大学概要【2018年度実施分】社会連携・最先端展示会・セミナーへの学生派遣と最先端技術のふれあい

理工学部

社会連携・最先端展示会・セミナーへの学生派遣と最先端技術のふれあい
実施責任者:六田 英治

 MS-26で本学科は世界最高レベルの研究拠点の構築や大学院修士課程への進学率50%以上を目指し取り組みを進めている。本目標を達成するためには、学部・大学院生が世界の最先端技術とそれをベースにした世界規模での企業活動に直接接することで、自分の夢を広げ、それを実現するための研究開発に積極的かつ自発的に取り組む姿勢を養うことが必要不可欠である。そこで、本事業では、学生がアジア最大級のIT・エレクトロニクスの国際展示会であるCEATEC JAPANなどの最先端展示会や近隣の国際会議場等で開催される国際セミナー等へ派遣し、学生のモチベーションを高め、学びのコミュニティを形成することを目的とし実施する。

ACTIVITY

有機金属化合物気相成長法に関する国際会議への参加

2018/06/19

■派遣日時:平成30年6月3日~平成30年6月8日
■派遣場所:奈良県奈良市・奈良春日野国際フォーラム
■実施内容:
奈良市・奈良春日野国際フォーラムで行われた有機金属化合物気相成長法に関する国際会議に参加し最新の研究調査を行いました。
まず、研究発表を通じて、他研究機関の研究者と議論を交わすことにより、本研究における現状の課題および今後行うべき実験内容を明確化することができました。さらに、他研究機関の研究調査を通じて、本研究を円滑に進めるためのヒントを得ることができました。また、1週間という会議期間を利用して外国の若手研究者との連携を進めました。
■学んだことに対する抱負:
今回の取り組みを通じて得られたことを生かして、今後も研究に取り組んでいきたいと考えています。

他研究機関の研究を調査中

会議の運営に参加し、学術研究に対するエンカレッジを行いました

外国から本会議に参加した若手研究者との交流をはかりました。

その場X線回折測定の実験と原理学習

2017/07/12

■派遣日時:平成30年6月28日~平成30年7月2日
■派遣場所:大型放射光施設Spring-8
■実施内容:
本派遣では、兵庫県にある大型放射光施設Spring-8のビームライン11にて放射光実験を行ってきた。同研究室の山田氏の分析目的であるグラフェンの析出成長中の「その場X線回折測定」を先輩・先生方と一緒に行い、Ni触媒中への炭素の固溶および析出過程をリアルタイムで観察してきた。この測定は大学レベルの放射光装置ではできない規模の大型放射光施設Spring-8の強力な放射光とその場観察装置を用いて実験を行ってきた。その結果、炭素のニッケル触媒への固溶および析出過程を従来の測定より詳細に解析することができた。また放射線安全講習や Spring-8の各ハッチの使用方法やルール、分析装置や解析ソフト等の使用方法を教えて頂き学んだ。

■学んだことに対する抱負:
私の研究テーマと直接の関わりが少ない分析内容でしたが、世界的にも規模の大きい装置と優秀な職員の方々から分析の仕組みを教わる・参考論文を頂くなど、X線回折やRHEED等の材料分析をより深く知ることができてこれからの研究に活かせる部分が非常に多くありました。またこのビームライン11のin-situ観察・MBE装置では窒化物半導体結晶を成長する系も備わっており、私の結晶成長のテーマで将来的に使用させて頂くことを踏まえてこれからの研究の進捗をより効率的に行っていきたいと考えました。

解析ソフトを使用する私

ハッチ内でのX線軸調整法を学ぶ私

ハッチの開閉法を教わる私

解析データについてメモを取る私

Spring-8夏の学校

2018/07/13

■派遣日時:平成30年7月7日~平成30年7月11日
■派遣場所:大型放射光施設Spring-8
■実施内容: 放射光の原理と利用研究に関する講義及び実習
 7/8~7/9は実施内容に関した講義を受講した。それに加え、X線自由電子レーザーSACLA及び大型第三世代放射光施設Spring-8の見学が行われた。7/10は以前利用したサブミクロン集光放射光ビームによる局所領域回折実験に関した実習及びSpring-8の加速器収納部の見学。7/10にはその場XAFSに関した実習が行われた。

■学んだことに対する抱負:
 以前実験を行った際は実験系に関して不透明な部分が多くありました。今回の派遣を通して測定によって生じる物理的誤差や検出器の選択意義、各ビームラインの特徴など、測定によって生じる誤差についてだけではなく、測定系に関して理解を深められたように感じます。卒業研究において、今回得た知識を土台として、より深い学びや研究意義を得られるよう邁進していきたく思います。
 加えて、卒業研究に則したことばかりではなく、講義及び実習に加え、他大学の学生や研究者との交流を通して、これまで知りえなかった測定手法や研究分野について知り、自分自身の研究分野について伝える努力をすることで、学内では到底、気づくことのなかった学びを得ることができました。大きなモチベーションを持ち、他の研究者に対して研究意義と得られた知見とこれからの展望が伝わるような、目的意識をもった研究を行っていきたいです。

