く考える貴重な機会となったようです。企業様、社員様には貴重な機会をつくっていただき、深く感謝申しあげます。

学生たちの参加記録/ふりかえりの感想(抜粋)

◯経済学部4年生・女性(実習先:エステム株式会社、コスモス保育園)
 しごと体験では水質実験や会議への参加などを行いましたが、どれもはじめての体験でした。当たり前の生活を守っていくにはたくさんの工程があることを知れたのは新しい発見でしたし、会議の仕方などは大学のゼミと通じるものがあり、大学の勉強が活かせると感じました。
 くらし体験では、社員さんのおうちに伺って、ご家族と一緒に夕飯を食べたり、遊んだりしました。子どもさんが帰る時、ミッキーのキーホルダーを作ってくれ、子どもは思いを形にするのだなと感じました。
 こそだて体験では、保育施設の1歳児クラスに入りましたが、想像以上に子どもが自分のことをできるので、驚きました。自分たちでなんでもやりたいという気持ちを強く持っていることも印象的で、保育施設は子どもの自立を促す場所なんだと感じました。
 全体を通じて、働くこと、くらすこと、生きていくことで最も大事なのは、楽しむことだと感じました。企業で働くことも仕事をしながら働いて子育てすることも、人間が生きていくだけで大変(困難)なことがたくさんあるけれど、そんな時こそ、楽しむ必要があるからだと思ったからです。受け入れてくださった企業の社員さんたちは皆さん常に笑顔で対応してくださいました。どんなことも心から「楽しい」と思って行動をすれば、人生は明るい方向に向かっていくのではないかと考えます。
 私が社会に出て一番恐れているのは、「人間関係」です。私は人と関わることが好きなので、「人間関係」でストレスを抱くことはないだろうと思っていました。しかし、社会人になり、働けば世代のちがう人たちと仕事をすることが多くなります。また、仕事の進め方や上司の方に自分の意見を伝える時は、相手に伝わる方法を自分自身で考える必要があります。これは本などで勉強したり、多くの人と関わり経験を積んでいくしかないのだと感じました。私が学生時代に積み重ねてきた「人間関係」の視野は狭かったのではないかと今回の体験を通じて考えさせられました。
 今回のインターンシップを通じ、自分自身の人生を豊かにするためには充実した毎日を自ら作っていく必要があるのだと思いました。また、待っているのではなく、自分なりの楽しみ方を見つけながら生きていくことが、働くことでも子育てをする上でも大切だと感じました。

◯経済学部1年生・男性(実習先:有限会社ソフィア企画、こすもす保育園)
 しごと体験では、社員全体でスケジュールを共有したり、仕事を一人ではなくみんなで対応したりして、子育てをしている社員が働きやすくなる工夫をしておられることを知りました。また、お客様との打ち合わせに参加させてもらい、メールや電話では伝わらない、対面で話すことの大切さを感じました。自分のサークルのチラシづくりにとりくんだのですが、多様な受け手がどう感じるかという視点でチラシを作る必要があることを知りました。
 くらし体験では、お父さんが単身赴任で、お母さんがふだんは一人で子育てをされている社員さんの買い物や保育園へのお迎えに同行しました。お昼休みをけずって仕事を早く終わらせなければならないのは大変だと思いましたが、地域やご近所とのつながりを活かして、一緒に子育てをされているのが印象的でした。また、子どものアレルギーに対応した食事に気を使わねばならなかったりと、常に子ども第一で行動されておられました。夫婦で協力することが大事だし、安心して働けるよい保育園があることが大事だと感じました。
 子育て体験では4歳児のクラスに入りました。子どもたちは活発で、必死になって遊びました。自分はちょっとしたお手伝いしかできなかったけれど、先生は休む暇もなく、子どものけんかの仲裁、食事の準備、活動をやっていて、これでお給料が低いのは問題だと思いました。17時をすぎても帰る子どもは4人くらいしかいなくて、共働きが多くなっているというのはこういうことかと実感しましたが、お迎えにはお父さんが多いのも驚きました。
 働くのは家に所得をもたらすためだけれど、単に収入がよければいいというわけでなく、家族や自分のためなどに必要な時間があるときは、犠牲にしなければならないこともある。ただし、その犠牲を減らして、それなりの収入を得ることが必要だと思います。くらし体験からは、暮らしのなかでは子どもを優先して考えること、親の都合よく子どもを扱ってはいけないこと、男女ともに父母になるという自覚がないといけないと感じました。
 生きていくことは幸せに包まれていることで、住むところがあり、パートナーがいて、子どもがいることは幸せだと思います。もちろん、お金も必要だけれど、パートナーや子どもはお金で買うことができず、一緒にいた記憶も買うことのできない、大切なものだと思います。親のかわりは誰もできないし、子ども中心で片手間に仕事をするというくらいでないと、いけないほどだなと感じました。

