大学概要【2022年度実施分】学部横断的取り組みによるWith/Afterコロナ時代の新しい観光モデルの企画・開発

学部・部署共同

【経営・経済学部】学部横断的取り組みによるWith/Afterコロナ時代の新しい観光モデルの企画・開発
実施責任者:渋井 康弘

妻籠宿の古い街並みを保存することで海外からも多くの観光客を集め、活性化の成功事例となっていた南木曽町が、コロナ禍により観光客の激減に直面している。
名城大学と連携協定関係にあるこの南木曽町の再活性化を目指し、With/Afterコロナ時代の新しい観光モデルを企画・開発する。経済学・経営学の観点を生かして、南木曽町役場とも連携しつつ、三密を避けながら当地の産業史を辿るような観光モデルを検討する。

ACTIVITY

第1回 南木曽調査(8/5~8/6)

2022/08/19

柿其水路橋を見学する学生

 本年度第1回現地調査を、健康チェック、感染対策をしながら8月5日~6日に実施しました。
 コロナ禍により海外からの観光客が激減する中、南木曽町には中高生が研修旅行、修学旅行で訪れるような観光プランを提案したいと思っています。今回は、福澤桃介が木曽川水系に建設した水力発電所群が、中部・関西地域の電力開発の礎となったことを実感できる観光プランとして、読書発電所をテーマとするコースを検討しました。
 読書発電所にダムはなく、木曽川上流の取水口から、地下を通るパイプラインで下流の読書発電所まで水を運び、その落流で発電機を回します。地下を流れてきた水が一時的に地上に現れる柿其水路橋、読書発電所建設のための資材運搬用に作られた全長250mの木製のつり橋(通称・桃介橋)、桃介が木曽川開発の拠点にしていた山荘を資料館にした福澤桃介記念館、そして読書発電所等々を見学することで、水の流れから電気が生み出されるまでの一連のコースを辿ることができました。
 初めて当地を訪れた学生にも、よく理解できたようです。事前学習をして訪問すれば、中高生にも日本産業史の一端が実感できるコースと思われます。

読書発電所を見学する学生

電力資料館で解説を聞く学生

第2回 南木曽調査(11月13日)

2022/11/15

 本年度第2回現地調査を、健康チェック、感染対策をしながら11月13日に実施しました。
 With/Afterコロナ時代の観光モデルとして研修旅行、修学旅行で訪れるプランを検討してきましたが、今回は南木曽そのものではなく、南木曽と関連させながら周辺地域を回ることで電力開発史を辿れるコースを検討しました。
 まずは馬籠宿南側入り口近くの水車小屋を見学しました。ここは水車という中世以来の技術にマイクロ水力発電という最新技術を組み合わせて発電しており、次世代エネルギーを考える素材を提供してくれる場所です。さらに、馬籠出身の文豪・島崎藤村の作品と生涯を辿る「藤村記念館」を見学。島崎藤村の兄・島崎広助は、木曽川における電力開発反対運動のリーダーだった人で、そうした観点から電力開発史を辿ることもできる施設です。
 その後、恵那にある大井水力発電所へと移動し、雨と霧という悪天候にもめげず発電所を見学しました。この発電所は、水路式の読書発電所が完成した後に建造された日本初のダム式発電所です。ダムなどの施設ができれば木曽木材を木曽川によって尾張まで運搬することはできなくなるわけで、それは島崎広助らによる反対運動の一つの大きな理由でした。
 他方、大井ダムが建設されたことでそこに人造湖ができあがり、それが恵那峡という観光地の一角になっていることも注目に値します。
 南木曽の読書発電所と比較しつつ見学することで、多くの発見ができる観光プランになると考えています。

水車によるマイクロ水力発電を見学する学生

藤村記念館で解説を聞く学生

大井発電所を見学する学生

第3回 南木曽調査(2月6日)

2023/02/07

 本年度第3回現地調査を2月6日に実施しました。
 南木曽の観光モデルを検討するプロジェクトですが、今回は名古屋市熱田区の白鳥貯木場跡と白鳥歴史館を見学しました。
 白鳥貯木場は、江戸時代初期に開場され昭和の時代まで利用された水中貯木場(堀川沿い)で、木曽地方から木曽川の流れによって運ばれてきた木材がここに貯められていました。ここに届いた木材が尾張地方の木工技術により糸車、機織り、仏壇、山車、からくり人形などに加工され、その技術がやがて機械加工に応用されて愛知の機械工業・自動車産業を支えることになります。その意味で白鳥貯木場跡は、木曽ヒノキに代表される木曽木材と木曽川と愛知の産業との関係を物語る重要な産業遺産です。
 白鳥歴史館は、白鳥貯木場跡に隣接しており、上の歴史を辿ることのできる資料が展示されています。
 これらを見学し、そうした関係を実感できるような観光案内を作成することで、特に学校関係の研修用観光プランとして意味のあるものが提案できるのではないかと考えています。愛知の産業に思いを馳せながら南木曽地域を観光する。あるいは南木曽地域を観光した後で愛知に足を延ばして、木材が行き着く先としての白鳥貯木場を見学するといったプランを提案することも視野に入れつつ、フィールドワークを行ないました。

貯木場へと木材を運び込む水門跡の見学。

貯木場跡に設置されている案内板をチェックする学生たち。

白鳥歴史館での見学。

  • 情報工学部始動
  • 社会連携センターPLAT
  • MS-26 学びのコミュニティ