大学概要【2016年度実施分】企業連携・教員のつながりを活用した短期派遣プログラム

理工学部

企業連携・教員のつながりを活用した短期派遣プログラム
実施責任者:上山 智

学生の企業実習はインターン等のシステムが広く活用されているが、学生の多くは受動的な実習体験になることが多く社会人基礎力を養成するという観点から見ると不十分であることが多い。本学科・本専攻では2015年度に20を超える国内外の民間企業・研究機関と共同研究や研究交流を行っている実績を有している。これまで各研究室レベルで構築してきたリソースを活用し、それらの企業へ学生を派遣し様々な取り組みを実施させる。そして、主体を大学側が持つことによって、学生が能動的に取り組むことが可能になり、それによって学生の社会人基礎力を養うことを目的とする。

ACTIVITY

エルシーイースト株式会社への派遣(5/25更新)

2016/05/25

○派遣先      エルシーイースト株式会社
○派遣先の住所   130-0012 東京都墨田区太平1-17-6鈴木興産倉庫第20号F
○日時       2016/5/18-5/20
○氏名       清木

【実施内容】
会社を訪問し、半導体レーザーを用いているプロジェクションマッピング用のレーザーを実際に見学した。

【本派遣で得られたことや今後の抱負】
半導体レーザーを産業に活用するだけでなく、プロジェクションマッピングなどのエンターテイメント分野における活用のされ方も知ることができました。学問的なことだけでなく応用例も知ることができ、興味深かったです。セミナーを受けて、これから多くのことを勉強していかなければならないと痛感しました。

レーザーEXPOの展示会に出展していたパイフォトニクス社のブースにて記念撮影です。偏光レンズを用いた箱を被っています。

レーザーEXPOの会場であるパシフィコ横浜をバックにしての記念撮影です。

エルシーイースト株式会社を訪問した際、置いてあったライトセイバーを持って、背後からプロジェクションマッピングに用いるレーザーを出してもらいながらの記念撮

レーザーEXPO、KVANT・SONY見学(5/25更新)

2016/05/25

○派遣先      レーザーEXPO、KVANT・SONY
○派遣先の住所   神奈川県 横浜(パシフィコ横浜) 東京都 品川、錦糸町
○日時       2016/5/18-5/20
○氏名       山路

【実施内容】
展示会にてレーザー技術の最先端を目で見たり、肌で感じることや、セミナー及び光学素子を用いた実験、さらに実際にレーザー光源を用いた商品や、サービスを提供している会社を見学させて頂く事で、今後の研究に活かすだけでなく、社会での利用のされ方を実感する。

【本派遣で得られたことや今後の抱負】
現在、私は学部4年生であり、数か月経つと卒研に着手していることが予想されるが、実際に光学素子を用いた実験の大変さなど、わからないことばかりであったが、実際に体験することで、非常に難しいことがわかった。さらに、レーザーディスプレイや照明といった今後期待される技術についてのセミナーを受けることで、今後、自分がこういった最先端技術の研究に携わっていくのだとわかり、現実の難しさと、研究の楽しさを感じた。今後は、研究を楽しむことを第一として、新しい技術を確立していきたい。

パシフィコ横浜に到着して会場案内と一緒に撮影

スペクトラフィジックス社との打ち合わせ後撮影

ソニー白石への派遣(8/18更新)

2016/08/18

○派遣先      ソニー白石
○派遣先の住所   〒989-0734 宮城県白石市白鳥3丁目53-2町
○日時       2016/8/3-8/4
○氏名       近藤

【実施内容】
ソニー白石の見学と実験実習

【本派遣で得られたことや今後の抱負】
今回の派遣では、実際に半導体レーザを作製している現場を見学することができ、自分が学んでいることがどのように応用されているのか、またコストや安全性といった現実的な問題点も知ることができました。これからは知識だけを詰めていくのではなくアプリケーションの面も考えていこうと思います。学生を企業に派遣する本MS26の取り組みは学ぶことの愉しみを理解するのに極めて有効だと感じ、今後も継続的に努力していこうと考えています。

