特集日本の労働力の現状・日本で働く外国人について
日本の労働力の現状
労働力はすでに減少し始めている
国立社会保障・人口問題研究所の発表によると、2013年には約8000万人いるとされていた生産年齢人口は、2027年に7000万人、2051年には5000万人を下回る可能性が指摘されている。
区分別人口の推移
出展:国立社会保障・人口問題研究所 区分別人口:1884〜2060年
労働力不足緩和のための取り組み
政府は、高齢者や女性などの就業促進を図るとともに、外国人労働者の受け入れやAIの活用によって生産性の向上を目指すとしている。
- 高齢者の就労問題
- 女性の就労促進
- ダブルワーク(副業)の容認
- 外国人労働者の受け入れ
- ロボット・AIの活用
外国人労働者の受け入れ
2018年12月、新たな在留資格である「特定技能」を設けて外国人労働者を受け入れる改正出入国管理法(入管法)が成立した。政府は、2019年度から5年間で最大34万5150人の外国人労働者の受け入れを見込んでいる。
ロボット・AIの活用
生産力を高めるための手段としてロボット・AIによる業務自動化が注目されている。
日本で働く外国人について
日本で働く外国人の数はすでに120万人以上
東日本大震災の影響を受けた2012年を除き、基本的には外国人労働者の数は増加し続けており、この傾向は今後も続くと考えられている。
日本における外国人労働者は、2017年の時点で約128万人。直近の5年間では60万人も増加しているものの、そのうち約半数は、帰国を前提とした技能実習や留学生アルバイトとなっている。
外国人の在留資格別による就労制限
在留資格 | 該当例 | 就労制限 |
---|---|---|
専門的・技術的分野 | 医療従事者・教育関係者・グローバル企業転勤者・弁護士など | 在留資格に定められた範囲でしか就労できない |
身分に基づき在留 | 日系3世などの定住者・日本人の配偶者・永住者 | 就労活動に制限なし |
技能実習 | 製造業、漁業、農業などの分野での技術習得者 | 最長5年、実習終了後には帰国しなければならない |
特定活動 | EPA看護師・介護福祉候補、ワーキングホリデー、アマチュアスポーツ選手など | 3カ月から5年の間で法務大臣が個々に指定する期間 |
資格外活動 | 留学生などのアルバイト | 週28時間以内・長期休暇中は1日8時間以内の労働時間制限あり |
※EPAは経済連携協定
出展:法務省入国管理局 在留資格一覧表、資格外活動の許可(入管法第19条)
日本における外国人労働者数の推移
出展:厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況まとめ」に基づく集計
新たな在留資格「特定技能」とは
2018年12月に成立した改正出入国管理法では、在留資格「特定技能」が新設され、国が定める14業種で外国人労働者の受け入れが可能となった。2019年4月から施行されるが、まずは介護、外食、宿泊業の3業種からスタートし、残る11業種は19年度中に試験を始めるとしている。
特定技能資格で就労が可能な14業種
- ビルクリーニング業
- 素形材産業
- 産業機械製造業
- 電気・電子情報関連産業
- 建設業
- 造船・舶用工業
- 自動車整備業
- 航空業
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 介護業(2019年4月からスタート予定)
- 外食業(2019年4月からスタート予定)
- 宿泊業(2019年4月からスタート予定)
「特定技能」1号と2号の違い
特定技能には「1号」「2号」があり、1号では最長5年、2号の場合は更新の回数制限がなく、定年まで働くことができる。ただし現状では、2号を取得できるのは建設業と造船・舶用工業の2業種に限られている。(2019年1月現在)
「技能実習」と「特定技能」その違いは?
「技能実習」は国際協力、「特定技能」は人手不足解消
1993年に導入された「技能実習」は本来、日本の技術を身につけてもらい、母国の産業発展に生かしてもらうための制度。しかし、受け入れ先の企業規模を見てみると、その半数以上が従業員19人以下の中小零細企業であり、「国際協力」よりも「人手不足の解消」としてこの制度を使っている企業が多いのが実情。また、転職が原則禁止であり、劣悪な労働環境に置かれるなど人権上の問題も指摘されている。
一方、特定技能は人手不足の解消を目的として作られた制度。原則として同一の業務の間での転職が可能であり、受け入れるための手続きも単純化されている。