トップページ/ニュース 原彰名誉教授が総合学術研究科の秋季総合コアプログラムで特別講演
大学院総合学術研究科の全教員と大学院生が一堂に会し、学問分野の違いを超えて互いに議論して交流を深め合う「秋季総合コアプログラム」が9月14日、天白キャンパスのタワー75で開催され、元副学長の原彰名誉教授が「矢田・庄内川をきれいにする会50年の歩み―泳げない川・魚が食べられない川」と題して特別講演しました。
「矢田・庄内川をきれいにする会50年の歩み」と題して両河川の実情などを紹介
- 特別講演の様子
- 熱心に講演を聴く教職員や院生、同窓生
原名誉教授は1975年から本学農学部でDNAなどの核酸を分解する酵素や虫に寄生するキノコ「冬虫夏草」などを研究。副学長のほか入学センター長、国際交流センター長、教育開発センター長、学務センター長、教職センター長なども務めたほか、河川保護の市民団体でも活動を続けており、2021年春の叙勲では教育研究功労で瑞宝中綬章を受章しました。
特別講演で原名誉教授はまず、自らもメンバーとして加わっている「矢田・庄内川をきれいにする会」が、名古屋市内を流れる矢田川と庄内川でこれまでに取り組んできた数多くの社会貢献活動の一端を解説。「庄内川まつり」や「庄内川水系にアユ遡上100万匹大作戦」、河口・藤前干潟や伊勢湾の入り口の清掃などを挙げました。
また、同会は「土岐川・庄内川サポートセンター」「土岐川・庄内川流域ネットワーク」「愛知の住民いっせい行動デー」などの市民団体や名城大学附属高校、東邦高校科学研究部などと協働して活動を展開し、国土交通省や愛知県から河川協力団体として指定を受けていることも紹介。同会が作成した「矢田川環境マップ」に基づいて矢田川流域のウオーキングを実施するなど、「アクティブラーニング」としての教育活動としても実践できることを強調しました。
「住民・企業・行政が三位一体とならなければ川はきれいにならない」と強調
- 矢田・庄内川の実情を訴えた原名誉教授
同会の始まりについて原名誉教授は、昭和49年に「高度成長経済・国土乱開発によって白濁の川となった庄内川を『昔のようなきれいな川にしないといかんなあ』と話し合ったこと」がきっかけと説明。「住民・企業・行政が三位一体とならなければ川はきれいにならない。市民は環境破壊の被害者でも加害者でもある」との考えが同会の精神として息づいており、その成果として矢田川には毎年新たな魚道がつくられ、現在では6基が完成していることを紹介しました。
総合学術研究科の「総合コアプログラム」は春季と秋季の年2回開催され、専任教員の講演や学生の発表、修了生や外部講師の講演などを行っています。今回は40人が出席し、博士後期3年で生命科学コース専修の丸尾哲平さんの学生発表、修了生で株式会社シナネンゼオミックの山森貴弘さんによる講演に続いて、原名誉教授が登壇しました。