理工学部/材料機能工学科学びのポイント
学科の概要
材料機能工学科では、19世紀以降の世界的な経済発展を支えた『鉄鋼』、20世紀のコンピュータ革命・IT革命に おける『半導体』、そして、21世紀に入って注目が集まっている『ナノテクノロジー』をはじめとした未来を切り拓く『新材料』の研究開発を行なっています。研究対象は、『ナノテクノロジー材料』、『半導体材料』、『機能性材料』、『機械材料』、『生体材料』など、これからの社会に大きな貢献が期待される材料です。本学科では、学生の皆さんが学力の基礎を築き、さらにそれぞれの個性を伸ばして、明るい未来を開拓する人となれるようにカリキュラムを作成し、学生の皆さんを最大限サポートしています。さらに高度な知識・技術を修得することができる大学院修士課程材料機能工学専攻が設置されています。
本学科の特色として、文部科学省の私立大学ブランディング事業(世界展開型)に選定されたプロジェクト「青色LEDを起点とした新規光デバイス開発による名城大学ブランド構築プログラム」をはじめ、文部科学省や経済産業省などから多数の競争的資金を獲得するなど、世界的にみて高い研究レベルを有していることがあげられます。また、大学院(材料機能工学専攻)には「青色発光ダイオード」や「青紫色レーザー」の発明者で、2014年にノーベル物理学賞を受賞した赤﨑勇教授が所属しており、高いレベルの研究を強力に推し進めています。さらに、これらの技術を実用化し、社会に還元するために、『大学発ベンチャー企業』を起業するなど、最先端技術の事業化にも積極的に取り組んでいます。
このように、学生の皆さんは、高いレベルの研究を卒業研究や大学院で実施することができ、将来自立した研究者・技術者として成長できる環境が整っています、また、卒業生は、本学科で修得した知識や技術、経験を生かし、自動車、電子部品、ファインセラミックス関連の優良企業をはじめ、多岐の分野で活躍しています。
学びのポイント
あらゆる工学分野にかかわる「材料」を総合的に学ぶ
IT革命も、航空宇宙分野の発展も、その原動力となったのは「材料」の進化。「材料」に関係しない工学分野はないと言ってもいいほどです。この材料を軸として、機械や電気など、幅広い関連分野を学びます。
徹底的に基礎を学び、さらに実験を重視したカリキュラム
材料機能工学、物性、結晶成長、電気電子、材料計測などの基礎を徹底的に学び、さらに「材料機能工学実験I~III」を必修化。「見て・触って・考える」実感教育を重視しています。
多彩な分野へ広がる進路。大学院への進学も推奨。
半導体材料などの生産・加工分野をはじめ、ハイテク機器、セラミックス、IT関連分野での活躍が期待されています。また、大学院への進学を推奨し、毎年多くの学生が大学院へ進んでいます。
学びの流れ
1年次
専門分野への導入をスムーズにする科目として「フレッシュマンセミナー」「材料機能工学概論」を設置。さらに材料機能工学の基礎となる「専門基礎」の科目が充実しています。
- 実際の測定を通じて各種測定装置の基本的な使い方を身に付ける物理学実験
- さまざまな化学反応を理解し、化学の面白さを知る化学実験
2年次
専門を学ぶための実験実習科目がスタート。実験技術の基礎を身に付けます。
- フランクヘルツの実験、真空技術、オシロスコープの使用法などを身に付ける材料機能工学実験I
3年次
これまで学んだ基礎を生かした高度な専門科目を学び、さらに高度な実験にもチャレンジ。
- 光電変換素子とそれを用いた電子計測、溶接、鋳造などの実験(材料機能工学実験II、III)
4年次
研究室での専門分野の研究がスタート。4年間の成果をカタチにする卒業研究に取り組み、年明けの卒業研究発表会をめざします。
主な卒業研究の事例
- アンモニアとトリメチルガリウムを用いた有機金属分子線結晶成長によるGaNの選択成長
- コヒーレント電子源・気相イオンビーム源・表面物性・低速電子線分光・電子光学系の設計・真空技術・nano構造物の電子状態計算
- 動物実験による低剛性チタン合金の生体親和性の評価
- ショットピーニング処理による加工工具の性能改善
- 強磁性を持つ超軽量ナノ炭素物質の合成・基礎物性の研究
- バイオプラスチックの射出成形と高機能化
- カーボンナノチューブの複合材応用
- 窒化物半導体によるLED、太陽電池、半導体レーザなどの最先端光 エレクトロニクスに関する研究
- Cu/Ag量比の異なる歯科用低カラット貴金属合金のミクロ組織と機械的強度の関係
CLOSE-UP 授業
「金属材料」 赤堀 俊和 先生
金属の王様と言われる「鉄」。その鉄と炭素(Fe3C)の合金である鋼は、構造用材料として幅広く応用されています。さらに鉄は、他元素を組み合わせることで、生体用材料としても応用される素晴らしい特性を持っています。本講義では、この「合金」について学習します。金属製品や商品、または、構造用金属材料はすべて合金であり、二つ、ないしそれ以上の元素からなる合金です。合金は状態図をみれば、その特性がわかります。そこで、合金に関する基礎を学び、二元系合金状態図の作図法や読み方などを学習。最終的には鉄と炭素の合金、鋼のFe-C系状態図を完全理解し応用できる能力をつけることをめざします。最終的には、下記の到達目標を設定しています。
- 熱分析、変態、成分濃度、相割合など合金に関する基礎を完全に理解する。
- 二元系合金状態図を完全にマスターし、状態図が読め、活用できる能力を付ける。
- Fe-C系状態図が読め、熱処理などへの応用能力を付ける。
- 鋼がFeとFe3Cの、鋳鉄は鉄鋼と黒鉛の優れた複合材であることを認識する。
※金属材料は、2013年度新カリキュラムより「鉄鋼材料」と「合金材料」に拡大