大学概要【2018年度実施分】企業連携・教員のつながりを活用した短期派遣プログラム

理工学部

企業連携・教員のつながりを活用した短期派遣プログラム
実施責任者:六田 英治

学生の企業実習はインターン等のシステムが広く活用されているが、学生の多くは受動的な実習体験になることが多く社会人基礎力を養成するという観点から見ると不十分であることが多い。そこで、本学科では、2016年度からMS-26の事業として民間企業との共同研究を発展させる形で、学生の短期派遣プログラムを実施し、学生が能動的に学ぶ機会を整えてきた。本取り組みでは、これまで各研究室レベルで構築してきたリソースを活用し、それらの企業へ学生を派遣し様々な取り組みを実施させる。そして、主体を大学側が持つことによって、学生が能動的に取り組むことが可能になり、それによって学生の社会人基礎力を養うことを目的とする。これまでの取り組みとして、東芝、堀場エステック、SONY、日立工機など多くの企業との連携できるための下地は構築してきたことから、このネットワークの拡大を目指す。

ACTIVITY

アドバンス理工(株)への派遣

2018/06/19

■派遣日時:平成30年6月18日
■派遣場所:神奈川県横浜市・アドバンス理工株式会社
■実施内容:アドバンス理工㈱において、高温アニール装置の見学ならびに、持って行ったサンプルの高温アニール処理を行い、結晶品質の変化に関する実験を行った。

■学んだことに対する抱負:
現在私は、卒業研究を行っています。その中で、レーザー構造で用いるAlGaN結晶に関する研究を行っています。その結晶性の向上をめざし、新たなる手法として本研究室では実施できない高温のRTA(高速熱)処理に関する検討を行いました。普段から1500℃程度での加熱に関する実験は行っていましたが、本実験装置では1700℃を超える熱処理が可能であり、そのサンプルを本学に持ち帰って今後結晶性の変化などに関して検討する予定です。
 今回は企業に派遣させていただき、企業の様子や、仕事についての話も聞くことができました。企業での仕事の様子を少しだけですが、垣間見ることができました。今後就職活動を行っていく中で、大変参考になることだと思います。今後将来のための参考にしていきたいです。

アドバンス理工の装置前での写真撮影。中央が私で、両端は派遣先の企業研究者

高温アニール処理装置でアニールしている様子

高温アニール装置にサンプルをセットする様子

実験前の実験についての打ち合わせの様子

大阪チタニウムテクノロジーズへの派遣

2018/08/28

■派遣日時:平成30年8月23日
■派遣場所:(株)大阪チタニウムテクノロジーズ
■実施内容:
チタンの原料である天然ルチル及び合成ルチルから、クロール法と呼ばれるマグネシウム還元法によってスポンジチタンとチタンインゴットに製錬する技術を学ぶ。また、製錬時に生成した塩化マグネシウムを電気分解で塩素とマグネシウム分解してリサイクルする技術を習得する。
■学んだことに対する抱負:
私の研究室ではチタン合金に関する研究をしているが、チタンが実際にはどのような方法で製錬されているのかを学んでいなかったため、今回の工場見学ではチタンについて学ぶ良い機会だった。今はチタン合金の加工や熱処理などによって求める特性を持たせるようにしているため、製錬について学んだ知識を今後の研究活動に活かしていきたい。また、チタン合金は宇宙開発からプラント・建材・身近な製品に至るまであらゆる分野で使用される材料であることを改めて学ぶことができた。

チタン鉱石、コークス、スポンジチタン チタンの原料となる鉱石はほとんどがルチル鉱であり、これに塩素とコークスを加え、高温で化学反応させ、中間材料となる粗塩化チタンを精製した。

チタン製品を見学しているときの様子(1) チタンと他の金属との重さの比較やチタンがどのような製品に使われているかを見学した。

チタン製品を見学しているときの様子(2)

ソニーセミコンダクターマニュファクチャリング(株)白石蔵王テクノロジーセンターおよび東北大学金属材料研究所への派遣

2018/09/21

■派遣日時:平成30年9月10日~平成30年9月11日
■派遣場所:ソニーセミコンダクターマニュファクチャリング(株)白石蔵王テクノロジーセンターおよび東北大学金属材料研究所

■実施内容:
ソニーセミコンダクターマニュファクチャリング(株)白石蔵王テクノロジーセンターおよび東北大学金属材料研究所での施設見学

■学んだことに対する抱負:
ソニーセミコンダクターマニュファクチャリング(株)白石蔵王テクノロジーセンターでは、半導体レーザの生産工程を見学させていただいた。また、生産工程を見学したことで、半導体レーザの内部構造を知ることができた。社員の方とのお話で就職後も勉強は必要であり、大学での特に基礎学問の勉強は会社に入ってからの勉強の役に立つと伺った。また、基礎学問の勉強は専門科目を理解するために必要だと考える。そのため、専門科目の理解や就職後の勉強の助けとするために基礎学問の復習を怠らないようにしていこうと思う。
東北大学金属材料研究所では、様々な機械を見せていただき、その用途について説明を受けた。また、その機械は自ら修理、改造することもあると聞き、設計など勉強も勉強しておいたほうが良いと感じた。どのような知識がいつ役に立つかは、わからないのでこれからは様々な知識を多く身につけていきたいと思う。

