トップページ/ニュース 改正障害者差別解消法を学ぶ教職員対象研修会を開催
障害のある学生の困難を軽減する「合理的配慮」の義務化に向けて理解を深める
2024年4月に改正障害者差別解消法が施行され、障害のある学生の困難を軽減する「合理的配慮」が私立大学でも義務づけられるのを前に、本学障がい学生支援センターは2月27日、教職員を対象に「多様な特性のある学生への対応~合理的配慮の提供義務化に向けて~」と題した研修会を開催しました。
「直面する課題や悩みを共有し合う機会に」と宮嶋・障がい学生支援センター長
- 「宮嶋センター長
- 柏倉教授
2016年4月に施行された障害者差別解消法は、行政機関や民間事業者などに対し、障害を理由とする差別を禁じているほか、人手や費用など負担のかかりすぎない範囲で障害者の要望に対応する「合理的配慮」を国公立の学校に義務づけています。私立学校を含む民間事業者はこれまでは努力義務でしたが、改正法により義務化されることになります。
研修会は、改正法の施行に向けて教職員に理解を深めてもらう狙いで企画し、約50人が参加しました。文部科学省の「障害のある学生の修学支援に関する検討会」の委員で、桜花学園大学副学長の柏倉秀克教授(社会福祉学)をゲストスピーカーに招き、ミニレクチャーとワークショップの2部構成で開催。開会のあいさつで障がい学生支援センター長の宮嶋秀光・人間学部教授が「直面する悩みや課題を出し合い、共有し合う機会に」と呼び掛けました。
第1部の柏倉教授による「改正障害者差別解消法と障害学生支援-私立大学における合理的配慮を中心に-」と題した講演では、まず大学に求められる対応のうち、障害学生支援に向けた対応要領の策定状況や専門委員会の設置状況、紛争の防止・解決に関する調整機関の設置状況などが国立・公立・私立大学別に紹介され、現状では、紛争に関する調整機関の設置や入学後に受けられる支援情報の公開、支援する専任・兼任スタッフの配置、学生向けの研修が進んでいない状況について説明していただきました。
柏倉教授「丁寧に学生に対応して両者がきちんと向き合うことが重要」
- 質問も活発に
- グループワーク
続いて、柏倉教授は「合理的配慮」の内容決定のポイントとして「丁寧に学生に対応して両者がきちんと向き合うことが重要」であることや、その際に「配慮はするが、教育の本質は譲らないことが大切」であることなどを指摘されました。また、近く公表される「障害のある学生の修学支援に関する検討会」の「第3次まとめ」では、障害者手帳や診断書といった合理的配慮を決める「根拠資料」について「社会的障壁の除去が明白な場合、根拠資料の有無にかかわらず合理的配慮の提供を検討することが重要」との考え方が示されることも紹介していただきました。
第2部では、参加者が7つのグループに分かれ、支援が必要な学生にどう対応するかなどを議論したり、実際の対応事例を共有したりしました。質疑応答では「実習や実験に参加困難な場合の学生をどう評価すべきか」「教員側で配慮が必要と考えても学生が申告しない場合はどうすべきか」などの質問に対して、柏倉教授から他大学の事例を踏まえながら「代替の方法を考えるなど発想を転換して今までのやり方を変えていくことが必要」「カウンセラーや支援スタッフを通じて学生本人や保護者の同意を得ていくのがいいのでは」といったアドバイスをいただきました。
時間の関係で、すべてのグループにおける話し合いの成果を共有することはできませんでしたが、どのグループでも率直で活発な意見交換が行われました。今後、本学の重要な課題の一つとして、障害のある学生の支援をいっそう充実していく上で、たいへん意味深い研修会になりました。