大学概要【2025年度実施分】他施設協働による段階的な多職種連携教育の実践
薬学部
本取組では、チーム医療で活躍できる薬剤師の育成を目標として、1年次から体系的かつ、段階的に目標を設定し、薬学生が他大学の医療系学部(他職種)の学生と共に「チーム医療」を学びます。すなわち、低学年では「多職種の役割」「病いを有することの意味や医療者として患者への共感」について、高学年では病院や在宅での実臨床を想定した症例と模擬患者・家族を活用して他職種の学生と「チーム医療の重要性」について学びます。
ACTIVITY
医薬学入門IPE チーム医療を支える多職種連携教育の実践:「他の職種の役割を考え、理解する」(活動報告1)
2025/10/31
2018年度より多職種連携教育を名古屋大学や藤田医科大学の医学部の1年生と合同講義を行っています。薬学部1年生は「薬学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版):改訂コアカリ」による講義改訂に伴って、2024年度からプロフェッショナルリズムの講義の一環として、名古屋大学との合同で医薬学入門IPEを対面で、藤田医科大学とはオンラインにて開催しました。
〇名古屋大学:10月15日(水)と22日(水)の2日間、本学薬学部1年生194名(15日129名、22日65名)は、名古屋大学医学部1年生114名(15日56名、22日58名)との合同講義「医薬学入門IPE」に参加しました。本講義は、地域医療における終緩和医療や末期医療の中で医療人としての倫理観を涵養するための多職種連携教育として位置づけられています。本講義の目的を以下に示しました:①多職種連携教育カードゲーム(iPEC)を通して、医療・介護・福祉系専門職名と各職種の役割を学ぶ、③地域医療や緩和医療に関する映画を通して、医療人として必要な倫理観などについて学習する、③少人数グループにて、グループワークに必要なコミュニケーション能力と態度を身につける、④自らの意見をプレゼンテーションする。
本講義の午前では、各学部学生は、名城大学八事キャンパス薬学部と名古屋大学鶴舞キャンパス医学部に分かれて、映画「ピア」を鑑賞し(写真1・2)、その後、名城生は名古屋大学医学部に移動しました。午後のグループワークでは、薬学生と医学生が1つのグループとなり、薬学生や医学生のティーチングアシスタント(TA)はiPadを用いて手順を説明しながら、アイスブレイクとして自己紹介と多職種役割ゲーム(写真3・4)を行いました。その後、映画「ピア」鑑賞して地域の患者やその家族たちに対する医療について、「将来の医師・薬剤師として、地域医療に関わるときに大切にしたいこと、大事なこと」を課題として、思ったこと、感じたこと、疑問に思ったことをグループにて出し合い意見を集約し(写真5)、それをまとめて発表しました(写真6)。参加した薬学生からは、カードゲームを通じて「多くの医療職種の役割・連携を知ることで、患者・家族にどのような医療を提供しているか、多職種との連携の重要性について学ぶことができた」、シネメデュケーションを通して「地域医療に関わる多くの職種の関係やその必要性について、さらに情報共有しながら連携して患者・家族に何ができるかを常に考える重要性を感じることができた」などの感想が共通してありました。このように、本活動目標が十分に達成できたと強く感じました。なお、本取組は事例集として、以下のURLで紹介されています。
:https://joueikai-navi.com/wp/wp-content/uploads/2025/10/peer_0016.pdf
本講義のスケジュール:
午前:各大学にて映画鑑賞(写真1と2) ※映画鑑賞後、名城生は名古屋大学医学部に移動
午後:対面でグループワーク実施:アイスブレイク ①自己紹介・多職種連携カードゲーム(写真3・4)
⇒ ②KJ法でのグループワーク(シネメデュケーション)(写真5) ⇒ 発表(写真6)
〇藤田医科大学:10月22日(水)、本学薬学部1年生67名は、藤田医科大学医学部の1年生122名との合同講義「プロフェッショナリズムⅠ」に TEAMSを用いてオンラインで参加しました。
本講義のスケジュール(TEAMSにてグループワーク)
午前:アイスブレイク ⇒ 講義「臨床倫理とは」、DVD「見えない終止符」視聴・分析・発表
午後:DVD「ある家庭の事情」視聴・分析・発表、チームワーク①についてグループワーク・発表
⇒ 映画鑑賞・分析 ⇒ チームワーク②についてグループワーク・発表
模擬患者・家族参加型多職種連携教育 in 名古屋大学:選択特別講義「ウェアラブルカメラ装置を用いた地域におけるIPE」(特別IPE)(活動報告2)
2025/11/21
2016年度から5年次の単位認定として実施しています多職種連携教育(IPE)の2025年度 選択特別講義「ウェアラブルカメラ装置を用いた地域におけるIPE」(特別IPE)が、名古屋大学医学部鶴舞キャンパス 鶴友会館にて開催しました。
名城大学の薬学(5名)、名古屋大学の医学(3名)、看護学(8名)や理学療法学(1名)、および日本福祉大学の社会福祉学(3名)の専攻科生が3グループに分かれて実施しました[全20名参加:11月17日(月)]。高齢化社会の介護医療・地域医療をテーマとして、「患者を生活者として理解した上で、患者や家族の医療ニーズを理解することができる療養計画を立案する」ために 5学科の学生(医・薬・看・理学療法・社会福祉)がチームを組み、グループワーク(GW)を行いました。すなわち、シナリオを元に症例検討した後、ウェアラブルカメラ装置を装着した1つのグループが模擬患者・家族が待つ和室へ移動し、他の2グループはウェアラブルカメラ装置を装着せず、患者・家族中心の在宅訪問診療を模擬体験しました。
