在学生・教職員/ニュース 【新入生の皆様へ】名城大学学長からの「告辞」

告辞

名城大学学長 小原 章裕

 新入生の皆様、ご入学おめでとうございます。

 今回の新型コロナウイルス感染症で亡くなられた方々にお悔やみ申し上げるとともに、罹患された方々の一日も早い回復と、感染症の早期終息を心よりお祈りいたします。
 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、やむを得ず入学式の挙行を中止いたしました。皆様を大学にお迎えする大切な式ですので、期限ぎりぎりまで実施することを検討いたしましたが、社会的な影響とはいえこのようなこととなり、入学式を心待ちにされていた新入生の皆様、並びにご家族の皆様には大変申し訳なく思います。皆様におかれましては、くれぐれも感染に気を付けていただきたいと思います。

 春爛漫の季節に、学部生、大学院生、あわせて3,000名を超える新入生を迎えることができました。新入生の皆様には、厳しい受験戦争を勝ち抜き本学へ入学されましたことお祝い申し上げますとともに、歓迎の意を表します。また、ご家族の皆様にも心からお祝いを申し上げます。ご子息・ご息女は、本学教職員一同が責任をもってお預かりいたします。

 名城大学は、現在9学部23学科、大学院9研究科を擁する日本屈指の文理融合型の総合大学です。在籍している学生は、学部生・大学院生を合わせて約1万5千人、これまでに約20万人の卒業生を社会に送り出してきました。卒業生は、中部圏を中心に国内外の様々な企業等で活躍しており、社会から高く評価されています。また、各学部の卒業生で組織されている同窓会と卒業生全体で組織されている校友会組織は、日本各地だけでなく国外にも支部を持ち、卒業生の交流だけでなく在学生へのサポート等にもご協力いただいています。
 本学は1926年に田中壽一先生により設立された名古屋高等理工科講習所を前身としており、幾多の困難を乗り越えて新生の名城大学として変革を遂げ、現在に至っています。本学の立学の精神は、「穏健中正で実行力に富み、国家、社会の信頼に値する人材を育成する」です。本学では、この立学の精神のもとに学生一人ひとりの個性を尊重し、学歌に謳われている、「自由の学府 名城大学」として、教育と研究に邁進しています。
 また、2026年に迎える開学100周年を目標とした中長期計画MS-26戦略プランを策定し、実行しています。このプランにおいて、本学に係るすべての方々と共有したい価値観として「生涯学びを楽しむ」を掲げ、「多様な経験を通して、学生が大きく羽ばたく『学びのコミュニティ』を創り広げる」ことを目指しています。この価値観には、学生諸君が学ぶ楽しさに気付き、人生を楽しみながら生涯学び続ける人材に育ってほしい、という願いが込められています。新入生の皆様には、本日から始まる大学生活あるいは大学院生活で、ぜひ、「学びのコミュニティ」を通じた多様な経験を積み重ねて、大きく成長していってほしいと思います。