SONY白石の玄関前で記念撮影

SONY白石の製品紹介コーナー

顕微鏡でプレーステーション(初代)に搭載されていた赤色半導体レーザを観察

日立建機株式会社/物質・材料研究機構/筑波宇宙センターへの派遣(9/23更新)

2016/09/23

○派遣先      日立建機株式会社 土浦工場
          国立研究開発法人 物質・材料研究機構
          国立研究開発法人 宇宙航行研究開発機構 筑波宇宙センター  
○派遣先の住所   日立建機(株):茨城県土浦市神立町650
          物質・材料研究機構:茨城県つくば市千現1丁目2-1
          宇宙航空研究開発機構:茨城県つくば市千現2-1-1
○日時       2016/9/5-9/6
○氏名       稲葉、中沖、河端、南、伊藤、森川、馬、佐藤、大参、早川、
          中島、新美、山本、林、樋田、小澤

【実施内容】
日立建機(株)、物質・材料研究機構、宇宙航空研究開発機構の3か所で各々トライボロジー部門の見学を行った。卒業研究でトライボロジーの研究を行っているメンバーが今回の派遣対象者であり、実際にどのように研究が行かされているのかの現場を見ながら研究に対するモチベーションを向上させることを目的とした。

日立建機株式会社 土浦工場での集合写真。後方のショベルは現在の形になってからの一番はじめのショベル。

国立研究開発法人物質・材料研究機構での集合写真。後方には、研究材料の材質の説明・サンプル等が展示してあった。

【本派遣で得られたことや今後の抱負】
企業の工場や国立研究所の見学を通して、様々な知見が得られた。日立建機(株)の見学においては、自分の研究に使用する材料が同じであったため、実際にショベルのどの部分にどのように使われているところを見て、実験の諸条件のイメージを持つことができた。国立研究所の見学では、ある問題に対して、どう解決していくのか、検証することにおいても、実験の諸条件を可能性のある範囲だけでなくより過酷な条件で行うことで、製品への安全を高めて信頼を得ていることを知ることができた。今後は、共同研究先の製品のことをもっと調べてから実験を行いたいと思いました。(新美)
本派遣では9月5日から6日にかけて日立建機、物質・材料研究機構、JAXAの企業見学を実施した。本派遣では主に研究開発からどのように製品の図面に反映させるかに着目し工場・研究施設見学を行った。その結果、解析と実験の双方のデータを比較し、図面の寸法公差などを決定しているとのことでした。今後、試験の方針として実験と解析を絡めて最適な試験条件、試験方法を確かめつつ精度のよい実験データをとっていきたいと思います。(樋田)
私は潤滑油の特性を研究しているが、宇宙では高温・低温での条件での試験が必要であるので、私も高温の試験条件での試験が必要となってくると感じた。どの研究員も楽しそうにしていたので、学びの愉しみという言葉の重要性を理解し、自分ももっといろいろ考えることを楽しみながら研究を進めていきたいです。(森川)
JAXAの派遣では、人工衛星に取り付けられる部品は宇宙で正常に機能しなければいけないという制約がある中で軸受の長寿命化をすることは衛星打ち上げのコストも削減できるのでこれからの軸受開発は未来を築く大切なものだと考えられていることを知りました。衛星の部品の中で玉ころ軸受を見させていただいて、その部品の油の供給量の少なさに一番驚きました。樹脂材料からセラミック材料までさまざまな材料の特性を利用して最も長持ちし、性能の良いものを作るという精神を自分も大切にしようと思いました。日立建機の派遣では、ショベルという大きな機械を生産するための工場の規模の大きさや、油圧機器内部のトライボロジーが関わる製品の多さに驚くとともに、これからのベアリングの成長の可能性を感じました。また、日本で生み出した技術を海外へと広げる力は本当に大切だと感じました。今後はグローバルな視野を増やそうと思いました。NIMSの派遣では、最新鋭の評価機械や実験装置があり、これが使えたら自分の研究も幅広い面から評価できると感じました。また、新たな材料を用いて開発した製品を売り出すためにその製品を利用した機械を作ってしまう行動力と技術力に驚きました。今後の抱負としては、新しいことを研究するにおいて材料を評価する最適条件や、物理的な反応だけでなく、化学的な反応にも目を向けることを大切にしていこうと思います。(平野)
本派遣では、日立建機、NIMS、JAXAの見学を行いました。日立建機では実際にトライボロジーが使用されている製品を知ること、NIMSではトライボロジーについての最先端の研究を体験すること、JAXAでは宇宙空間を模擬した特殊な環境下でのトライボロジーの研究に学ぶことができました。今回得られた経験は今後の研究方針を決めるのに非常に有意義なものとなりました。(大参)
本派遣では,高い技術をもつ日立建機,および国立研究所NIMSやJAXAといったトップクラスの機関におけるトライボロジーの研究を見学させていただき,大学における研究との違いを感じた.特にNIMSおよびJAXAでのトライボロジーにおけるキーワードは熱が特性に及ぼす影響であり,今後の研究に生かしていければ,研究内容が広がるのではないかと考えました.(林)

