大学概要【2023年度実施分】学部横断的取り組みによるWith/Afterコロナ時代の新しい観光モデルの企画・開発

学部・部署共同

【経営・経済学部】学部横断的取り組みによるWith/Afterコロナ時代の新しい観光モデルの企画・開発
実施責任者:渋井 康弘

妻籠宿の古い街並みを保存することで海外からも多くの観光客を集め、活性化の成功事例となっていた南木曽町が、コロナ禍により観光客の激減に直面している。
名城大学と連携協定関係にあるこの南木曽町の再活性化を目指し、With/Afterコロナ時代の新しい観光モデルを企画・開発する。経済学・経営学の観点を生かして、南木曽町役場とも連携しつつ、三密を避けながら当地の産業史を辿るような観光モデルを検討する。

ACTIVITY

2023年度 第1回 南木曽調査・研究(2023年5月23日)

2023/05/26

 経済学部・渋井ゼミ、経営学部・田中ゼミ・桑島ゼミのプロジェクト参加メンバーが研究会を実施し、昨年度の調査に基づき観光プランの素案を検討しました。
 研究会では、南木曽地域内を回遊することで当地の歴史と自然を体感するSRC(Small Roundabout Circulation)と、木曽地方と愛知のモノづくりとの関係を物語る歴史―木曽木材が木曽川を通じて尾張まで運ばれ、それを利用した木工業が金属工業や自動車産業へと展開してきた―を俯瞰すべく広域に回遊するGRC(Grand Roundabout Circulation)の観光プランが提案されました。
 SRCは主に学校行事・研修旅行などに利用されることを念頭に、GRCは長期の旅行を楽しもうとする海外からの観光客等を念頭に作成されています。これらの提案をめぐって質疑応答がなされ、検討課題が洗い出されました。
 質疑応答の中では、SRCのハイキングプランとして提示された中山道ハイキングコースをまずは自分で体験したいとの意見も多く出され、近いうちにそのコースを実地調査することとなりました。
 また、昨年度調査でチェックした妻籠宿脇本陣の建物の要修復箇所リストを共有した上で、情報に不備があるので次回の現地調査でそれを再確認することとしました。このテーマについては施設部職員・野尻氏にご参加いただき、調査の際の注意点をレクチャー、アドバイスいただきました。

渋井ゼミ生による報告

田中ゼミ生による報告

脇本陣の建物修復に関するレクチャー

2023年度 第2回 南木曽調査・研究(2023年7月16日)

2023/07/19

 経済学部・渋井ゼミ、経営学部・田中ゼミ・桑島ゼミのメンバーが、高校生向け研修旅行プランの1つとして、馬籠・妻籠間ハイキングプランを実証実験してきました。
 ①江戸時代以来、木曽川を通じて尾張名古屋まで運ばれてきた木曽木材が木工に使用され、それがやがて金属加工、自動車産業へと展開してきたこと、②木曽川水系の水力発電所群が中部・関西地域の電力システムの基礎の1つとなっていること、③妻籠宿が古い町並み保存による町おこしに最初に成功した地域であること―この3ポイントを予めレクチャーして、ハイキングしながら実感するというプランで、高校生向けであることから附属校生4人にも参加してもらいました。
 これまで入念に研究し、準備してきたプランではありますが、当日は想定外の事態が相次ぎ、困難の多い1日となりました。高速道路工事で渋滞が続き、ハイキング開始が予定より約1時間遅れたこと。通常は30度を超えることの少ない当地が33度の暑さとなり、ハイキング自体が非常に体力を要するものとなったこと。豪雨災害で通行止めとなったところが多く、かなりの区間、森の木陰ではなくアスファルトの国道を歩かざるをえなかったこと。こうした想定外の諸事態の結果、ゴール地点の妻籠宿には1時間半の遅れで到着。妻籠宿の見学時間は45分ほどとなってしまいました。
 歩くことに多くのエネルギーを費やしたため、先の3ポイントを十分に実感する余裕はなく、逆に多くの課題が見つかりました。交通渋滞、悪天候など、最悪の事態を想定して、もう少し余裕を持たせたプランにする必要があるようです。
 当面、日帰りですべてを完結させるのではなく、1日目に各所で3ポイントを確認するための見学をして、翌日に丸1日かけてハイキングという1泊プランにする方法があるのではないかと考えております。
 秋に、再検討したプランでもう一度、実証実験をします。

学生によるハイキング直前のレクチャー

恵那山を背景に

妻籠宿脇本陣での聞き取り

2023年度 第3回 南木曽調査・研究(2023年11月25日)

2023/11/27

 当プロジェクトの柱の1つに学校の研修旅行向けプランを作るというものがあり、そこでは①江戸時代以来、木曽川を通じて尾張名古屋まで運ばれてきた木曽木材が木工に使用され、それがやがて金属加工、自動車産業へと展開してきたこと、②木曽川水系の水力発電所群が中部・関西地域の電力システムの基礎の1つとなっていること、③妻籠宿が古い町並み保存による町おこしに最初に成功した地域であること――この3ポイントをいかに中学・高校の生徒にわかり易く伝えるかが課題となっていました。体験型の学びができるプランにするのが良いのではないかと議論を重ねてきたのですが、今回はそうした学びを自ら体験すべく、11月25日にトヨタ産業技術記念館を見学してきました。
 今回の見学の主要目的は、記念館で開催されている「からくり」の企画展を見学して、上に見た①の内容を自ら実感できるかどうかを確かめることにありました。繊維業の盛んな尾張・三河において繊維関連の諸機械が作られるようになったこと、その機械技術が応用されて自動車産業が展開したことは、これまでも常設展示を通じて学んできましたが、今回の企画展からは、尾張徳川家によって奨励されていた「からくり人形」の中に、近代的な機械の機構の先祖となるようなもの――カム、リンク、ラック、ピニオンなど――がたくさん利用されていたことがわかり、明治期に導入された近代的機械のメカニズムを愛知の諸企業がすぐに吸収・国産化できた背景を理解できました。その「からくり人形」の多くが、木曽川を通じて流されてきた木曽木材で作られていたことを考えれば、愛知の機械工業と木曽との関係が鮮やかに浮かび上がってきます。その上「からくり」技術は、今日の自動車工場・自動車部品工場における部品搬送などにも応用されており、木曽木材・からくり・自動車産業の結びつきの深さはより一層明らかです。
 以上のことを自ら実感した上で、それを旅行客にいかに伝えるかが問題となりますが、その解決にも記念館での経験が生かせるかも知れません。記念館では各種「からくり人形」の実演を行っており、楽しみながらその構造的特徴――カムやリンクなど――を学べるようになっていました。同様の動画を作成し、観光案内などにQRコードを載せてその動画にリンクさせるなどの方法が考えられますし、旅先で「からくり」の一部を製作する体験型イベントを企画するのも良いかも知れません。詳細は今後検討していこうと思います。

産業技術記念館入場前の集合写真

自動車館見学の様子

からくり企画展見学の様子

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