トップページ/ニュース 薬学部の森和俊特任教授が3年生に特別講義

講義のテーマは 「勉強・実習から研究へ」 

特別講義で研究について語る森特任教授 特別講義で研究について語る森特任教授
  • 森特任教授を紹介する薬学部の岡本浩一教授(左) 森特任教授を紹介する薬学部の岡本浩一教授(左)

本学薬学部の特任教授で、京都大学高等研究院の森和俊特別教授による薬学部3年生を対象にした特別講義が1127日、八事キャンパス新3号館で行われました。この講義は、研究室配属を控えた3年生が研究の意義や楽しさ、研究への取り組み方や研究に対する考え方を学び、今後の研究へのヒントにしていくためのものです。

講義に先立ち薬学部研究推進委員長の岡本浩一教授が森特任教授の経歴等を紹介し、3年生約270人が特別講義に聴き入りました。

「研究のおもしろさは、答えのない問題に挑戦すること」

講義は細胞生物学の基礎的事項の復習から始まり、研究とは先人の研究の上に新たな発見を目指す、連綿と受け継がれるものであるとし、自身が長年取り組んでいるタンパク質・オルガネラ研究がどのように受け継がれてきたかを、ノーベル賞受賞者や著名な研究者の研究内容から振り返りました。

森特任教授は、「研究は答えのない問題に答えを出す作業であり、ここに研究のおもしろさがある」と語りました。

約270人の学生が聴講 約270人の学生が聴講

「研究は全体像を把握し、新しい手法を加えるなど個性を発揮することが大切」

  • 研究熱のこもる講義 研究熱のこもる講義
  • 講義に聞き入る学生たち 講義に聞き入る学生たち

森特任教授は、細胞内の「小胞体」でタンパク質の品質管理のはたらきをする「小胞体ストレス応答」の仕組みを解明。講義の後半ではこの「小胞体ストレス応答」について、それぞれの仕組みを「監視カメラ」や「太鼓奏者」による「品質管理」や「危機管理」になぞらえ、分かりやすく解説しました。その中には、小胞体シャペロンの復元力の仕組みを解明するために、研究人生をかけて猛烈に調べ続けた苦労話もありました。森特任教授は10万個もの酵母を調べ直し、小胞体での復元力がはたらかない酵母を1個見出します。酵母の小胞体ストレス応答の仕組みが解明されたのち、哺乳類の小胞体ストレス応答の解析に進み、構造異常タンパク質を検出する3つのセンサーを発見しました。さらに、これらのセンサーがシャペロン遺伝子の転写を誘導する際に関与する共通のDNA配列を見出すことができたといいます。

「研究はアプローチの仕方一つで全く変わってくる。私は全体像を常に見て研究を進めたからこそゴールに到達できた。正しいアプローチを正しい手法で行ったことが成功につながった」と森特任教授は語り、「みなさんも興味がもてる研究の流れに入り、新しいものを加え個性が発揮できたらすばらしい。来年から頑張ってください」と学生にエールを送りました。

講義後、学生から小胞体での復元力がはたらかない酵母を10万個から1個発見するまで頑張り続けられたモチベーションを問われると、森特任教授は「遺伝学の研究者として道を拓きたい信念、思いだけ」と力を込めて研究への熱意の大切さを伝えました。

  • 質問する学生 質問する学生
  • 講義後も質問に訪れる学生 講義後も質問に訪れる学生
  • 情報工学部始動
  • 社会連携センターPLAT
  • MS-26 学びのコミュニティ