移行用/ニュース 川勝教授にICPE(国際物理教育委員会)メダル 途上国の子らに物理の楽しさ広める

 総合数理教育センター長の川勝博教授(科学教育)に、国際純粋応用物理学連合(IUPAP)の国際物理教育委員会(ICPE)から2012 年にIUPAP-ICPEメダルが授与されました。川勝教授は7月4日、トルコのイスタンブールで開かれた世界物理教育会議に出席し、授与式に臨むととも に、受賞スピーチを行いました。IUPAP-ICPEメダルは、長年にわたって物理教育に貢献のあった個人やグループに贈られるもので、日本人の受賞は、 2002年の笠耐(りゅうたえ)元上智大学理工学部助教授に次いで2人目です。

 川勝教授は香川大学教授を経て2007年から名城大学総合数理教育センター長に就任していますが、香川大学で10年間の教員生活を送るまでは、愛知県立 千種高校、旭丘高校など高校の物理の教員でした。その授業記録ノートは「川勝先生の物理授業」(海鳴社)という3冊の本になり、英語版、中国版でも発売さ れています。1986年に上智大学で開催されたICPE国際会議「物理教育の動向」では、高校教員の立場から、日本の学校における理科離れに対する危機感 を訴え、開発した多くの教材を紹介しました。この会議をきっかけに、川勝教授(当時は高校教員)ら日本の高校教員が相次いで海外で開催されるICPEの会 議に招かれて参加するようになりました。

 川勝教授はさらに、日本の小中学校の女性教員たちの物理や理科教育への苦手意識を克服させる活動も続け、2005年には、「レディー・キャッツ」と名付 けた小学校から大学までの女性教員グループを創設し、途上国での物理教育の支援や普及にも取り組んでいます。今回のIUPAP-ICPEメダルは、こうし た30年近い物理教育を広げる実践活動への功績に対して贈られたものです。川勝教授は「30年近い活動に対し、メダルは『LONG AND DISTINGUISHED SERVICE(長い間の傑出した業績)』として刻んでくれました。学ぶ側に立っての物理教育普及への貢献が評価され大変うれしい」と話しています。

国際物理教育界からの支援に感謝 (川勝教授の受賞スピーチ)

 レディー・キャッツと、それと行動をともにしている日本の教師集団グループの主な活動目的は、よい物理教材や素晴らしい実験教材を、世界の物理教育界に たくさん紹介することです。しかし、私たちの活動の究極の狙いは、単なる紹介ではありません。圧迫されて、窒息しそうになっている生徒たち、どうしたらよ いかわからず、元気をなくして困っている先生たち、声もあげられず苦しんでいる世界中の少女たちの未来を励ますことです。これらの活動で、少女たちにこう 言えるようになってほしい。私だって物理ができる。物理って素晴らしい。私だって未来がある。私って素晴らしい。ICPEメダルは、国際物理教育界からの 大きな支援の一つだと思っています。ありがとうございます。(抜粋)

【写真】イスタンブールで開かれた世界物理教育会議でメダルを授与された川勝教授と女性教師グループ「レディ・キャッツ」のメンバーたち。贈られたIUPAP-ICPEメダル

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