学部・大学院科目 Pick Up
憲法II(人権保障)
人権に関する研究であり、特徴としては、日本国憲法と人権諸条約との関係について、考える点にあります。憲法規定と人権に関する諸条約の規定との異同を、具体的な事例を通して学び、両者の整合的なあり方を検討します。そのためには、欧米諸国との比較も必要であり、人権保障の発展のための解釈のあり方、さらには法制度や政策のあり方についても考察することになります。テキストを読み込み、新たな事例を比較検討しながら議論することにより、柔軟な思考力の醸成を目的としています。
憲法V(多文化共生)
多文化共生に関する研究であり、諸外国の「移民」と日本の「外国人」の権利保障と社会参加のあり方を考察します。EU各国や北米、豪州、韓国などの移民統合政策との国際比較を通して、憲法その他の日本の法制度と人権条約等の国際的な人権規範との整合性を検討します。日本の多文化共生の実態と課題と展望を多角的な視点から検討しながら議論することにより、これからの日本のあり方を考えます。
行政法II(行政作用法)
行政法Iの理解をもとに、災害対策・消費者行政・河川管理など、複数の個別行政領域を対象として、その法制度と行政活動の特質・現代的展開を検討します。担当者による発表(対象文献の要約と、発展的調査について)と、参加者間での議論を行います。各個別領域で行政が直面している問題状況を認識するとともに、各領域や公法諸科目(租税法・憲法など)に共通する行政法の基本原理・思考様式と、各分野ごとの固有性という両面への理解を深め、修了後において公務員・税理士などのエキスパートとして求められる考え方の基礎を身に付けます。
租税法I(総論)
この科目は、租税法III(所得税)、同IV(法人税)、同V(相続税)、同VI(消費税)といった個別税法を学ぶ上での基礎理論の修得を目的としています。租税法律主義、税法の解釈、租税回避などの基礎理論について、裁判例を精読することで、法解釈論としての税法学の礎を築きます。
租税法II(租税争訟法・手続法)
申告や更正の請求などといった手続法、不服申立て・訴訟にまつわる争訟法について、基礎理論の修得と要件事実論を中心とした実務的能力の修得を目指します。それにより、個別実体税法の理解の深化につながります。
刑事法I(刑法理論)
刑法は最終的には刑罰という最も峻厳な制裁を科すことが予定されているため、刑法解釈では事案の適切な解決とともに人権保障が図られなければなりません。戦後刑法学では二律背反ともいえる両者の対立をいかに収束すべきかとの思考からさまざまな解釈アプローチが試みられてきました。現在では日々社会に生起する問題に対処する過程で刑法理論はさらに深化をとげ、そのため学説は十人十色・百花繚乱の様相を呈しています。このような状況の中で、感情論ではなく、首尾一貫した刑法的視点から論理的に問題解決を探っていくことが求められます。
民法VI(相続)
講義においては、相続に関連した最高裁判決を取り上げ、まず、報告者が、作成したレジメに基づき、取り上げる判決の事実関係、一審判決、二審判決、そして、最高裁判決について報告をします。次に、報告者は、問題点を指摘し、その問題点に関連した過去の判決を調べます。次に、問題点についての学説を調べてもらいます。そして、その上で、取り上げた最高裁判決についての当否を述べ、自説を述べてもらいます。報告を受けた後には、全員で、質疑応答をします。相続問題を理解するためには、財産法もきちんと学ぶ必要があります。その意味で、相続は民法の総合です。
企業法I(企業組織法)
企業法Iは、企業組織法について、概説します。主として、株式会社法を扱いますが、他の企業形態として、合名会社、合資会社、合同会社(LLC)、有限責任事業組合(LLP)などにも言及します。内容としては、各種会社の差異、メリット・デメリット、実用性などをはじめとして、設立、機関(株主総会、取締役、監査役、委員会制度など)、計算、再編などについて、基本的な知識を持つことを、目標とします。企業法務に強い専門家、たとえば、司法書士、税理士などが知っておくべき高度な知識への導入部分として、重要な意義を持つ科目です。
労働法I
労働法の基本的な概念を確認した上で、学術的な争点への理解を深めます。最新の立法や判例法理の動向などもふまえつつ、ボリュームのある体系書や論文を輪読することで、労働法の現実と理論を考察できるようにします。
法制史I(日本法制史)
明治期に西欧法を受容して成立した日本の近代法体系は、戦後のアメリカ法に強く影響されながら現代にいたっています。そのような日本法の近現代化の前提として、近代以前の法社会の特質を、法と思想と社会構造という視点から探ります。日本の近代化の表層を見れば、伝統的な法文化を断絶させることによってなし遂げられた部分が多いですが、深層においては近代以前の諸事象や民族性との連続性が強く認められるからです。明治期を接点として、前後の日本社会を法という観点から追求することによって、日本人のアイデンティティを解明し、日本社会を論じる有効な手段としたいと考えています。
政治学III(国際政治学)
政治学分野の主要科目は何かについては断定し難いですが、今回は、従来から受講生が多い政治学III(国際政治学)を取り上げます。国際政治学では、第二次世界大戦後の国際政治動向の理解を深めるために、英文教材(The Origins of the Cold War)を使用し、それを輪読するとともに、特に戦後の国際政治の特徴である冷戦の起源に焦点を当てて講義を行っています。この科目の学習を通して、論争的テーマにかかわる多角的な知見を得られるだけでなく、大学院における研究に不可欠な各種英文資料を渉猟する能力を養うことができます。
政治学IV(政治過程論)
政治過程論は、政治に関する現象一般について科学的に研究する学問分野です。この講義では、科学的な調査研究の方法論を、その土台となる哲学的な議論から、世論調査や聞き取り調査の方法など実践的な問題までにわたって、研究の具体例として学術論文を講読しながら、受講者全員で議論します。また、希望者がいれば、定量的な情報(データ)を用いた研究を行うために必要となる計量分析の講義と実習を行います。