講義室近くのSpring-8(Super Photon Ring-8 GeV)の加速器内で使われていた実験系の一部。

X線自由電子レーザーSACLA(Spring-8 Angstrom Compact free-electron LAser)の加速管。熱電子銃から出て、収束された電子をマイクロウェーブによって加速する。

実習であるその場のXAFS(X-ray Absorption Fine Structure)を行っている様子。

結晶工学スクールへの派遣

2018/08/03

派遣日時:平成30年7月30日~平成30年8月2日

派遣場所:東京農工大学 小金井キャンパス 新1号館1階グリーンホール

実施内容: 結晶工学に関する科学・技術の普及を目的として毎年開催されている。結晶成長、構造解析、電子、光物性に関わる基礎的内容を厳選、教育者として優れた講師陣から、このスクールのために作成された実践的な教科書を用いて学ぶ。(内容は以下参照)

学んだことに対する抱負:

 今回の派遣を通して、卒業研究の内容である局所X線サブミクロンビームを用いた半導体材料の構造評価に関連した講義を受講することができた。これから結晶工学スクールで得られた知見や資料を用いてさらなる理解及び解析、調査を進めていきたい。加えて、お世話になっている先生方にご挨拶、普段の疑問点や講義中の疑問点を質問会により解消することができ、有意義な派遣となったと感じる。得られた知見を糧に、研究をより効率よく、深いものにしていきたいと考える。

結晶工学スクールの開催場所である東京農工大学の正門を撮影。

講義間の休憩の様子。

結晶工学スクールの開催箇所である東京農工大学 小金井キャンパス 新1号館1階グリーンホールの前で撮影。

CEATECへの派遣

2018/10/22

■派遣日時:平成30年10月16日~平成30年10月17日
■派遣場所:幕張メッセ
■実施内容:
 半導体メーカーや自動車メーカー、機械メーカー等の最先端技術と、台湾やインド、アメリカ合衆国といった海外企業の展示を見学し、今の企業が求めている研究材料を学ぶ。
■学んだことに対する抱負:
 スタンレー電気は自動車企業ではなく光に注目した企業であることが分かり、現在、高出力深紫外LEDを用いて水を殺菌する技術を研究していると知りました。以前のUV殺菌デバイスにはランプを使用していたので、LEDに進化したことで長寿命且つ低コストに水を殺菌することができるようになりました。村田製作所では、透明でフレキシブルな“超薄型センシングフィルム”と形状の自由度が高い“全固体薄膜電池”を学びました。これらの新技術が開発されたことで、曲面やフレキシブルに曲がる物体にフィルムを付けることができ、そのフィルム上にリチウムイオン2次電池を乗せることが可能になりました。自分の進路を考える上で大変興味深かったです。(田先)

CEATEC入口

CEATEC会場

スタンレー電気前

ダイキン最新空調機の体験

窒化物半導体国際ワークショップへの派遣

2018/12/20

■派遣日時:平成30年11月11日~平成30年11月16日
■派遣場所:石川県金沢市 ANAクラウンプラザホテル
■実施内容:
窒化物半導体に関する国際学会IWN2018に参加し、世界中で行われている最新の研究動向を学習した。LED、LD、パワーデバイス、トランジスタ、欠陥の評価など様々なジャンルの報告がされていた。また、企業のブースも用意されており、最新の半導体評価装置についてお話を伺うことができた。
■学んだことに対する抱負:
私が研究を行っている長波長のLEDに関する報告もいくつか聞くことができた。長波長LEDをより光らせるサンプル構造を知ることができたので今後の自分の研究にいかしていきたい。また、最近私が取り組んでいた下地超格子構造の効果に関する新しい知見も得ることができたため、これを参考にして次に自分がなにをするべきかをしっかり明確にしていきたい。

学会会場の前での写真

企業ブースの様子

発表会場の様子

東京オートサロンに参加

2019/01/22

 幕張メッセで開催された東京オートサロンに参加し、現在の自動車業界で採用されている技術や今後必要となるような技術の展示を見学した。自動車メーカーだけでなく、部品メーカーや音響メーカーなどの展示も多く見ることができた。

