移行用/ニュース 飯島澄男終身教授が附属高校で講演 高大連携講座で

  • 講演する飯島澄男終身教授 講演する飯島澄男終身教授
  • 飯島終身教授を囲んで話を聞く生徒有志 飯島終身教授を囲んで話を聞く生徒有志

カーボンナノチューブ(筒状炭素分子)の発見で世界的に知られる飯島澄男終身教授は6月22日、附属高校で講演しました。高大連携講座として開かれ、演題は「Observation is important in science. How did I discover carbon nanotube? (科学において観察は重要。私はどうやってカーボンナノチューブを発見したか)」。飯島終身教授は自分の研究者としての歩みを紹介したり、科学史、ノーベル賞受賞史を概説したりしながら、科学研究での観察の重要性を説きました。
同校は文部科学省からスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受けており、対象の生徒が1号館8階大会議室で、他の生徒は各教室で講演を聞きました。

飯島終身教授は、韓国・蔚山で高校生を対象に講演した際の英文資料をスクリーンに投影しながら日本語で話しました。飯島終身教授は2009年に文化勲章を受章しましたが、受章理由は、高分解能電子顕微鏡の開発とカーボンナノチューブの発見の二本立てだったことを挙げました。東北大学大学院で電子顕微鏡の権威に師事し、Dream to see the atom(原子を見る夢)を追い求め、渡米してアリゾナ州立大学で12年間研究を続けた足どりも話しました。電子顕微鏡を駆使して材料科学を研究する魅力にとりつかれ、カーボンナノチューブは偶然発見したといいます。「それはserendipity(セレンディピティ、偶然の幸運)とも言え、われわれ凡人は偶然を狙っている」と謙遜しました。
そのうえで、「一番好きなことを見つけよう。そして果敢に挑戦しよう。そうすればあなたも科学者になれる」と呼びかけました。さらに「未来に希望をもって。中国、韓国の若い人はハングリーです。皆さんも頑張ってください」と鼓舞しました。

講演の後、希望者16人(うち女子1人)が飯島終身教授を囲んで質疑応答。カーボンナノチューブを宇宙ステーションと地球を結ぶ「宇宙エレベーター」に使えないかと言われていることを生徒が質問すると、飯島終身教授は「カーボンナノチューブは直径1mmの線で小型自動車を吊り上げることができますが、量産やつなぎ合わせることが難しく、現実には厳しい」と答えました。しかし、薬やトランジスタへの活用が世界的に期待されていることを解説し、夢を与えました。

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