大学概要【2017年度実施分】研究室・研究室外での先端研究体験を通じ、早期に大学での多様な学びを気付かせる取り組み

理工学部

研究室・研究室外での先端研究体験を通じ、早期に大学での多様な学びを気付かせる取り組み
実施責任者:上山 智

現在の理工系の大学のシステムでは、3年生まで講義を中心とした座学に加え、自動車学校のような実験実習の基礎的な科目である学生実験を行い、4年生になって卒業研究、さらには大学院に進学し、高度な研究開発の素養を学ぶのが一般的である。その一方で、3年生までの座学中心の教育と、4年生からの実験実習の間には、学生の意識に乖離が見られ、その接続を円滑にすることは、「学生が自ら楽しんで学ぶという学びのコミュニティ」を構築する上で極めて重要となっていると考えられる。本事業ではそのような背景を基に、研究室・研究室外での先端研究体験を通じ、早期に大学での多様な学びを気付かせる取り組みを行う。

ACTIVITY

Spring-8への派遣(12/11更新)

2017/12/11

■派遣先:Spring-8
■実施日:2017年12月4~7日
■実施内容:
大型放射光施設SPring-8から得られる高輝度X線を用いたX線吸収微細構造(XAFS)法により、窒化物半導体の局所構造評価を行った。本成果は、窒化物半導体の新規物性理解に多大な貢献ができるものと考えられる。

■写真1:試料台の写真。実験を行うためにまず、試料基板を専用のホルダーにセッティングする必要があります。試料基板は、銀テープと銅テープを用いて、試料ホルダーに装着します。

■写真2:測定をしている様子。高輝度X線を用いたX線吸収微細構造法により、窒化物系面発光レーザや高電子移動度トランジスタへのデバイス応用が期待されているAlInN(窒化アルミニウムと窒化ガリウムの混晶半導体)のAl原子近傍の局所構造を明らかにしました。

写真1:試料台の写真

写真2:測定をしている様子

■本派遣で得られたことや今後の抱負:
大型放射光施設SPring-8でしか実施できないサブミクロンX線回折測定を行うことで、窒化物系ナノワイヤの局所構造に関する非常に有用なデータが得られた。本結果を解析することで、窒化物系ナノワイヤとその側壁に作製した発光層の構造(歪み、混晶組成比)を明らかにしたいと考えている。12月には、SPring-8にて、別途窒化物半導体の局所構造解析を行う予定である。

東京工業大学への派遣(12/18更新)

2017/12/18

■派遣先:東京工業大学
■実施日:2017年12月12~14日
■実施内容:
竹内先生の研究室に所属している大学院生の赤塚先輩から提供頂いているサンプル(GaN/GaNトンネル接合素子)を高分解能であるTEMR005での観察。

■写真1:東京工業大学技術部大岡山分析部門にあるTEMR005の写真です。加速電圧は300kVまで上げることが可能で、高分解能の観察が可能となっています。

■写真2:これは、TEMR005を用いて、GaN/GaNトンネル接合素子をTEM観察している写真です。蛍光板には、サンプルの像がうつっています。像をより鮮明なものにするために、電圧軸などを調整をします。

写真1:TEMR005

写真2:GaN/GaNトンネル接合素子をTEM観察している写真

■写真3:これは、TEMR005を用いて、GaN/GaNトンネル接合素子の観察結果をチェックしている写真です。層の様子がよくわかりました。

■写真4:3枚目の写真で見ていた写真です。性能が良いTEMで観察出来たため、低い倍率でも転位や層の様子を観察することが出来ました。

写真3:GaN/GaNトンネル接合素子の観察結果をチェックしている写真

写真4:GaN/GaNトンネル接合素子の観察結果

■本派遣で得られたことや今後の抱負:
本派遣では、卒業研究を進めるにあたり、非常に充実したものでした。自分の作製したサンプルが、どのような様子なのかを鮮明に見ることが出来、今後の卒業論文の構想を考えることが出来ました。引き続き、卒業研究に頑張って取り組んでいきたいです。



■派遣先:SPring-8
■実施日:2017年11月8~12日
■実施内容:
大型放射光施設Spring-8のマイクロビームを用いて窒化物ナノワイヤの量子井戸を調査しました。量子井戸のIn組成が異なる試料を測定することによって、まだ詳しく知られていない量子井戸内のひずみとIn取り込みの関係について調査しました。

■写真①:実験を行ったビームラインおよびハッチの様子。ビームの調整などが非常に細かく、実験データの正確性を求める場合には細心の注意を払わなければならないのだと再確認しました。

■写真②:窒化物ナノワイヤの逆格子マッピングを実施している様子。普段、X線回折を利用した実験を行っていないためX線回折を用いた実験を行う際に考えるべきことなどを学び、とても有意義でした。

写真①:ビームラインおよびハッチの様子

写真②:窒化物ナノワイヤの逆格子マッピングを実施している様子

■本派遣で得られたことや今後の抱負:
本派遣では、ミクロの世界で行う実験がいかに正確性のために慎重を期さなければいけないかを学ぶことができました。得られてデータが自分たちの狙い通りの状態で得られたものかどうかを吟味し、より正確性が高まるように実験条件を変えて測定することは様々な要因を考慮しながら行わなければならないため、非常に難しいものでした。しかし、そういった経験をすることで実際の実験ではどういったことに着目し、注意しなければならないのかをよく知ることができ、非常に有意義でした。

東京工業大学への派遣(1/22更新)

2018/01/22

■派遣先:東京工業大学
■実施日:2018年1月17~19日
■実施内容:
竹内先生の研究室に所属している大学院生の赤塚先輩から提供頂いているサンプル、GaN/GaNトンネル接合素子とInGaN/GaNトンネル接合素子を高分解能であるTEMR005で観察を行った。

■写真①:東京工業大学技術部大岡山分析部門にあるTEMR005の写真です。加速電圧は300kVまで上げることが可能で、高分解能の観察が可能となっています。

■写真②:これは、TEMR005のホルダにピンセットを用いてGaN/GaNトンネル接合素子をセットしている様子の写真です。今回は、この試料の他に、InGaN/GaNトンネル接合素子も入れて観察しました。

写真①:TEMR005の写真

写真②:TEMR005のホルダにピンセットを用いてGaN/GaNトンネル接合素子をセットしている様子

■写真③:これは、TEMR006を用いて、InGaN/GaNトンネル接合素子をTEM観察している写真です。蛍光板には、サンプルの像がうつっています。像をより鮮明なものにするために、電圧軸などを調整をし、ピントをあわせています。

■写真④:原子間距離dを測定し、TEM像での結晶を解析している写真です。高い分解能のため、解析をすることが可能になりました。

写真③:InGaN/GaNトンネル接合素子をTEM観察している写真

写真④:原子間距離dを測定し、TEM像での結晶を解析している写真

■本派遣で得られたことや今後の抱負:
本派遣は、卒業研究を進めるにあたり、非常に充実したものでした。自分の作製したサンプルが、どのような様子なのかを鮮明に見ることが出来、卒業論文の構想を考えることが出来ました。この結果を基にして、卒業論文執筆を頑張って取り組んでいきたいです。

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