◯経済学部3年生・男性(実習先:株式会社・アーティストリー、たんぽぽ保育園)
 しごと体験では、研修を受けた後で、実際に職人さんのもとで作業をさせていただいた。木工加工というと、一人で職人さんが黙々と仕事をしているというイメージを持っていたが、コミュニケーションをとりながらみんなで仕事をしていて驚いた。そうした中で、上の人が頑張っていると、下の人のやる気が出ると感じた。
 くらし体験では、3人の社員さんのお話を聞くことができた。特に印象的だったのが女性の従業員(職人)の方が「もっと小さい頃から面倒をみてあげたかった」とおっしゃっていたことや男性の従業員の方が父親だとなかなか頼ってくれないと言っておられたことだ。どの方も家庭が第一というわけではなく、家庭を養うために仕事の比重を大きくしておられたことに驚いた。
 保育体験では、2歳児のクラスに入って子どもたちの面倒をみた。子どもたちが育つ上で必要な場所で、支援が必要だと感じた。
 今回のインターンシップを通じて一番感じたのは、どんな些細なことでも積み重ねていくことが大事だということだ。小さい頃は、ケンカだったり、テストの点が悪かったり、友達ができなかったりといろいろなことが成長の過程で起きるが、大人になって働いたり、家庭をもったりすると、「あのような体験ができたから、今の自分がある」と振り返ることもできるだろうと思う。一つ一つの積み重ねが「己」を作り上げ、次の世代につなげる糧になるのではないかと思う。自分が今回そういうことを感じることができたのは、働くことが第一優先ではない、家庭を支えていかなければならないと言っていた男性職員の方や、子どもと接することが好きでそれを生きがいにしているように見えた保育士さんたちなど、多くの人たちと接するなかでそれを感じたことが、私にとって大きな財産になると思う。今まで私が常識だと思ってきたことが根底から覆されたエピソードも多く聞けたし、何より子どもとふれあうことで今の新しい世代を守っていく上で自分に何が足りないのかが少なからず見えた気がする。