会場入口付近で撮影

ブリヂストンによるタイヤの展示

高性能ダンパーの実演。ダンパーに100kgの重りを落としても重りに載せられたグラス内の液体は微動だにしない。

デンソーによるスパークプラグの展示

JSAP EXPO Spring 2019 に参加

2019/03/18

JSAP EXPOには約170社の会社が最先端の装置を展示しており、それらは分野ごとに分けられていました。私の配属される研究室では物性などの解析についてより深く学ぶことから、今回私は特に、分析の分野に重視して会社の展示会に参加しました。分析の手法は非常に多くあり、それぞれの分析手法に得意、不得意がありますが、ただ測定できればよいのではなく、より良い精度で、材料に適した分析手法の選択が非常に重要であることを学びました。
おおまかに、分析手法には、質量分析法、電子分光法、電子顕微鏡観察・分析、振動分光、X線回折関連、SPM関連、非破壊検査・故障解析、加工法・処理法、に分けられ、私が学校で学んだRaman測定は振動分光に、XRDはX線回折関連に、TEM、SEMは電子顕微鏡観察・分析にそれぞれ分類されており、この3つの分析手法内でさえ、まだ知らない分析手法が聞いただけでも15種類以上あり、非常に多くの分析手法について学ぶことができました。また、その原理について簡単に紹介されているカタログなども貰えたため、今後の勉強に非常に役立つと思っています。
 EXPOに参加していた会社のうちの一社である、MSTという会社は、分析サービスを受諾分析している会社であり、半導体、金属、電池などのエレクトロにクス分野から、ライフサイエンス分野などに広く分析を行っており、学生にも分析の楽しさ、やりがいをわかりやすく説明してくださいました。サンプルを分析するという仕事についての理解を深めることができたと同時に、モノを生産する以外の仕事を知ることができ、新たな視点から企業をみることができるようになりました。また、東レリサーチセンターという会社も分析を行っている会社で、SEM、TEM、EELS、やその他の分析手法を用いてスマホの中身を解析してみるといったことや、競合他社の電子デバイスの構造解析といった、リバースエンジニアリングについて学ぶことができました。リバースエンジニアリングでは、特許についての詳細な情報が得ることができ、トラブルの原因などを明らかにできる、分析技術の向上に役立つといった利点があることをしることができました。分析技術だけでなく、最先端の装置についてもたくさん見学してきました。専門的な知識が必要な機械がほとんどであり、あまりわからないものも多かったのですが、コンピュータで自動的に作製できる!や、自動的に成長条件などのパラメータが蓄積され、比較が簡単になるよ!といった、実験装置とコンピュータプログラムが融合したような装置が多かったことから、機械学習などについての知識の重要性や、最近のトレンドなどについて、知見を広げることができました。(豊田)
 平成31年3月9日から平成31年3月12日まで開催されたJSAP EXPO Spring 2019の展示会へ参加した。まず、ハイソル株式会社の展示内容及び製品紹介を聞いた。ハイソル株式会社では、主に半導体製造装置や加工装置、分析装置の輸入販売を行っている。輸入販売以外にも、自社製品の開発、製造、販売も行っており、その中でもマニュアルタイプのワイヤーボンディング装置は、新機構であるX-Y-Z 3軸マイクロマニピュレータという特許技術を搭載していて、これを用いることで簡単かつ確実なダイボンディングを行うことが可能である。また、プローバーは小型化されていて、個片から小径ウェハの測定をすることができることを教えていただいた。そのほか、熱処理装置や自動真空・ガス置換電気炉、劈開装置、スピンコーターなどが展示されていた。次に、一般財団法人材料科学技術振興財団(MST)の話を聞いた。MSTでは、主に受託分析という企業や大学の研究室からの依頼を受けて様々な分析や評価を行っている。分析できる製品としては、半導体、金属、電池などのエレクトロニクス分野から医療品、化粧品、食料品などのライフサイエンス分野まで幅広く対応している。このような様々な分野に対応していることから分析手法も様々な手法があり、SIMS、XPS、TEM、SEM、Raman、XRDなどがあげられる。また、X線CT法では、試料にX線を照射することで二次元透過像を得ているが、試料の位置を変更することで局所的な部分を見たり、全体を見たりすることができる。今回では、ボールペンの先端部分と全体像を見させてもらった。そのほか、Slice&Viewで2Dデータを重ね、位置を合わせていくことで3Dデータを作成することができるという技術を教えていただいた。また、より多くの情報を短時間で正確に判断していくためにAIの技術を分析、評価に取り入れ、人間ではわからない情報やより定量的な評価を行うことができるようになった。これに加えて機械学習させることによりラベリングが可能となる。次に東レリサーチセンターの話を聞いた。東レリサーチセンターもMSTと同様に受託分析を行っている。今回の話では、スマートフォンを分解してそれらを断面SEMなどで観察したものを例に挙げ、デバイス構造を知るうえで、分析の重要さを教えていただいた。特にリバースエンジニアリングと呼ばれる製品を解体して、それぞれの部品を分析及び評価を行って他社との技術の優劣、特許技術などの詳細な情報を得るということが非常に重要である。このリバースエンジニアリングを行うことで、製造プロセスの解明、トラブルが起きた際のより詳細な原因の究明、各企業の開発の方向性、トレンドなどがわかり、技術発展に伴って分析に求められるニーズが把握できるため分析技術の向上につながることを教えていただいた。そのほかモノづくりにおいて分析技術の発展がなければ、モノづくりの発展はしていかないことを教えていただいた。今回の展示会において、材料を扱ううえで、製造装置の仕組みを理解して扱うことや分析及び評価が非常に大切であることを学んだ。今回学んだことを今後の研究活動や仕事に生かしていきたいと思う。(大森)

JSAP EXPOのホール入口で撮った写真です。 関係者の方に伺ったところ、展示会内での撮影はご遠慮くださいとのことでしたので、今回、内部の展示会の写真は撮影できませんでした。

東京工業大学の入り口での写真です。手に持っているのは、JSAP EXPOに参加してことで貰った機械分析手法カタログや、抽選会などで当たった景品などです。

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