トップページ/ニュース 自動車部品電動化戦略研究センターがシンポジウム
経営学部・経済学部の公開講座を兼ねて開催

テーマは「中部・九州・東北のものづくりと自動車『電動化』の影響」

名城ホールで開催されたシンポジウム 名城ホールで開催されたシンポジウム

本学自動車部品電動化戦略研究センターのシンポジウム「中部・九州・東北のものづくりと自動車『電動化』の影響」が12月5日、経営学部・経済学部の公開講座を兼ねて、天白キャンパス共通講義棟北の名城ホールで開催されました。学生や教員、自動車関連の企業や行政の関係者ら約130人が聴講し、トヨタ自動車の拠点として自動車産業が集積する3地域での「電動化」が及ぼす影響や今後の課題と展望などについて理解を深めました。

「他社との差別化を図れる自社の強みを、いかに見つけるかが重要」と田中教授

  • 田中教授 田中教授
  • 浅野さん 浅野さん

初めに、センター長の田中武憲経営学部教授が登壇。BEV(電気自動車)の販売台数の現状について「近年、BEVの需要の伸び率は緩やかになっているが、2025年も9月までに全世界で1000万台以上も売れている」と説明。BEVシフトの影響でエンジンや駆動・伝導系の部品などが減り、自動車の構成部品の数が3万点から2万点に減少するだけでなく、車両メーカーや大手部品メーカーによる内製化による外注減、保護主義の台頭(輸出減)と輸入BEV増に伴う国内生産減の「三減」を指摘しました。

そのうえで、田中教授は電動化による中小部品メーカーへの影響として「ものづくりの現場では本質は不変だが、これまで以上に製造や加工の精度、品質の向上が求められることになる」と強調しました。さらに、深刻な人手不足による自動化・合理化や防塵対策なども必要となり、「他社との差別化を図ることができる自社の強みを、いかに見つけるかが重要」と訴えました。

続いて、株式会社デンソー九州の前代表取締役社長の浅野幸男さんが「九州での自動車部品産業の取り組みと課題」と題して講演。福岡県をはじめとする北部九州が自動車産業の集積地になった要因や地域としての強みなどを紹介し、今後、電動化に向けた自動車部品メーカー、ならびに北九州市を中心とした中小部品メーカーの取り組みと北九州市の支援策や成長戦略について説明しました。

パネリストは「ものづくりの分野でも積極的にAIの活用を」と提言

最後に登壇したアイシン東北株式会社の元代表取締役社長の奈倉伸芳さんのテーマは「東北のものづくりと自動車『電動化』の影響」。東日本大震災の発生時に社長だった経験を踏まえてハード・ソフト両面の対策を紹介したほか、部品メーカーに「行政の手厚い支援策が相当あり、うまく活用するべき」と助言。岩手県自動車産業振興アドバイザーの立場から「変化に呼応して変わることができるようにサポートしていきたい」と語りました。

講演後には経済学部の渋井康弘教授の司会進行で、会場の参加者から質問を受け付けました。「AIが自動車に及ぼす影響は?」との問いに、パネリストの三名は「アメリカではAIの開発スピードが速く、日本も早くキャッチアップしなければ」「日本が追いつくには規制緩和が必要」「ものづくりの分野でも積極的にAIを活用することが重要」などと答えていました。

  • 奈倉さん 奈倉さん
  • 講演後、渋井教授(左端)の司会進行で質問に答えるパネリスト。 講演後、渋井教授(左端)の司会進行で質問に答えるパネリスト。
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