ソニーセミコンダクターマニュファクチャリング(株)白石蔵王テクノロジーセンター前

東北大学金属材料研究所前①

東北大学金属材料研究所前②

高松帝酸株式会社にて施設見学及び打ち合わせ、サンプル処理

2018/12/20

 私は現在、卒業研究にて複合材料の強度向上を目指してCNF(カーボンナノチューブ)の表面改質を行っています。高松帝酸株式会社様には簡単には行うことが出来ないフッ素処理を用いたCNFの表面改質を共同研究という形でご協力いただいています。
 打ち合わせでは、今までのサンプルのデータと様々な論文を参考にしまして、今後のフッ素処理をどのような条件で行うかの検討を行いました。
 施設見学ではフッ素処理施設を中心に見学させていただきました。フッ素は単体ですと人体に
有害ですし、他の物質を腐食してしまう危険な物質なので、その為の設備や対策、環境への配慮についても同時に教えていただきました。他にも、もともとはガスを取り扱う会社であるので珍しい移動式水素ステーションもありました。

高松帝酸株式会社前

フッ素処理装置

移動式水素ステーション

活動報告1

2018/12/20

 1日目はMST様(一般財団法人材料科学技術振興財団)に伺い、GaN/AlInN多層膜試料を加工したFIB装置の実際の外見を拝見しながらMST様からの説明を拝聴しました。説明によるとFIB装置とは、集束したイオンビームを試料表面に走査させて試料を削る装置である。具体的には装置の上部に搭載されている液体金属イオン源から発生したGaイオンを、イオン源の下部にあるアパーチャ(レンズの口径)や集束レンズで集束してビームにし、下部にある対物レンズで試料表面に焦点を合わせ、偏光器によって試料表面に走査させエッチング加工を行います。ビーム照射によって試料表面から放出される二次電子を検出器によって検出して、検出データを装置の横にあるディスプレイ上に表示させ走査イオン顕微鏡像を得て加工状況を確認します。TEM試料の厚みを0.1μm以下まで薄くしました。
 2日目、3日目はそのTEM試料を東京工業大学の三宮研究室にある球面収差補正電子顕微鏡R005を使用して高分解能で試料観察を行いました。東京工業大学のR005 の操作方法で田中研のJEM2010と違う部分はZemlinタブロー法により対物レンズの様々な収差を測定し補正を行ったことや、Specimen Position機能により観察場所を記録して試料全体の位置を把握することが出来ることです。今回は試料が破損していたのでGaN/AlInN多層膜部分を観察することが出来ませんでしたが、田中研のTEM(JEM-2010)より性能の良いR005 を使用することで、今回はGaN結晶の一部と思われる部分の格子縞を観察することが出来ました。現在、得られたTEM像の格子縞や回析図形からGaNの格子定数、面間隔と一致しているのか解析中です。本来の目的であった GaN/AlInN多層膜部分を観察するため、もう一度MST様に試料を再加工して頂き、R005で再び観察する予定です。
 本派遣を通して、試料の加工方法、試料の形状、試料を高分解能で観察するための球面収差補正方法など卒業研究で必要な知識をさらに深めることができ、とても充実した派遣となりました。

MST東京本部の門の前で撮影した写真 会社内部での撮影は禁止されていたので会社の屋外でMSTの方に撮影して頂きました。

収差補正電子顕微鏡R005で試料を観察している様子 装置は地下1階にあり、部屋の内壁には周囲の磁場を打ち消す磁気シールドが施されています。R005は加速電圧が300kVで、分解能は1Å以下まで観察可能な装置です。

強化2軸ホルダーの先端部の写真 観察装置R005に挿入する強化2軸ホルダーの先端部の写真です。ホルダーの先端部に試料を設置する部分があり、ピンセットで試料を円形部分にセットしてスペーサで試料を固定しています。

共振器形成装置の見学と扱い方に関する実験実習

2019/01/16

 私は、修士論文のテーマの一つとして、GaAs系半導体レーザのデバイス作製、端面コートの作製・評価をしています。そのデバイスの作製工程において、共振器形成という非常に重要なプロセスがあります。
 今回、実際に自分で共振器形成を行う前に、株式会社オプトシステム東北事業所様に装置の見学をさせていただきました。間近で企業の方の装置の使い方や扱い方の見学をすることで、今後の私の研究スキルの向上になりました。
 この実験は自分の修士論文のために欠かせない非常に価値のある重要な実験であったため、そこで得られた知見を更に発展させ、さらなる新規デバイスの作製に貢献していきたいと考えております。

株式会社オプトシステム東北事業所前にて 1

日立ハイテクノロジーズでの走査電子顕微鏡実習

2019/02/20

走査型電子顕微鏡の性能、使いやすさ等を確かめるために、日立ハイテクノロジーズ大阪ソリューションラボにてデモンストレーションを行った。その際、実際に自分たちで作成している試料を用いてデモンストレーションを行った。さらに、普段は行っていない評価方法も試すことが出来た。今回の派遣で、新しく導入を考えている装置や普段使っている装置について詳しく理解することが出来た。これによって、今後の研究でより幅広い評価をすることが出来るようになったので、活かしていきたいと思う。

日立ハイテクノロジーズ 大阪ソリューションラボの玄関で撮影した写真です。このラボには日立ハイテクノロジーズが扱っている様々な評価装置が置かれており、デモをすることが出来ます。

実際に装置の説明及びデモを担当して下さった社員の方との写真です。装置について、詳しくそして分かりやすく説明していただきました。非常に参考になる話が多く、普段の評価で活かせるものばかりでした。

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