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構筑波宇宙センターでの集合写真。後方にはロケットの模型が展示してあった。

展示室にて宇宙服と撮影。展示室には人工衛星からロケット内部の操作室まで展示されており、宇宙への関心を深めることが出来ました。(平野)

サムコ株式会社への派遣(9/23更新)

2016/09/23

○派遣先      サムコ株式会社
○派遣先の住所   京都府京都市伏見区竹田田中宮町94
○日時       2016/9/9
○氏名       牛田

【実施内容】
サムコ株式会社において、本学にないプラズマCVD(PECVD)装置の見学と、本学で作製したAlGaN系紫外線センサーにSiN膜の製膜に関する実習を行った。これまでの私の修士課程の研究で、AlGaN系紫外センサーは実用化に値する素晴らしい性能を満たしていることを確認してきましたが、それを本実習を通してさらに高性能化できないかを試しました。

【本派遣で得られたことや今後の抱負】
今回の派遣では、企業での装置管理、開発、また研究に関する貴重な話を直接エンジニアの方から伺うことができました。特に、SiNxのPECVD技術に関する話を拝聴し、今後の自分の研究に大いに役立つ貴重な情報となった。また、実際に自分の研究で活用しているサンプルにこの膜を製膜し、今後紫外線センサーを作製する予定ですが、その性能が向上し、膜質と紫外線センサーの性能に関しての知見が得られたら非常に素晴らしいと思います。その結果を学会発表できればとは考えています。その他、企業の技術者と直接議論する機会はなかなかないので、このような派遣がまたあれば大変うれしく思います。

サムコが開発したSiN原料であるSN2の原料ボックス。この原料ボックスが、本装置の特長で、料であるSN2の原料ボックス。この原料ボックスが、本装置の特長で、この膜がどの程度有効なのかを今後検討する必要があると思います。

今回の見学・実習で装置の説明をしてくださった社員の方と撮影。非常に貴重な話しを多くしてくださった。また、技術的なディスカッションができて非常に良かったです。

豊田合成への派遣(9/23更新)

2016/09/23

○派遣先      豊田合成
○派遣先の住所   愛知県あま市二ツ寺東高須賀1番地1
○日時       2016/8/22-9/2
○氏名       水野、横井

【実施内容】
本派遣では、名城大学と強固に連携している豊田合成㈱が有している青色LED作製現場に2週間派遣し、試料作製から構造解析、さらにはパッケージの構造の理解と一連の解析業務を実習で行った。大学では世界の最先端を目指す研究が中心であるが、民間企業では高い再現性を持つ技術の確立の重要性を理解すること、さらには製品レベルの開発の経験を養った。

【本派遣で得られたことや今後の抱負】
講義で学んだことを、製品レベルの装置を使って解析していくことは、通常の大学内ではできないことであり、非常に良い経験を積むことができたと思います。また、実際に装置の使用方法や解析に関して企業の研究者とディスカッションしたりする経験をして、自分のたりないところや今後頑張って行かないことを理解できたという点でも非常に良い派遣だったと思います(水野)
今回の派遣では、大学にあるような最先端なプロトタイプの作製装置ではなく、実際に製品レベルの作製装置を扱うことができ、大学内にいるだけでは体験できないような経験をすることができた。また、一般的に豊田合成のような機密が多い企業への派遣は色々な難しい面が多いようですが、大学と企業の関係でこのような経験をできたのは、2週間という短い期間であったが、社会人の生活を体験できて貴重な経験となったと思います。今後研究室に配属して、就職し、働いていく中で、今回の派遣で学んだことを活かしていきたいと思います(横井)