特別IPEを通じて、①チームコミュニケーション力や他職種の役割について、②生活者としての患者・家族の思いについて、③多職種連携の意義とその効果の実感について、体験学習しました。ウェアラブルカメラ装置を装着したグループの様子は、各職種の視点での動画、また全員で患者、患者家族、5職種の視点を7場面同時に撮影した動画で確認しました。ウェアラブルカメラ装置を装着したグループは、①自らの訪問診療映像を後で振り返ることにより、何を意識して模擬訪問診療をしていたか、自職種の役割、自分のコミュニケーションの取り方、そして自分の態度について省察しました。他の2グループは、②同じ職種や他職種の訪問診療映像を見て、自職種や他職種の役割、模擬患者・模擬患者家族がグラス越しに視た映像を見ることで、患者・家族はどういうことを気にしているか、これらについて洞察しました。このように、全員でその場面を動画にて確認できたことから、「自分ならどうするのかを振り返ることができた」「遠隔診療や面談への応用ができることは良かった」という意見が多数ありました。在宅での多職種連携の意義とその効果を実感するという目標が達成できたと強く感じました。
本講義のスケジュール:
1.チームビルディング(オリエンテーション・アイスブレーク)(写真1)
2.ミニレクチャー(多職種連携の理想と現実)
3.グループワーク:シナリオの医療情報の共有(GW1)、患者理解と問題抽出や訪問診療の準備(GW2)
4.模擬患者・家族に対する訪問診療(情報収集)(写真3)
5.訪問診療で得られた情報整理:
1)得られた情報を統合し、チームとしての課題と解決策の議論(GW3)
2)各職種にてウェアラブルカメラ装置での撮影動画の視聴:自職種について相違の振り返り(GW4)
3)各職種(自職種)で気づきの共有(GW5)
4)7分割動画を視聴し、グループで他職種および患者・家族の視点に対する気づきの共有(GW6)
6.グループワーク課題の発表と振り返り
患者とその家族との面談(左はウェアラブルカメラ装置の装着、右は非装着)での様子(写真3)
模擬患者・家族参加型多職種連携教育 in 名古屋大学[地域における専門職連携教育“つるまい・名城 IPE(多職種連携教育)”:アドバンスケアプランニングIPE](活動報告3)
2025/11/26
2025年度InterProfessional Education(IPE:多職種連携教育=専門職連携教育)は、5月17日(金)から開始されました[12月5日(金)まで、全17回中14回に名城生53名、他大学30名参加予定]。本IPEは、2016年度から5年次の単位認定として実施しています。
医療現場で患者中心の質の高い医療を提供するためには、専門職連携を実践できる能力は不可欠です。そのため、①各専門職の役割や視点を理解する、②チームコミュニケーションに必要な態度とスキルを身に付ける、③患者中心医療の重要性を理解することを本学習目標としています。さらに、昨年度から④ACP(アドバンスケアプランニング)の概念を踏まえて、医療ケアを実践することを学習目標に加えました。 ACPとは人生の最終段階で受ける医療やケアなどについて、患者本人と家族などの身近な人、医療従事者などが事前に繰り返し話し合う取り組みのことです。討論する症例は「認知症と糖尿病に加え、誤嚥性肺炎を繰り返す患者」であり、現代の高齢化社会での問題となっている認知症と糖尿病を取り上げ、認知症の患者が誤嚥性肺炎となったときのACPについて考えることができるシナリオを用いています。
効率よくグループワークを行なってもらうため、5月7日にはIPEについての導入講義を行い、自己学習として、①今回使用するシナリオを配信し、②IPEについての動画と解説、③認知症に関する各医療職用の3種類の動画、 ④ACPや誤嚥性肺炎の成因と予防に関する動画を視聴してもらいました(名城大学のホームページ名城IPE:https://yyipe.meijo-u.ac.jp)。当日は、薬学生、医学生と看護学生、あるいは歯科衛生学生は5~10名程度で1グループとなり、他の専門職種に対する心理的障壁を如何に解決するかを涵養します。以下のスケジュールで、各職種の専門的視点からの議論と相互理解のもと、患者自身でなく、患者家族にアプローチするという取組で行いました。
【IPEスケジュール:患者の療養指導とご家族に対する療養生活支援計画を作成】
全体で、オリエンテーション・自己紹介・チーム医療(写真1) ⇒ グループに分かれ、①ミニレクチャー(各職種)⇒ ②シナリオの問題点抽出(写真2) ⇒ ③薬・医・看護学生別々に医療面談(写真3) ⇒ ④情報を共有・統合・療養計画作成 ⇒ ⑤グループごとに、療養計画について医療面談、フィードバック(写真4)。
②④でのグループワーク(写真2)や③での模擬患者家族への医療面接(写真3)においては隣室のブリーフィングルームに設置されているモニターと音声から学生の様子、活発に討論がされているかを医・看護・歯科衛生の学部教員と観察しました。
終了後の薬学生のアンケートでは、①他の職種と真剣に患者・家族について検討できた、②ACPについて考えることができた、③家族とどのように接したらよいか理解できた、④患者・家族からのフィードバックではどのようなことを望んでいるかを知ることができた、などの回答が多くありました。一方で、時間が短かったという意見も多数ありましたが、本活動目標が達成できたことを強く感じました。





