トップページ/ニュース 建築学科の高井教授の研究室と都市情報学部の森准教授のゼミが岐阜県美濃市で「観光からみた古民家活用とまちづくり」の研究成果を発表
イベント「ミノマチヤマーケット」に参加 古民家内で模型やパネルを展示

岐阜県美濃市中心部のうだつの上がる町並みで10月4、5日に開催された物販や飲食を楽しめるマルシェイベント「ミノマチヤマーケット」に、「観光からみた古民家活用とまちづくり」の実践活動に取り組んでいる理工学部建築学科の高井宏之教授の研究室と都市情報学部の森龍太准教授のゼミが参加し、模型やパネル展示を通してこれまでの分散型ホテル研究の成果や町家の活用案を紹介しました。
地元の分散型ホテル運営会社などの協力を得て研究 2020年度からの活動の集大成
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研究成果の発表会場となった古民家
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展示した模型やパネル
高井研究室は2020年度から、古民家を使った分散型ホテル「NIPPONIA美濃商家町」の運営など、美濃市の「重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)」で古民家を活用したまちづくりに取り組む「みのまちや株式会社」と交流をスタート。2022年度からは同社と地元の建築家の協力を得て、「学びのコミュニティ創出支援事業」として「地域のまちづくり活動-宿泊施設を活用した地域まちづくり」の研究を実践してきました。
2023年度までの2年間で、空き家状況の確認や建物の解体を体験したほか、実際に町家を借りてまちづくりに生かすことができる活用方法として、3つの空き家への活用案を「みのまちや株式会社」などに提案。2024年度からは森ゼミも合流し、「観光からみた古民家活用とまちづくり」として「観光」という視点を加え、空き家活用と地域活性化の手段や観光需要の対応策なども検討しています。
空き家や古民家を活用して県内外の作家たちが手仕事作品を販売したり、ワークショップの開催や飲食も提供したりする「ミノマチヤマーケット」への参加は昨年に続いて2回目で、今回はこれまでの取り組みの集大成として幅広く市民や観光客に知ってもらおうと企画しました。2日間で高井研究室の院生と学生計10人が発表会場として借りた古民家内で交代で待機し、模型やパネルを通して市民や観光客らに紹介しました。
銭湯を改修した「湯とり空間の創出」「『音楽』のあるまち」など古民家活用5案を提案
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来場者に説明
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町の模型などを説明する高井教授
会場では、廃業した銭湯を改修して、銭湯に加えてショップや休憩・交流スペースなどを併設した「湯とり空間の創出」や、音楽スタジオとステージ、音楽工房、観客席になる中庭などで構成する「『音楽』のあるまち」など、空き家活用の5案のそれぞれの模型と説明パネル、さらにその5案が立地する場所を示した町中心部の模型を展示。訪れた人たちがじっくりと見入ったり、高井教授や学生たちに質問したりしていました。
また、両日とも古民家の2階で午後に1時間にわたり、高井教授と院生、学生がこれまでの研究成果をレクチャーしました。各地の分散型ホテルを調査・研究した発表では「事業として成立させるには、地域住民と自治体との協働が必須」などと発表者の院生が指摘しました。それぞれの空き家活用案を紹介した学生の1人は「こうした研究を通してあらためて町の良さを知ることができて良かったです」と感想を話していました。
2020年度からの活動について、高井教授は「『みのまちや株式会社』や地域の方々と濃密にお付き合いすることができ、研究室からは見ることができない地域の実情に応じた視点を吸収して、研究に生かすことができました」と振り返りました。さらに「『この場所ならこの案でどうか』と、地元の方々とまちづくりのアイデアをキャッチボールする機会を与えてもらい、学生たちにもいい経験になったと思います」と話していました。
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「湯とりの空間の創出」の模型
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レクチャーの様子
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古民家活用案をレクチャーする学生
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うだつの上がる町並み
森ゼミはまちづくりにつなげるナンバープレート調査とアンケート調査を実施
一方、森准教授のゼミは3、4年生が参加して「ミノマチヤマーケット」に訪れた人たちを対象に、来場者から美濃市の商圏を把握して、これからの美濃のまちづくりの戦略立案につなげるため、市内8カ所の駐車場を訪れた車のナンバープレート調査と、「みのまちや株式会社」が運営するホテルのフロント前でのアンケート調査を実施しました。高井研究室のレクチャーでも森ゼミの学生が参加し、調査の方法や目的などを説明したうえで「ナンバープレート調査を継続して行って経年変化をみていくとともに、分からない点をアンケート調査で補いたい」と今後の方針を説明しました。
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来場者にアンケート調査の質問をする森ゼミの学生
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ナンバープレート調査の概要を説明する森ゼミの学生