研究研究代表者メッセージ

研究代表者 柳澤 聖

研究代表者 薬学部教授 柳澤 聖

 がん診療は、有効性の確認された抗がん剤や近年長足の進歩を遂げる分子標的治療薬を用いた「がん治療」を行って疾患の治癒あるいはその進行を遅らせることだけが目的ではありません。科学的にも有用性が証明された治療開始前の早期から導入する「緩和療法」、さらには治療に際して必発である副反応(作用)に対する「支持療法」を適切に行い、全人的苦痛の軽減に可能な限りの策を講じることが極めて重要となります。

 名城大学TRセンターでは、このようながん診療の最適化を目指して、「がん治療」「緩和療法」「支持療法」に関する新たな標的分子の探索と同定を進める3つの研究拠点を設置し、「シームレス」な研究開発を展開していきます。

 「がん治療」最適化リサーチグループでは、日本のみならず全世界的にがん死亡原因の第1位を占める肺癌を対象として<小細胞肺癌に対する分子標的薬開発基盤研究><非小細胞肺癌に対する治療の有効性を判別する分子診断法開発基盤研究>を展開します。

 「緩和療法」最適化リサーチグループでは、がん化学療法やがん自体により生じる苦痛として極めて重要である疼痛・悪心・抑うつ症状の緩和を目指して<がん緩和療法に関わる因子の探索研究><疼痛性障害に関わる因子の探索研究><精神疾患に関わる因子の探索研究>を展開します。

 「支持療法」最適化リサーチグループでは、現在の承認用量よりも低用量で副作用による休薬・減量を回避しつつ効果が得られる可能性が示唆されているレゴラフェニブを対象として<がん支持療法の最適化に関わる因子の探索的研究><分子標的薬を含む抗がん剤の最適投与設計を可能とする分子診断法開発基盤研究>を展開します。

 各々のリサーチグループが有するオミクス技術(DNA、RNAや蛋白質の総合的・網羅的解析技術)を相互活用し、「トランスオミクス解析(多層的網羅的解析)」を推進することにより、革新的な分子診断法あるいは分子標的治療法の開発基盤構築と、臨床現場への基礎的知見の還元「トランスレーション」を目指した研究を展開します。