実際に、ステムにチップを置き、ワイヤを張って作製(PKG化)したLEDを光らせたものを微分干渉顕微鏡で観察した写真。

断面研磨サンプルを作製した。このサンプルを精密切断機で切断し、研磨機を用いて研磨した。

堀場エステックへの派遣(9/26更新)

2016/09/26

○派遣先      堀場エステック
○派遣先の住所   京都市南区上烏羽鉾立町11-5
○日時       2016/8/28-9/10
○氏名       後藤

【実施内容】
材料機能工学科の教員と連携している企業の関係を活用して、本来インターンを受け入れていない堀場エステックでの実験実習を行いました。また、内容は半導体材料を作製するためのマスフローコントローラーや原料分析装置の作製・評価などの実習を伴う経験をしました。

【本派遣で得られたことや今後の抱負】
今回の派遣では、半導体原料のガスコントローラーの開発メーカで実習をすることができました。企業なので、商品を開発する上でお客様が第一であるという意識が強く、そのために開発でも計画から発売後まで全てに関わることを学びました。また、打ち合わせや実験において、コミュニケーションと情報の共有が大切であると感じました。また、今後についても深く考える機会となりました。堀場エステックには、大学4年で卒業した人もいれば、博士課程までいった人もいました。こうした人たちと関わったことで自分の考えていた以上に将来への選択しはあり、今後じっくり考え、行動していきたいと思います。また、長い目で見た時に、常に色々な視野から学ぶということが重要だと感じ、今後の学びに活かしていきたいと感じました。

R-422の光を出す光源boxとガスを通った後の光を測定するセンサーboxの組み立てを行った。

実際に作ったIR-422の試験をするためのラインです。このあと、テストを行って、実際に必要なMgやInが正常に検知できているかをテストします。

東芝 京浜事業所/ 東芝 研究開発センターへの派遣(10/27更新)

2016/10/27

○派遣先      東芝 京浜事業所/東芝 研究開発センター
○派遣先の住所   神奈川県横浜市鶴見区末広町/神奈川県川崎市幸区小向東芝町
○日時       2016/9/20.10/19
○氏名       飯田、後藤、櫻木

【実施内容】
本学科の卒業生との繋がりを活かして、学科の3年生が東芝の事業所の見学および研究所の見学と座談会に参加し、学生が自ら学ぶことの重要性を理解する取り組みを行った。本取り組みでは、事業所内および研究所内は機密保持の関係で写真撮影ができないため、撮影した写真は事業所および研究所外で撮影したものに限っています。またスライドに関しても一部機密情報のため、公開はできないので、公開できるものに限って報告します。

【本派遣で得られたことや今後の抱負】
世界でも最先端の技術を生産及び提供をしていた。それらを研究開発をしている方たちは厳しいノルマを抱えながらも楽しそうに仕事に取り組んでいる姿が見受けられた。自分も将来は研究職に就きたいと思っているので、実際にその現場の見学と社員との座談会によって目指したい将来像を明確にすることができた。今後研究室に配属されたら、真剣に研究に取り組みたいと思う。(飯田)
大学とは違う企業の研究は近い将来私たちに影響してくるものが多くあり、研究の説明を聞いているときに将来はどうなっていくのか楽しみになった。また社員の方との座談会では、女性の研究者の方と話すことができ、育児休暇などの福利厚生がとても充実しているから子育てしながらも仕事ができると聞けた。これは研究者を目指す私にとっては大切なことであり、女性も研究を続けていけるのだと感じた。(後藤)

見学の前に全体で東芝が担っている事業、将来目指していることなどを聞いた。また、東芝とはどのような企業なのかを学んだ。

事業所の見学に移動しているバスの中の様子。

工場へ向かう最中のバスの中の様子。特に本事業所は電力系の最先端のものづくりをしているということから通常見ることができない世の中のシステムに関して理解ができた。

研究所の外見と見学の様子。5年後10年後には私たちの生活に関わってくるであろう研究や開発が行われていた。また、研究所と隣接して、工場もあり研究と開発・生産が連携して新しい技術を生み出している。