◯経済学部3年生・女性(実習先:株式会社・アーティストリー、たんぽぽ保育園)
 しごと体験では、研修を受けた後で、実際に職人さんのもとで作業をさせていただいた。部品だけを作っている仕事だと、最終的にどんな製品になるのか見えづらいが、この会社は家具という身近なもので0から100まで実際に作業にできることがやりがいにもつながっていることなどのお話しが印象に残った。
 くらし体験では3人の社員さんのお話を聞いた。女性、男性それぞれの目線から、お話を伺うことができた。職人さんはその仕事を好きでやられている方が多いが、仕事も家庭も両立させることはできるが、どちらかを犠牲にしているところもあり、覚悟が必要だと思った。
 保育体験では、3歳児のクラスで保育をした。先生と子どもという関係ではなく、お互いに育ち合うよい関係があると感じた。また、親と一緒に築きあげた保育所だというお話が印象に残っている。急に夜間まで残ることが決まった子どもでも泣いたりせずに「今日はここでごはんだ」などとさばさばと言っているのには驚いた。ただ、子どもを預けるのではなく、子育て支援するなど、様々に助け合っていることがわかった。
 全体を通じて、働くことはまず自分が好きだから、続けたいという気持ちがないとできないものだとわかった。ただ、3年つづけないと、本当の仕事のおもしろさは気づくことができないと仰っていた。さらに家庭を持つと、楽しいから続けるというだけでなく、所得を得るということが重要になる。子育てという点では、自分は子どもが生まれたばかりの時が大変だと思っていたが、大きくなってからのほうが、学校・進学のことであったり、悪いことをしないかということであったり、みていかねばならないことがたくさんあることも新たな発見だった。子どもが大きくなるにつれて、仕事より家庭の比重が大きくなるのは驚いた。
仕事をばりばりやりたいと思うなら、家庭・子育ての中で、何かを犠牲にしなければいけないということも理解できた。親もがまんする部分があるけれど、子どもも家族と一緒にいたいが、保育園で夜遅くまでガマンして待っていることも知り、保育園にいる子どもはとても大人だと思った。保育士さんが頑張っているからこそ、安心して子どもを預けられるし、相談できるのだなと思った。

◯経済学部3年・女性(実習先:サン樹脂株式会社、こすもす保育園)
 しごと体験では、会社の概要に関する研修やミーティングへの参加、材料探しや指示書の打ち込みなどの事務仕事を行なった。樹脂加工の仕事はほとんど知らず、行く前は不安もあった。自分は事務系が希望ですぐできると思っていたが、実際にやってみると甘く見ていたと感じた。やりがいはすごくあった。製造業だけに掃除がとても大切だった。どんな時でもチームで仕事をしていて、どこか一つの部署でもミスしたら全部に影響が出ることがわかった。個人だけの仕事ではないんだということがよくわかった。ミスを厳しく指摘されることがあったが、チームでやっているからこその厳しさで、大切なことだと感じた。
 くらし体験では、社員さんのおうちに伺って、子育てをしながらの生活を体験させてもらった。2歳と4歳の子どもをお母さんが1人で見ていて大変そうだったが、笑顔で子どもたちをみていたのが素敵だった。両立は大変なことだと感じた。
 子育て体験では、0歳児を担当した。0歳児だと、ご飯を食べてもきれいに食べられないし、おもちゃなどなんでも口に入れていたし、しゃべることもまだ十分にできないけれど、常に笑顔ではしゃいでいるし、1人1人が個性があっておもしろかった。
 全体を通じて、私が強く感じたことは「一人ではない」ということです。働くことでも一人で作業しているのではなくみんなで支え合い、意見を出し合いながら、チームでやっている。誰か一人でもかけたら成り立たないと思いました。暮らすことでは、お母さん一人で保育園のお迎えや家事をこなすのは決して楽ではないし、夫の力もあってやっとできることなのではないかと思いました。保育施設では、子どもはたくさんのことを学び、子どもたち同士でたくさん遊び、たまにはけんかすることで成長していくのだと感じました。たくさんの経験を小さな頃からできる保育施設はとても重要な施設だと思います。誰も一人では絶対に生きていけないと感じました。

◯子育て体験の様子

◯実習先の一つ・株式会社アーティストリー

2019年3月13日、「仕事とくらしのインターンシップ@名城」ふりかえりの会を開催

2019/03/18

 2019年3月13日、「仕事とくらしのインターンシップ@名城」ふりかえりの会を開催しました。当日は、参加学生5名、受け入れ企業担当者、経済学部担当教員のほか、今後、本インターンシップのような企画への参加を検討している経済学部生も参加しました。
 まず、参加学生から、各体験の報告や感想、仕事とくらしを作る上で大切だと考えたことについて、報告を行いました。それぞれの体験の様子や報告を受け、受け入れ企業さんからのコメント、学生からの質問、教員からのコメントがなされ、各経験をさらに深めることができました。各体験、ふりかえり、ふりかえりの交流を通じて、仕事とくらしはそれぞれ容易ではないけれど、企業や地域、保育施設などとも協力して、覚悟をもって自らがとりくんでいけば、自ずとみちは拓かれること、そうした中でおもしろく楽しい人生を作れることなどが見えてきたように思います。

