学部・大学院科目 Pick Up
人間学特別演習
本科目は、人間学研究科を構成する〈心理〉、〈社会・教育〉、〈国際・コミュニケーション〉の3分野が共通して直面している現代社会の問題に対して、各分野独自の視点からアプローチを試みるとともに、それぞれの分野が相互に深く関連していることを具体的に体験し、理解することを通じて、総合的な問題解決の可能性を探求する導入科目です。授業では、各分野のテーマに即した演習を行い、最後にそれらを総合した研究にも取り組みます。各分野の基本的な研究法の習得に加え、人間学研究に不可欠な総合的・学際的な視野と手法の習得が期待されます。
コミュニケーション特別演習
本科目は、現代社会において真正のコミュニケーションが強く求められる場面での実体験を通して、コミュニケーション能力に支えられた実践力の向上と、〈心理〉、〈社会・教育〉、〈国際・コミュニケーション〉の3分野共通で応用できる人を対象とする基礎的な研究方法の習得を目的とした本研究科の必修科目です。事前指導で基礎的な研究方法を学んだうえで、調査先で現地の経験的・実証的把握を行い、現状と課題の分析を進め、その過程で利害や立場の異なる人々とのコミュニケーションを深めます。事後指導では、調査先の現状と課題を踏まえ、利害や立場の統合調整に向けた提案をまとめ、調査報告会での報告、調査報告書の作成を行います。
教育基盤開発学特論
本科目は、人間の理解を目指し、人の知的情報処理過程の特徴を学ぶとともに、そのような情報処理過程を解明する研究方法について理解することを目的とします。講義ではまず、知覚、記憶、思考といった人間の認知過程について概観します。さらに、人間の認知機能が日常生活の中でどのように働いているのかを解明しようとする近年の認知心理学の動向を踏まえて日常認知の問題にも触れるとともに、人間科学の方法を具体的に理解するために、それぞれの分野の代表的な研究を取り上げて講読します。講義を通じて、受講生の知的な学習の基礎となる記憶の働きを中心とした認知過程についての理解を深め、その後の学習の基盤を作り上げることが期待されます。
人間形成基軸論特論
本格的な生涯学習社会の到来を前に、人間形成は家庭や学校に限られず、社会のあらゆる領域の課題になりつつあります。本講義は、このような人間形成の多様な課題領域において、今日でも重要な役割を果たしている発達観、目標観、方法観などを再検討することを目的とします。これらの教育の思想や哲学を正確に理解することを基本としますが、同時に、受講者自身が、それらを今日的な課題と照らし合わせ、その有効性や限界を主体的・批判的に検討することも重視し、それによって、これからの人間形成を支える新しい着想へと通じうる素養の形成も目指します。
社会学理論特論
人間は社会的存在だと言われます。そしてそうであるからこそ、社会というものを問うことや、自分たちの経験を社会的な経験として問うことは、人間にとってきわめて重要な営みであり、また、社会学はそうした問いを担う学問として、大きな意義と可能性を持つはずです。こうした発想のもと、この科目では、社会学の展開に大きな影響を与えた重要な著書を精読することを通して、社会というリアリティを問うために有用なさまざまな視点を身につけることを目的とします。
言語コミュニケーション特論
移民や移住者の増加という現代的な環境の中、言語と直結した問題として出現してくるコミュニケーションの問題について理解を深めます。特に主眼とするのは、英語というLingua Franca(共通言語)を用いながらも多種多様な文化背景を持つ人々が、どのように自文化の影響を受けるのかを、文化的価値観、会話の展開構造、ターン・テイキング、不同意や対立の発話行為といった、会話スタイルの視点から検証を重ねます。コミュニケーション不全が起きている具体例、それが引き起こされる要因を理解し、日本語話者の会話スタイルも意識しながら、異文化コミュニケーションに潜む問題点を分析する概念や、手法を学び身に付けます。
学外語学研修
外国語(主に英語)の運用能力を高めるためにイマージョン環境で一定期間研修を行います。同時に現地で使用される多数派言語と移住者・住民らが使用する少数派言語、また家庭内言語と公用言語といった現地での複雑な言語事情を体験し、現代世界が直面しているグローバル・コミュニケーションの問題について理解を深めます。また、自らが研修を受けている語学教育機関も含めて、各国の語学教育体制や政策などを研究し、修士論文研究を見据えた情報およびデータの収集を行います。
教育社会調査
教育実践と社会生活がまさに行われているフィールドにおいて実地見学、聞き取り調査、アンケート調査などを行い、教育学・社会学の視点から人間の実際のあり方を探求します。事前授業で教育学・社会学分野における研究課題と調査方法を吟味して調査に臨み、調査後は結果を取りまとめ、理論面の理解の深化を図ります。
発達心理学演習
心理発達、すなわち年齢を重ねる中での人間心理の継時的変化に関する理論を学びます。発達心理学にかかわる文献の講読、および日々の生活の実際のなかで年齢の異なる人間を対象に調査または観察を行い、受講生の自発性・実践性を重視した学習を積み重ねて、心理発達に関する理論の深い理解を目指します。