大学概要【2023年度実施分】他施設協働による段階的な多職種連携教育の実践

薬学部

他施設協働による段階的な多職種連携教育の実践
実施責任者:野田 幸裕

本取組では、チーム医療で活躍できる薬剤師の育成を目標として、1年次から体系的かつ、段階的に目標を設定し、薬学生が他大学の医療系学部(他職種)の学生と共に「チーム医療」を学びます。すなわち、低学年では「多職種の役割」「病いを有することの意味や医療者として患者への共感」について、高学年では実臨床を想定した症例と模擬患者・家族を活用して他職種の学生と「チーム医療の重要性」について学びます。

ACTIVITY

模擬患者・家族参加型多職種連携教育 in 名古屋大学[地域における専門職連携教育“つるまい・名城 IPE(多職種連携教育)”:対面でのポリクリIPE](活動報告1)

2023/07/24

 2023年5月8日に、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に変更されました。取扱いの変更に伴い、2023年度InterProfessional Education(IPE:多職種連携教育=専門職連携教育)は、従来と同様に対面にて5月19日(金)から開始されました[12月15日(金)まで、全16回22名参加予定]。本IPEは、2016年度から5年次の単位認定として実施しています。
 討論する症例は「認知症が疑われる糖尿病の患者」であり、現代の高齢化社会での問題となっている認知症と糖尿病を取り上げました。効率よくグループワークを行なってもらうため、5月8日には事前講義としてIPEについての導入講義を行い、自己学習として、1)IPEについての動画と解説、2) 今回使用するシナリオ、3) 認知症に関する各医療職用のビデオ教材の3種類を視聴してもらいました(名城大学のホームページ名城IPEの:https://yyipe.meijo-u.ac.jp)。
 薬学生、医学生と看護学生はグループ(1グループ5~6名)となり、各職種の専門的視点からの議論と相互理解のもと、患者自身でなく、患者家族にアプローチするという取組で行い、1)他の専門職種に対する自職種の役割、2)チーム医療の重要性の理解、3)他の専門職種に対する心理的障壁を如何に解決するかを涵養します。
 
【IPEスケジュール:患者の療養指導とご家族に対する療養生活支援計画を作成】
 全体でオリエンテーション・自己紹介・チーム医療(写真1) ⇒ グループに分かれ、①ミニレクチャー(各職種)⇒ ②シナリオの問題点抽出⇒ ③薬・医・看護学生別々に医療面談 ⇒ ④情報を共有・統合 ⇒ ⑤全員で医療面談 ⇒ ⑥療養計画作成 ⇒ 全体で療養計画発表とフィードバック(写真5)。
 
②④⑥でのグループワーク(写真2)や③⑤の模擬患者家族への医療面接(写真3)においては隣室のブリーフィングルームに設置されているモニターと音声から学生の様子、活発に討論がされているかを医学部教員と観察します(写真4)。終了後のアンケートでは、1)他の職種と関わることがないので非常に良い機会となった、2)他の職種との相互理解に役立った、3)患者やその家族の視点からのフィードバック(写真5)が患者の理解につながった、4)他の学部学生の患者への考え方や向き合い方などを学ぶことができた、などの回答が多くありました。

全体でオリエンテーション(写真1)

②シナリオの問題点抽出(グループワーク:写真2)

③各職種で医療面談(写真3)

ブリーフィングルームからの様子(写真4)

模擬家族からの フィードバック(写真5)

医薬学入門IPE チーム医療を支える多職種連携教育の実践:「他の職種の役割を考え、理解する」(活動報告2)

