トップページ/ニュース 欧州発明家賞受賞の吉野彰教授が記者会見 13社28人が出席し活発な質疑
「世界を変えた」の評価に感動
リチウムイオン電池発明者の吉野彰大学院理工学研究科教授(71)が6月20日、欧州特許庁(本部・ドイツ、European Patent Office、以下、EPO)主催の2019年欧州発明家賞「非ヨーロッパ諸国部門」を受賞しました。オーストリア・ウィーンでの授賞式から帰国した吉野教授は7月1日、本学天白キャンパス本部棟で記者会見しました。名古屋のメディア13社から計28人が出席し、活発な質疑応答が繰り広げられました。
小原章裕学長と、吉野教授が本学に着任する橋渡し役を務めた前研究担当副学長の磯前秀二農学部生物資源学科教授が同席。冒頭、小原学長は「本学として名誉なことと心から喜んでいる。名城大学がさらに発展するように全学を挙げて努めたい」とあいさつしました。
吉野教授は「リチウムイオン電池が『世界を変えた』というキーワードで受賞したことは感動的だった」と受賞の感想を述べました。今後の研究として「環境問題に対するリチウムイオン電池の使命を痛切に感じた」と語りました。
授賞に際してEPO長官は「吉野氏は今日のリチウムイオン技術と産業の基礎を築きました。彼の発明は、世界中の人々をつなぐスマートフォンや、電気自動車の出現を可能にしたところにも見いだすことができます。彼の技術は私たちの社会を変革しました。一つには、特許を取得した彼の発明を使用するライセンスが、他の会社に与えられたためです。このことは、その商業化が決定的にスピードアップするのに役立ちました。」と述べました。記者会見でライセンス供与のことを問われ、吉野教授は「(対価を伴う)ライセンスは特許を活用する有効例として好評だったと思う」と答えました。
吉野教授から「エネルギー環境材料工学特論Ⅰ」を教わっている大学院生のうち8人が会見を傍聴した後、そのうちの理工学研究科電気電子工学専攻博士前期課程1年の三ツ井優人さんが「壁に当たった時、どうモチベーションを高めるか」と質問。吉野教授は「早く壁が現れたら、それだけ早く答えを出せると喜ばなければならない。ネガティブに考えないこと」とアドバイスしていました。
- 多数のメディアに注目された記者会見
- カメラの放列の前で写真撮影に応じる吉野彰教授
- 大学院生と記念撮影
- 天白キャンパス本部棟外壁に掲げられた受賞を祝う懸垂幕
飯島澄男終身教授以来、日本人で2度目の栄誉
本学では、カーボンナノチューブの発見者で文化勲章受章者の飯島澄男終身教授、湯田坂雅子特任教授(産業技術総合研究所ナノ材料研究部門招へい研究員)らのグループ(小塩明・三重大学助教を含む)が2015年欧州発明家賞「非ヨーロッパ諸国部門」を日本人で初めて受賞。吉野教授は日本人で2度目の栄誉となります。