トップページ/ニュース 都市情報学部の講義「企業の経営」
海苔産業の現状や課題について理解を深める
「鬼崎漁業協同組合」の平野参事と「永井海苔株式会社」の永井副社長が登壇
都市情報学部の日隈美朱准教授が担当する2年次前期開講科目「企業の経営」の7月13日の講義で、愛知でトップクラスの海苔の生産量を誇る「鬼崎漁業協同組合」(事務局・愛知県常滑市)参事の平野正樹さんと、海苔の加工・販売会社「永井海苔株式会社」(本社・愛知県豊橋市)の代表取締役副社長を務める永井利幸さんがゲスト講師として登壇。学生約260人に愛知県を代表する海苔産業の現状や課題などについて解説しました。
この日の講義は、日隈准教授が科学研究費助成事業(若手研究)「持続可能な漁業経営の取り組み-ノリ養殖業における共乾のマネジメントを事例に-」の研究成果の一部を還元する取り組みです。海苔産業の現場での継続的な調査・参与観察を行い、生産や流通、組織運営の実態を分析するという同研究の成果を踏まえ、現場で活躍する実務家との対話を通して、地域産業の持続可能性について学ぶ狙いで企画されました。
生産者の減少対策や付加価値の高い海苔作り、食害対策なども解説
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講義する平野さん
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講義する永井さん
講義では、初めに登壇した平野さんが江戸中期に始まった愛知の海苔養殖の歴史、海苔の生産の流れと「手摘み・天日干し」から「自動の摘み取り・乾燥」という作業の変遷などを紹介。平野さんは「生産者が困っていること」として、①温暖化による高水温で生産する期間が2週間も短縮②カモやクロダイによる食害③海の水がきれいになったことによる栄養塩不足で色落ちや旨味が不足④海岸に漂着するごみの問題-を挙げました。
さらに、平野さんは鬼崎では平成元年には生産者が約120軒あり、生産枚数は約1億枚に上っていたものの、令和7年には約40軒に減少して生産枚数は約8千万枚にとどまったことを説明。「後継者がいないことが大きな課題」と明かし、海苔漁師は家族経営で加工もしていたが、海苔養殖を長く続けてもらうため、漁協が共同加工場を整備して委託加工して13年目になることを解説しました。
一方、永井さんは、75億~80億枚で推移していた海苔の需要枚数が3年連続の値上げで75億枚を下回るなど、海苔業界の現状として「生産減と消費減の『二重苦』で厳しい状況」と強調。「メーカー同士が協力し、業界全体で問題解決を目指す」として、生産者の減少対策で外国人雇用を提案したほか、付加価値の高い海苔作りを手助けしたり、カモ食害対策でAIとドローンを導入する試験を行ったりしていることも紹介しました。
海苔の価値を消費者に伝え直す「黒い海苔の日」(9月6日)など新しい取り組みも紹介
また、消費減の対策として永井さんは、海苔業界として「新しい需要の山を作ろう」と新たに9月6日を「黒い海苔の日」として正式に「一般社団法人日本記念日協会」認定の記念日として制定し、今年の9月6日には東京と名古屋で1万人を対象に商品を配布するサンプリングイベントを実施することなどを説明。永井さんは「今後もさまざまな取り組みを行っていきたい」と力を込めました。
講義では、鬼崎漁協から焼きのりが提供され、学生たちがおにぎりに巻いて食べるなど海苔を味わう時間も設けられました。また、学生からは「海外での海苔の生産量や需要はどれくらい?」などといった質問が相次ぎました。
最後に、日隈准教授は「今回の講義では、海苔業界の現状と、新たな需要を生み出そうとする挑戦について学びました。海苔産業は現在、生産者の減少、環境変化による生産の不安定化、消費量の減少、価格高騰など、多くの課題を抱えています。その中で『黒い海苔の日』は、生産者、海苔流通業者、小売が連携し、海苔の価値を消費者に伝え直す新しい取り組みです。日本の海苔文化が多くの人に支えられていることを知り、私たち消費者に何ができるのかを考えてください」と学生たちに呼び掛けました。
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海苔を味わう学生
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ゲスト講師に質問する学生
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日隈准教授