京セラメディカル株式会社への派遣(11/2更新)

2016/11/02

○派遣先      京セラメディカル株式会社
○派遣先の住所   大阪市淀川区宮原3丁目3-31
○日時       2016/9/21-9/22
○氏名       水谷、伴、丹羽

【実施内容】
人工関節や人工歯根を初めとする医療機器の設計、開発、製造および販売を行っている京セラメディカル株式会社を訪問した。そこで、主に整形外科分野用の医療機器(人工股関節や人工膝関節)の製造方法および製造技術の知識を習得し、実際に製造に携わっている技術者の方からも話を聴講した。

【本派遣で得られたことや今後の抱負】
本派遣を通じて、人工股関節の実際の製造工程を初めて見学することができ、非常に貴重な有意義な体験をすることができた。また、自分の研究テーマである「生体用チタン合金」と人工股関節は密接しているので、実際の製造現場に携わっている技術者の方とコミュニケーションを取り、今後研究に役立てそうな知識の習得努めることを強く意識し取り組むことができた。(伴)
本派遣での実習内容により、自身の研究に関わりの深い企業が現在行っている先端技術に触れ、人工関節をはじめとするインプラントの開発およびその後の加工製造技術を学び理解を深めることができました。今後この貴重な経験を生かし、現在行っている研究をさらに深めていきたいです。また、将来自分が働く上での心構えも考えることができたので、今から意識して残りの学生生活をすごしたいです。(水谷)
自分たちの実験では、チタン合金の諸特性を調査することを目的としており、それがどのような製品となり、どのように用いられているかについて深く触れることがありませんでした。しかし、このように企業派遣をさせて頂いたことにより、それがどのような形になり、どのような患者さんにどのように用いられているのかを知ることができ、今後の研究を進めていくにあたって、どのようなことに注意すればよいのか、そしてどのような特性が求められているのかをより深く知ることが出来ました。今後はこの経験を活かし、更に研究に励みたいと感じました。(丹羽)

▼写真①
人工股関節の製造方法および製造技術の知識を習得するという目的のもと、簡単な説明を聴講した。製造方法はまず患者個々のカルテ、CTおよびMRIから3次元的な骨モデルおよび適切なサイズ・形状の人工股関節モデルを構築する。日本国内での人工関節のシェアの約9割は欧米製であるため、日本人の体型に合致したものが少ない上に、生活様式(日本の高齢者は畳に正座するケースが多いため必要となる稼動域が大きい)も異なるため、日本人患者に適切なモデルをカスタムメイドで作製する必要があることを学んだ。また、人工股関節のステムやカップ部分にHA(ハイドロキシアパタイト)および銀を用いた、京セラメディカル独自の表面処理技術を施すことによって、骨伝導性および抗菌性を付与するという技術は私の研究を進めていく上で参考になった。

▼写真②
人工股関節はカップ、ライナー、骨頭およびステムで構成されており、それぞれのパーツには異なる材料が用いられている。高力学的特性が必要なステム部分には私の研究テーマに該当するチタン合金が用いられており、骨頭にはアルミナベースのセラミック製の骨頭を用いていることを学んだ。ステム部分には京セラメディカルが開発したバナジウムフリーチタン合金を用いており、生体為害性がなく、加えて力学的特性に優れていることを学んだ。また、骨頭には従来はCo-Cr合金を用いることが主流であったが、京セラメディカルが扱う人工股関節の骨頭はアルミナとジルコニアを8:2の割合で配合したBIOCERAM AZ209という自社開発製品であり、高純度アルミナ製の硬度の2倍、ジルコニア製より破壊靭性が約18%高く、外部応力や衝撃からも強いということを学んだ。

写真①:人工股関節と人工股関節の作製の際に用いる鋳造容器、様々な大きさの人工肢関節のシステム部分

写真②:人工股関節のカップ、ライナーおよび骨頭、人工股関節の一式

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