在学生・教職員/ニュース 社会連携フォーラム2025「志から始まる共創ストーリー」開催
創造性とエネルギーがあふれる共創プロジェクトの可能性を探究
12月11日、社会連携センター主催による社会連携フォーラム「PLATFORUM 2025」をドーム前キャンパス 南館2階DS201にて開催しました。テーマは、「志から始まる共創ストーリー ~ 創造性とエネルギーあふれるプロジェクトのつくり方」で、学外ゲスト1名による基調講演、学内外の実践者2名からの事例発表、登壇した3名のパネルディスカッションなどが行われました。
参加者は、学生・教職員に加え企業・自治体・NPO関係者など多岐にわたり、約100名が来場しました。
また、フォーラムの司会進行や受付誘導などの運営を、エアライン業界に興味のある本学の学生が集まったエアライン研究グループ「M-Line」とともに行いました。
冒頭では、野口光宣学長より挨拶があり、「名城大学において社会貢献は重要な使命」と位置づけられていること、そして本フォーラムは組織や所属の枠を超えて共創を生み出す場として設立以来9回目を迎えることなどが述べられました。また、MS26の完成年度を見据え、多様な経験を通じて学生の成長を促す取り組みを続けてきたこれまでの歩みを振り返りつつ、「本日のフォーラムが、さらに多くの共創活動を生み出す起点となることを期待したい」と語りました。
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あいさつする野口光宣学長
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運営に携わるM-LINEの学生たち
基調講演「人と組織、プロジェクトがいのちのように動き出す 〜ソース原理の実践知〜」
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基調講演する嘉村賢州氏
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今回の基調講演には、NPO法人「場とつながりラボ home’s vi」代表理事であり、元東京工業大学リーダーシップ教育院特任准教授の嘉村賢州氏をお迎えし、「人と組織、プロジェクトがいのちのように動き出す 〜ソース原理の実践知〜」をテーマにご講演いただきました。
嘉村氏は幼少期、人とのコミュニケーションにコンプレックスを抱えていたといいます。しかし、学生時代に多様なプロジェクトへ関わる中でその考え方は大きく変化し、コミュニケーションの力や、人と人との間に生まれる“化学反応”の魅力に気付いたといいます。
その後、「より人間らしいコラボレーションと組織運営」を探求し、ティール組織をはじめとした次世代型組織論を日本に広める活動を続けてこられました。近年は、新たな概念として「ソース原理」の翻訳・紹介にも精力的に取り組まれています。
講演ではまず、ティール組織について、従来のヒエラルキー型の管理ではなく、メンバー一人ひとりが主体的に動き、組織目的の実現に向けて推進できる組織像として解説。管理職による統制に依存しない、新しい組織のあり方について触れました。
続いて、「ソース原理」を紹介。これはピーター・カーニック氏が発見した法則であり、アイデアがチームでつくられたものであっても、最初に“一歩踏み出す人”が存在することでプロジェクトが動き出すという考え方です。この最初の行動者を「ソース役」と呼び、その存在がプロジェクトの質や方向性を決定づけると説明しました。
さらに、イニシアチブがうまく機能しない場面で起こるソースの「3つの病理」、内的探求(インナーワーク)と外的行動(アウターワーク)の両立の重要性について具体的な事例を交えながら解説。最後に、ソース原理を深めるための「ソースジャーニー」と題した7つのステップを紹介し、参加者にとって実践的な学びの場となりました。
事例紹介① 高校生によるマイプロジェクトの広がり
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事例紹介する宮崎厚志氏
次に事例紹介として、中日新聞社の宮崎厚志氏が「なぜ我々はマイプロジェクトをせずにはいられないのか」と題し、高校生プロジェクトの広がりについて発表しました。
冒頭で宮崎氏は「高校生マイプロジェクト」の源流に言及。その起点は、「東日本大震災を受けて、大人に任せきりにせず、自分たちにも復興に向けてできることがあるのではないか」と行動を起こした高校生たちの存在であり、その動きは徐々に全国へ広がって学校教育にも取り入れられていきました。現在までに実践した高校生は累計107,057名にのぼる(NPO法人カタリバ調べ)という大きな広がりを見せています。
宮崎氏は、高校生が“やらされている”のでも、“やりたい”のとも違う、「せずにはいられない」行動の背景には、内面的な探究心と、人や経験との出会いがあると指摘。思春期に社会と自分の間で揺れ動くからこそ生まれるアイデアの価値に触れつつ、「誰かのためであり、自分のためでもある。その両立に志の本質がある」とまとめました。
事例紹介② 学生の“志”を起点としたグローバルキャリア形成の取り組み
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事例紹介する川澄未来子教授
2つ目の事例紹介として、名城大学情報工学部の川澄未来子教授より、学生の志を基点としたグローバルキャリア形成について発表がありました。川澄教授は、学部・大学院で進めている多様な教育活動を紹介したうえで、今回の中心となるグローバルキャリア形成プログラムについて説明しました。
本取り組みでは、「グローバルチャレンジ研修」として14日間の海外研修と、海外大学との感性工学分野における35日間の共同研究滞在を実施。2025年度も複数の展開を実施しており、すでに海外で研究を進めている学生もいると紹介しました。
川澄教授は、情報工学が「課題解決のための道具」であるにもかかわらず、学生は技術そのものに関心を持ちながらも、課題の側に目が向きにくい傾向があると指摘。しかし、海外に出ることで社会課題の存在に気づき、同時に日本の魅力や価値を再認識するきっかけにもなると述べました。
また、長期滞在は学生に挑戦心を芽生えさせ、国際的なつながりを築く機会にもなることから、志を育み、視野を広げるキャリア形成に大きく寄与していると締めくくりました。
登壇者らによる最後のディスカッションでは、経験を通じて自分の“コール”に気づくプロセスや、志が周囲へ広がっていくことの大切さが共有されました。
フォーラム終了後は、学生団体がピッチとポスターセッションを行い、参加者全員が交流を深めました。
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ファシリテータを務めた社会連携センター職員の白川陽一さん
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フォーラムであいさつする田中武憲教授(社会連携センター長)
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懇親会で乾杯する大野栄二副学長
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学生によるピッチの様子