2023/10/22

薬学部1年生は薬剤師の使命Ⅱの講義の一環として、2018年度より多職種連携教育を名古屋大学や藤田医科大学の医学部の1年生と合同講義を行っています。2022年度に引き続き、本年度の名古屋大学との合同講義はオンラインと対面でのハイブリッドにて、藤田医科大学とはオンラインにて開催しました。
〇名古屋大学
10月11日(水)と18日(水)の2日間、本学薬学部1年生228名(11日77名、18日151名)は、名古屋大学医学部1年生111名(11日55名、18日56名)との合同講義「医薬学入門IPE」に参加しました。本講義は、地域医療や緩和医療の中で医療人としての倫理観を涵養するための多職種連携教育として位置づけられています。本講義の目的は、①多職種連携教育カードゲーム(iPEC)を通して、医療・介護・福祉系専門職の名前を知り、それぞれの職種の役割を学ぶ、③地域医療や緩和医療に関する映画を通して、医療人として必要な倫理観などについて学習する、③少人数グループに分かれて、グループワークに必要なコミュニケーション能力と態度を身につける、④自らの意見をプレゼンテーションすることを学習する、としています。
本講義の午前では、各学部学生は、名城大学八事キャンパス薬学部と名古屋大学鶴舞キャンパス医学部に分かれて、ZOOMで結んでオンラインにてオリエンテーションを行い、その後、映画「ピア」を鑑賞し(写真1・2)、その後、名城生は名古屋大学医学部に移動しました。午後のグループワークでは、薬学生や医学生が1つのグループとなり、 iPadを用いて薬学生や医学生のティーチングアシスタント(TA)が説明しながら(写真3)、最初にアイスブレイクとして、自己紹介と多職種役割ゲーム(写真4)を行いました。その後、映画「ピア」鑑賞して地域の患者やその家族たちに対する医療について、「将来の医師・薬剤師として、地域医療に関わるときに大切にしたいこと、大事なこと」を課題として、思ったこと、感じたこと、疑問に思ったことをグループにて出し合い意見を集約し(写真5)、それをまとめて発表しました(写真6)。参加した薬学生から「カードゲームを通じて、他職種の役割・連携について学習することができた」「シネメデュケーションを通して、地域医療や多職種連携の重要性を感じることができた」などの感想が多数ありました。
本講義のスケジュール(オンラインと対面のハイブリッド):
 午前:ZOOMを用いたオンラインでのオリエンテーション ⇒ 各大学にて映画鑑賞(写真1・2)
  ※映画鑑賞後、名城生は名古屋大学医学部に移動
 午後:対面でグループワーク実施:アイスブレイク ①自己紹介・多職種連携カードゲーム(写真3と4)⇒ ②KJ法でのグループワーク(シネメデュケーション)(写真5) ⇒ 発表(写真6)
〇藤田医科大学
10月11日(水)、本学薬学部1年生76名は、藤田医科大学医学部の1年生130名との合同講義「プロフェッショナリズムⅠ」に TEAMSを用いてオンラインで参加しました。
本講義のスケジュール(TEAMSにてグループワーク)
 午前:アイスブレイク ⇒ 講義「臨床倫理とは」、DVD「見えない終止符」視聴・分析・発表
 午後:DVD「ある家庭の事情」視聴・分析・発表、チームワーク①についてグループワーク・発表 ⇒ 映画鑑賞・分析 ⇒ チームワーク②についてグループワーク・発表

名城大学での映画鑑賞の様子(写真1)

名古屋大学での映画鑑賞の様子(写真2)

iPadを用いてカードゲームの説明(写真3)

カードゲームの様子(写真4)

グループワークの様子(写真5)

発表の様子(写真6)

模擬患者・家族参加型多職種連携教育 in 名古屋大学:選択特別講義「地域におけるIPE」(特別IPE)(活動報告3)

2023/12/04

2016年度から5年次の単位認定として実施しています多職種連携教育(IPE)の2023年度 選択特別講義「地域におけるIPE」(特別IPE)が、名古屋大学医学部鶴舞キャンパス 鶴友会館にて開催されました。昨年度までは、多職種にて模擬患者・家族との医療面接を通して情報収集を行い、患者中心の在宅療養計画を作成しました。本年度は「ウェアラブルカメラを用いて、模擬訪問診療を多職種学生チームが体感する」という取組で行いました(写真1)。名古屋大学や日本福祉大学の医学、看護学、社会福祉学、および理学療法学・作業療法学の専攻科生が6グループに分かれて実施しました[名城大学薬学部7名参加:11月27日(月)]。高齢化社会の介護医療・地域医療をテーマとして、 5学科の学生(医・薬・看・理学療法、あるいは作業療法・社会福祉)がチームを組みディスカッションを行いました。すなわち、シナリオを元に症例検討したのち、模擬患者・家族が待つ和室へと移動し、患者・家族中心の在宅訪問診療を模擬体験しました。このIPEを通じて、①チームコミュニケーション力や他職種の役割、②生活者としての患者・家族の思いに気づくこと、③多職種連携の意義とその効果を実感することを体験学習しました。
今年度初めてウェアラブルカメラを用いた取組であり、ハード面では動画ライブの音声が少し悪かった場面もありましたが、 You tubeの動画で何度もその場面を見られたのは好評でした。模擬患者・家族との直接話す機会が昨年度までは全グループで、今回は代表の2グループと少なかったことはありましたが、他の学生の実施状況を知ることができたのは良かったという意見は多数ありました。本年度の反省点を踏まえ、改善した運用で実施したいと思います。

本講義のスケジュール:
1.チームビルディング(オリエンテーション・アイスブレーク)(写真2)
2.ミニレクチャー(多職種連携の理想と現実)
3.グループワーク(患者理解と問題抽出や訪問診療の準備)(写真3)
4.模擬患者・家族に対する訪問診療(情報収集)(写真4)
実施手順として、6グループは、前半グループ(3グループ)と後半グループ(3グループ)に分かれます。前半の3グループの内、1つのグループがウェアラブルカメラをつけて、患者宅を訪れて模擬患者・家族との医療面接を実践します。残りの1つのグループは隣室でその様子を観察し、もう1つのグループは講義室にてウェアラブルカメラからのライブで様子を観察しました。これを後半グループも実施します。
5.グループワーク(前半・後半グループの動画を視聴し、各職種の視点や患者・家族の視点を省察する)
6.グループワーク課題の発表と振り返り(写真5)

ウェアラブルカメラから抽出した各職種と患者・家族の動画(7分割画面)(写真1)

オリエンテーションの様子(写真2)

グループワークの様子(写真3)

患者とその家族との面談の様子(写真4)

グループワーク課題の発表の様子(写真5)

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