トップページ/ニュース 【名城大学】経済学部で財務省職員による特別講義を開催 ―アジア開発銀行愛知・名古屋年次総会に向けてー

講師の財務省・石黒真理氏 講師の財務省・石黒真理氏

2027年5月に愛知・名古屋で開催予定のアジア開発銀行(ADB)年次総会を前に、ADBの役割や国際開発政策に関する大学生向け特別講義が10月28日、天白キャンパスの名城ホールで経済学部生を対象に実施されました。

講義のテーマは「成長と変革のアジア・太平洋、広がる開発の可能性」。次世代を担う学生に途上国の開発政策への関心や国際貢献意識を醸成することを目的としています。
はじめに経済学部長・佐土井有里教授が講師である財務省国際局開発機関課開発機関調整室長の石黒真理氏の紹介を行いました。財務省国際局同課から永里裕太氏、東海財務局ADB年次総会準備本部の4名、愛知・名古屋支援実行委員会の5名も出席し、本学経済学部の学生、大学院生、教職員など約200名が参加しました。

  • 講師を紹介する佐土井経済学部長 講師を紹介する佐土井経済学部長
  • 講義に出席した東海財務局、愛知・名古屋支援実行委員会のみなさん 講義に出席した東海財務局、愛知・名古屋支援実行委員会のみなさん

アジア・太平洋地域の経済成長と直面する課題

講義はまずアジア・太平洋地域の現状として、アジアが世界人口の約6割を占め、現在では世界全体の経済成長率の約65%を担う地域へと急速に発展してきたことを紹介。その要因として、積極的なインフラ投資、教育への注力、豊富な若い労働力などが挙げられました。一方で、気候変動や自然災害への対応、急激な高齢化、貧困や格差など多数の課題にも直面しており、「レジリエンス(強靭性)」強化の重要性が強調され、持続可能な発展に向けた開発支援の必要性が伝えられました。

講義の様子 講義の様子

国際開発への支援とADBの役割

石黒氏は高校時代、アジアサッカー大会での反日感情によるブーイングに衝撃を受けたことから国際関係について学び、国際金融・開発分野への従事を目指したといいます。財務省入省後、国内だけでなく国際通貨基金(IMF)職員など国際業務も幅広く経験してきました。

国際開発金融機関(MDBs)は途上国の開発を目的として複数の国が出資して設立されている国際機関であり、その中心である世界銀行とIMFの合同開発委員会で今年、片山さつき財務大臣が日本人・G7(主要先進7ヵ国)として初めて議長に内定したことは日本の長年の貢献への高い評価であるといいます。
財務省国際局開発機関課はMDBsを通じて開発途上国に対する資金支援や政策提言などにより地域の課題解決と持続可能な発展を支援しており、MDBsの主要な一つであるADBは、アジア・太平洋地域の途上国の経済発展と開発課題の解決に取り組む国際開発金融機関であり、日本人が歴代総裁を務め、日本が最大出資国として多国間援助の中核を担っています。

講義の後半には、ADBが行っている具体的な支援事例としてフィリピンの通勤鉄道整備やモンゴルの医療サービスの地方格差是正などの事業が紹介された後、モンゴル・ウランバートル市の大気汚染問題を題材としたケーススタディを実施。学生たちはグループ等で課題解決策を考え、日本の環境技術の活用や公衆衛生の改善についての意見を発表しました。石黒氏からの講評とともに財務省職員・永里氏による実際の開発プロジェクトも紹介され、学生らは国際開発の現場で求められる視点を学びました。

  • アジア・太平洋地域の課題を学ぶ アジア・太平洋地域の課題を学ぶ
  • 実際の開発プロジェクトについて解説する永里氏 実際の開発プロジェクトについて解説する永里氏

ADB年次総会と大学生向けイベントも紹介

第60回の節目となるADB年次総会が、2027年5月2日から5日まで愛知県名古屋市で開催されます。加盟各国財務大臣や国際機関、企業関係者など約5,000名が参加する国際会議で、石黒氏は大学生を対象とした開発政策コンテストなど関連イベントの予定も併せて紹介しました。

  • 質問する学生 質問する学生

質疑応答では、国際協力の意義、日本国内の課題と海外支援の関係などについて学生から多数の質問が寄せられ、石黒氏は、融資や技術面での開発支援は国際社会への貢献であり、日本経済の国際的な信頼につながるものであることを述べました。


学生たちはアジア・太平洋地域の開発の現状と課題への理解を深めており、国際社会における日本の役割について考える貴重な機会となりました。

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