トップページ/ニュース 森和俊・薬学部特任教授の特別講演会を市民向け公開講座として開催

演題は「小胞体ストレス応答 私たちの細胞が持っている驚異の復元力」

公開講座として開催された特別講演会で講演する森特任教授 公開講座として開催された特別講演会で講演する森特任教授

薬学部の森和俊特任教授の特別講演会が6月14日、八事キャンパス内のサイエンスホールで、本学の市民向け公開講座として開催されました。2024年4月に就任して以来、森特任教授が学外の一般の方々を対象に講演するのは初めてで、本学の学生や教職員、附属高校生も含めて200人がノーベル生理学・医学賞の有力候補として名前が挙がる著名な研究者の講演に耳を傾けました。

「誰も答えを知らないことに挑戦するのがおもしろい」と分子生物学の研究を開始

  • 「小胞体ストレス応答」について解説 「小胞体ストレス応答」について解説
  • 講演会には200人が来場 講演会には200人が来場

「小胞体ストレス応答 私たちの細胞が持っている驚異の復元力」と題した講演で、森特任教授はまず、細胞内の品質管理の働きをする「小胞体ストレス応答」について解説。細胞内にある小胞体が正常に働いていないと元の良い状態に戻ろうとする復元力が働くが、異常なたんぱく質が小胞体内にたまるストレス状態になると「復元力が働かず、がんなどいろいろな病気になる」と強調しました。

さらに森特任教授は、小胞体ストレス応答で重要な役割を担う「分子シャペロン」について説明。分子シャペロンはタンパク質の誕生から死ぬときまでの一生をケアする特殊なたんぱく質で、異常なたんぱく質を感知したり、たんぱく質の構造を安定化させたりして品質管理を担う仕組みなどを解説し、糖尿病やがん、肝臓などの病気の治療薬としての応用が期待されていることを紹介しました。

講演では、「分子生物学という学問に出合って人生ががらりと変わった」と力を込めた森特任教授。「高校までは生物嫌いだったが、誰も答えを知らないことに挑戦するのがおもしろい」と分子生物学の研究を始め、アメリカにわたってテキサス州の大学で小胞体ストレス応答に出合い、37年目を迎えたことや、強力なライバルとの研究成果の先陣争い、ノーベル賞受賞者の大隅良典さん、下村脩さんとの交流なども紹介しました。

「らせん階段を登るようにゆっくりでもいいから目標に近づいていってください」

  • 森特任教授に質問する聴講者 森特任教授に質問する聴講者

そして、自らのこれまでの研究生活を「大志を抱き、準備をして挑戦し、辛抱したり、バトルしたことも」と振り返った森特任教授。附属高校生ら若者へのメッセージとして「ネットでは自分が興味あることしか目に入らない。ぜひ新聞を読んで幅広い知識を求め、やりたいことを見つけてください」「らせん階段を登るようにゆっくりでもいいから目標に向かって近づいていってください」と呼び掛けていました。

講演に先立ち、薬学部の亀井浩行学部長が「森先生は特任教授にご就任されて以来、研究の楽しさや魅力を熱心にご指導していただき、大いに刺激を受けています。講演を通じて生命科学への興味や研究へのモチベーションを高めてください」とあいさつ。山田修平教授が森特任教授のプロフィールや業績などを紹介しました。

  • あいさつする薬学部の亀井学部長 あいさつする薬学部の亀井学部長
  • 森特任教授を紹介する山田教授 森特任教授を紹介する山田教授
  • 情報工学部始動
  • 社会連携センターPLAT
  • MS-26 学びのコミュニティ