トップページ/ニュース ホロコーストと杉原千畝研修プログラムに学生14人が参加
趣向を変えながら11回目の海外研修
都市情報学部の稲葉千晴教授(国際関係論)が主催する「ホロコーストと杉原千畝研修プログラム」が8月2〜13日の日程で行われ、学部・研究科を超えた14人が参加し、リトアニアとポーランドの学生たちと交流して帰国しました。
海外でホームステイをしたいと希望しても、言葉の壁と高額な費用の前でちゅうちょする学生が少なくありません。一方で、日本語を学ぶ外国人学生にとっても、日本は物価が高く、留学のハードルが高いのが実情です。稲葉教授は長年のホロコースト(ナチス・ドイツによるユダヤ人大量虐殺)研究などで培った海外人脈を使い、短期間ですが双方の学生が交流するプログラムを夏休みに続けています。今年は11回目になります。
今回は、リトアニアとポーランドで、ホロコーストと、第二次世界大戦時のリトアニア領事代理杉原千畝(1900〜1986年)に関する資料館などを見学するのが主眼です。
一行はラトビアから入り、首都で世界遺産のリガの街を見学。リトアニアでは、古都カウナスで、杉原が「命のビザ」をユダヤ人難民に発行した旧日本領事館、ポーランドでは、南部のアウシュビッツ博物館などをそれぞれ訪れました。
カウナスでは、名門ビータウタス・マグヌス大学の学生の案内で、杉原の足跡をたどりました。旧日本領事館は杉原記念館となっており、「命のビザ」を発行した杉原のジレンマに思いをはせました。8月5日の夕食は、日本語を学ぶ同大学の学生6人とリトアニア料理をともにしながら、互いの国の文化などについて話し合いました。
ポーランドでは、学術交流協定校のワルシャワ大学の学生が案内し、ワルシャワ市内や、アウシュビッツ見学の起点となるクラクフ市内を巡りました。7日の夕食は同大学日本学科の学生ら7人と、日本のアニメーションやゲーム、好きな日本料理 などの話題で盛り上がりました。SNSで情報交換する仲になった学生もいました。
ほとんどの学生は11日、クラクフからアウシュビッツに行き、ユダヤ人強制収容所の跡を時間をかけて回りました。
理工学研究科の梅田さん「お薦めしたい内容」
- ビータウタス・マグヌス大学の学生と夕食
- アウシュビッツで
旅を終えて梅田大知さん(大学院理工学研究科情報工学専攻修士課程2年)は「もともと、私は海外の現地学生と交流したい、欧州の歴史を学びたいといった2つの目的があったため、今回のプログラムに参加しました。現地学生との交流前、私は英語に自信がなく、うまく コミュニケーションを取れるか不安でした。しかし、ほとんどが日本語を勉強している学生だったため、気軽にコミュニケーションできました。その結果、各国の学生と交流を深めることができ、現地の考え方や日本との違いを学ぶだけでなく、多くの学生と友人になることができました。さらに、実際に中欧諸国を訪問し、アウシュビッツなど歴史的に重要な場所で歴史や文化を直接学ぶことで、資料では分からない知見を得ることができました。今回の研修で、私の目的を満たすことができ、大変有意義な体験をすることができました。この研修は私のように海外に興味はあるが、不安も持っている学生にぜひともお薦めしたい内容でした」と感想を話しました。
稲葉教授は「自分で考えなさい」と学生に繰り返し強調し、独力で往復の航空券やポーランドでの列車、クラクフのホテルの予約をするように指導しました。今回の研修を受けた学生たちにとっては、海外を自力で旅する「地球の歩き方」入門編になりました。
- 世界遺産のリガで
- 杉原記念館の全景
- ワルシャワ大学の教職員食堂で昼食
- ワルシャワ大学附属図書館