当日のふりかえりを終えた学生の感想

◯経済学部3年男性
 いろいろな人の意見や感想を聞いて、何かを犠牲にしないと幸せは手に入らないし、そういった犠牲を伴っていくことが人生だと改めて感じました。けれど、一人一人ではなくチームとしてやっていくこと、楽しむ・笑顔でいるということも非常に重要なことだと思うし、何より人生において必要不可欠なことだと思います。会社で厳しく注意されたことをモチベーションにつなげるとともに、誰かがそれらで落ち込んでいるときには支えてあげられることが会社で重要な要素であり、そういった関係を築くことが大事だと思いました。今後、働いていく上で、そういった経験を楽しみながら成長し、どんな苦しい時でも笑顔で乗りきれるそんな大人になりたいと思います。今回、このような機会を作ってくださり、本当にありがとうございました。

◯経済学部1年男性
 仕事をしながらの子育てはむずかしく、協力が必要で、犠牲にすることもあるため、大変だとわかりました。会社の中で厳しいことを言われても、ふつうに仕事ができる会社はいい会社だと思いました。ミスしたことは次直すようにしていくことを個人個人がすることがだいじだとわかりました。一人一人育った環境が違うと、見ている視点も変わり、交流することの大切さも感じました。
 私が普通に4年間すごすだけでは知ることのできない会社のことの知識を身に付けることができましたし、仕事と家庭を両立させるにはどうしたらよいのかもしることができ、とてもいい経験になりました。ありがとうございました。

◯経済学部3年女性
 仕事とくらしをこれまでにない視点で体験することができました。仕事と家庭の両立の大変さを改めて感じることができたし、大変さだけでなく、子どもがいるからこそ仕事を頑張れるし、楽しいこともあるんだと知ることができました。実際にお話を伺うことで、それぞれの家庭の形が違うので、さまざまな考えを聞くいい機会でした。自分たちはまだ子供の立場からの思いしかわからないので、親の立場での悩みや思いを知ることもできました。共働きはこれからあたりまえになっていく時代なので、家庭内での協力も必要だし、会社、地域、社会全体が考えていかなければならないと思います。
 今回のインターンシップは普段とは異なる内容の体験で、たくさんの経験ができる日程を組んでいただきました。ありがとうございました。

◯経済学部3年女性
 ふりかえりの会であらためて感じたのは、私とみんなの意見が異なっていたので、さまざまな視点があり、面白いなという点です。
 私は比較的明るいエピソードが多かったのですが、みんなの発表を聞いていると、厳しい現実のエピソードが多くて、プラス面だけでなくマイナス面(大変なこと)もしっかり頭に入れなければならないと思いました。
 仕事とくらしを考えるということは、生きること、自らの人生についてしっかり向き合うことだと感じました。この経験を忘れず、みんなの意見も吸収したいと思いました。どうもありがとうございました。

◯経済学部3年女性
 他の4人の報告を聞いて、また別の視点から捉えた話があり、面白かったです。また、違う企業、保育園の実習に行っていて、その話も面白かったです。さらに企業さんにも来ていただいて、私が体験しにいった企業の方の前で発表するのはとても緊張したのですが、発表後にほめてくださって、とてもうれしかったです。みんな発表の仕方がうまくて、自分の発表が全然まとまっていないと感じました。もっと企業の人にも先生にもしっかりと伝わるような発表にしたかったと思いました。すごく貴重な経験になりました。受け入れてくださった皆さん、本当にありがとうございました。

  • 情報工学部始動
  • 社会連携センターPLAT
  • MS-26 学びのコミュニティ