トップページ/ニュース 白川英樹博士の「科学のバトン」を次世代へ 学生団体「SCIENCE LIGO」が特別実験教室を開催
-
学生に実験の方法を伝える様子
2026年9月5日(土)、名城大学天白キャンパスにおいて、学生団体「SCIENCE LIGO」が企画・運営する「名城大学開学100周年記念事業 ノーベル賞博士に学ぶ!未来を創る『講演』と『特別実験』」を開催しました。
本企画では、ノーベル化学賞受賞者・白川英樹博士による講演と、導電性プラスチックをテーマとした特別実験教室を予定していましたが、開催を目前に控えた8月、白川博士が逝去されたことを受け、第1部の講演会は中止としました。
第2部の特別実験教室については、白川博士の「子どもたちに実験を体験してほしい」という強い思いを受け継ぎ、予定どおり開催しました。
当日は、白川博士から直接科学を学んだ経験を持つ学生たちを中心に、SCIENCE LIGOのメンバーや名城大学の学生が実験をサポート。参加した小学5年生から高校生まで28名の子どもたちが、導電性プラスチックの合成と、その特性を生かした透明フィルムスピーカーの製作に挑戦しました。
白川博士が伝え続けた「科学のバトン」
-
開催に先立ち挨拶する伊川正樹副学長
-
SCIENCE LIGO代表の勝原千尋さん(経済学部3年)
実験に先立ち、SCIENCE LIGO代表の勝原千尋さん(経済学部3年)
「いつか先生と一緒に、子どもたちへ科学の楽しさを伝えたい」―その想いから準備を進めてきた今回の企画でしたが、博士とともに教壇に立つ願いはかないませんでした。 勝原さんは開会のあいさつで哀悼の意を表すとともに、参加した子どもたちへ 「先生は今日この教室にはいらっしゃいません。しかし、今日皆さんが行うプログラムは、先生が皆さんのために考えて残してくださったものです。私たちは今日、白川先生から受け取った『科学のバトン』を、皆さんに直接手渡すためにこの場所に立っています」と語りかけました。
「電気を通すプラスチック」を自分の手で作り、音を確かめる
-
導電性プラスチックの完成度を確認
-
完成した透明フィルムスピーカーに耳を澄ます
白川博士のノーベル賞受賞につながった「導電性プラスチック」は、本来は電気を通さないプラスチックに特定の条件を与えることで導電性を持たせた、現代の電子技術を支える画期的な素材です。
実験教室では、まず身近なプラスチックの構造(ポリマー)や、スマートフォンのタッチパネルなどへの応用例を学習。その後、参加者は白衣やゴーグル、手袋を着用し、導電性高分子であるポリピロールの合成実験に挑みました。化学反応によってプラスチックの性質が変わる瞬間を、目を輝かせながら観察する子どもたちの姿が見られました。
さらに本教室では、作った導電性プラスチックを用いて「透明フィルムスピーカー」を製作。自分たちの手で合成した素材から実際に音が鳴った瞬間、子供たちは満面の笑顔に。単に知識を得るだけでなく、「自分で試し、結果を確かめる」という科学の本質を体感する時間となりました。
名城大学が「知の継承の場」として支援
本企画は、名城大学チャレンジ支援プログラムから誕生したSCIENCE LIGOが、「科学の楽しさを多くの子どもたちに知ってもらいたい」という思いから立ち上げたものです。名城大学も会場提供や運営面で全面的にバックアップし、「知の継承の場」としての役割を果たしました。
白川博士から直接学んだ学生たちが、今度は子どもたちの隣に立ち、親身に実験をサポートする。そこには、知識の伝達にとどまらない、科学を楽しむ心や疑問に立ち向かう姿勢の継承があります。
白川英樹博士が長年にわたり大切にされてきた科学教育への熱い思いは、学生たちを通じて次の世代へと手渡されました。今回の体験をきっかけに、子どもたちが未来の科学を担う存在へと成長していくことが期待されます。
白川英樹博士のご逝去に謹んで哀悼の意を表するとともに、博士が遺された「科学のバトン」を、学生たちはこれからも大切につないでいきます。
-
スピーカーの仕組みを説明する勝原さん
-
フィルムを曲げると音の大きさが変わることを確認