 私は、開学100周年を目前に控えての、初の名城大学卒業生の学長です。先輩として、新入生の皆様にアドバイスをお贈りします。
 社会はAIの発達などにより大きく変化を遂げ、いまや第4次産業革命が起こりつつあります。その結果、私たち大学のスタッフや皆様のご家族も経験したことのない社会になると予想されています。具体的には、今まで人間が行ってきた仕事の多くがコンピュータやロボットに取って代わられると言われています。そのような新しい社会で、直面する課題の解決において中心的な役割を担う人材として活躍できるよう、皆様にはさまざまな知識と経験を積む有意義な学生生活を送ってほしいと願っています。
 大学は知識の宝庫です。皆様が求める知識や課題の解決策は、積極的に行動することで得られるでしょう。図書館を活用することも一つの方法でしょうし、ほぼすべての学問分野を網羅している各学部の先生方にコンタクトをとって、アドバイスを受けるのもいいでしょう。
 さらに複雑な社会の中で課題を解決するためには、解決をするためのチームが必要ですし、広範な知識も必要となります。例えば、私の専門は食品科学です。特に食べ物の健康に対する効用について研究を進めています。仮に或る食品に今まで知られていなかった効用を発見したとします。その効果を持つ物質が、身体にどのように作用して効果を発揮するかを明らかにするには、薬学部の専門家の協力を得ることで効率よく研究が進みます。さらに、その効用について特許などを取得するには、法律等の知識が必要になるでしょう。また、商品化するには、販路の検討や製品をPRする販売戦略が必要となります。既にお気付きの通り、これらすべての課題を解決するのに必要な知識を持った専門家は、本学に揃っています。このようにチームを組んで研究を進めると、自分ひとりではなしえないことを達成することが可能となります。これが総合大学の強みですし、皆様はそういう大学に入学したということです。
 これからの社会には、皆様が入学した学部の専門分野だけでは解決できない問題があふれています。名城大学で広い視野と経験を得て、課題を解決できるための素養を身に付けてください。そのために本学では、正課だけでなく正課外でも多様な学修の機会を用意しています。アクティブラーニング、チームを組んで行う実験・演習、卒業研究やゼミナールなどの授業科目をはじめ、クラブやサークルといった課外活動、ボランティア活動、海外留学など多岐にわたります。これらの制度を十分に活用して人間性を磨き、どんな環境でも適応できる、知性と柔軟さを兼ね備えた人材になってください。

 皆様もご存じのように、2019年12月に大学院理工学研究科教授の吉野彰先生がノーベル化学賞を受賞されました。授賞式には私も同行いたしました。ノーベルレクチャーや授賞式で吉野先生が紹介される際、旭化成名誉フェローという肩書とともに、‘Meijo University, Nagoya, Japan’とはっきりと読み上げられました。その時の感動は今も忘れることはできません。皆様は、日本でも数少ないノーベル賞を受賞した教授がいる大学に入学したことに誇りを持ってください。そして、本学のアカデミズムあふれる雰囲気の中で充実した学生生活を送り、卒業後も吉野先生に負けない生き方をしていけられるように研鑽を積んでほしいと思います。

 学修についての話ばかりしましたが、大学生活では高校時代と比べて、行動範囲や交友関係など、自分を取り巻く世界が格段に広がります。このような経験の中にも人間力を培う材料が多々あるでしょう。責任ある行動により、多様な経験を通して自分自身を磨いていただくことも大いに期待しています。

 最後になりますが、入学にあたり皆様に自覚してほしいことがあります。
 大学生は学生と呼ばれます。高校生までは生徒と呼ばれます。このことの違いを考えてください。学生という言葉には、自ら学問に取り組む者という意味があります。40年以上前の話ですが私が農学部へ入学した時のオリエンテーションで、担当の故青木博夫名誉教授が「大学では皆さんを大人として扱います。自分で蒔いた種は自分で刈らなければなりません。」とおっしゃったことを、今でも記憶しています。大学は高校に比べて自由と感じることが多いです。しかし、一方で自分が責任を持つという義務が生じます。時として授業を休むこともあるかもしれません。欠席回数が増えて、学期末試験の受験資格が無くなったり、成績が思わしくなく進級が危ぶまれることになる場合もあります。それは自己責任だということを自覚してください。
 それから、もう一つは、時間を大切に、そして有効に使ってほしいということです。まだ入学したばかりと思っていると、あっという間に1年次を終えてしまいます。そして怠けていると、何もしないままに卒業を迎えてしまいます。何も得るものが無かったという残念な学生生活だけは送らないでください。大学生には、自分の判断で自由に使える時間がたくさんあります。この時間をどのように活用するかが重要です。「少年老い易く学成り難し、一寸の光陰軽んずべからず」という言葉を聞いたことがあると思います。この有名な言葉は12世紀の儒学者の朱熹の言葉とされ、「若い時期は短いのに学問は完成し難い、わずかな時間も無駄にしてはならない」という意味です。時間の使い方の如何で、卒業時の実力やその後の人生は大きく変わります。

 大きな夢をもって、進むべき自らの道を求め、素晴らしい人生を開花させるためにも、本日から始まる大学生活では、時間を大切にして充実した日々を送っていただくことを切に願って、新入生諸君への告辞といたします。

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