トップページ/ニュース 吉野彰終身教授が「STATION Ai」オープン記念で特別講演
テーマは「サスティナブル社会の実現に向けて」 約150人が聴講
愛知県が整備した国内最大のスタートアップ(新興企業)支援拠点「STATION Ai(ステーション エーアイ)」(名古屋市昭和区)で11月2日、オープンを記念した本学の吉野彰終身教授・特別栄誉教授の特別講演会が開催されました。吉野終身教授は「2050年に向けてのイノベーション」と題して、サスティナブル社会の実現に向けて「STATION Ai」や若い起業家らに期待することを語り掛けました。
社会に変化をもたらす「イノベーション」を実現させる際の3つの関門を指摘
- 今年のノーベル賞にも触れた吉野終身教授
- 1階イベントスペースで開催
「STATION Ai」は、ものづくり産業が集積する愛知県で大企業とスタートアップが協業して新産業を創出しようと、同県が鶴舞公園内に建設。地上7階建て延べ2万3600平方㍍で、一般にも開放されたイベントスペースや会員ゾーンなどからなります。国内外のスタートアップ500社と約200社・団体がパートナー企業として参画し、10月31日にオープン。講演会は11月1~2日のオープニングイベントの一環として開催されました。
会場の1階イベントスペースで約150人の聴衆を前に、まず吉野終身教授はノーベル賞受賞者に触れて「今年は化学賞も物理学賞もAI絡みの受賞で、非常にショッキングだった」と明かしました。さらに「昨年の生理学・医学賞も今年の化学賞も、受賞したのはベンチャー」と指摘。そのうえで「このSTATION Aiから生まれたベンチャーが世界に最新技術を発信して世界を引っ張っていくような話が、数年先にも実現すれば」と期待しました。
続いて、吉野終身教授はノーベル化学賞を受賞したリチウムイオン電池の開発に至る経緯や受賞の背景などを解説。そのなかで、革新的な技術や発想で新たな価値を生み出し、社会に大きな変化をもたらす「イノベーション」実現の3つの関門として、孤独で試行錯誤が続く基礎研究での「悪魔の川」、次々と問題点が出てくる開発研究での「死の谷」、マーケット(市場)を立ち上げる際に大半が脱落する「ダーウィンの海」を挙げました。
「常識にとらわれない発想で考えることが大切になってくる」と吉野終身教授
最後に、吉野終身教授は「2050年までのカーボンニュートラル」が実現したサスティナブル社会について「自然エネルギーで発電した電気を使い、すべての車が連携する未来のモビリティ『AIEV』が活躍している」との見解を紹介。「1995年にモバイルIT社会に向かって世界が動き出し、私たちには想像もできない劇的な変化が起きた」と強調したうえで、イノベーションの実現に向けて「常識にとらわれない発想で考えることが大切になってくる」と呼び掛けました。
- モニターで講演を聴いた来場者も
- 愛知県の大村秀章知事や立花貞司理事長、小原章裕学長も聴講