トップページ/ニュース 薬学部衛生化学研究室が新型コロナウイルス変異株の簡単、迅速な識別法を確立

神野透人教授らが記者会見して発表 「市中感染の正確な把握に使ってほしい」

記者会見する(左から)青木明助教、神野透人教授、平松正行副学長、岡本誉士典准教授 記者会見する(左から)青木明助教、神野透人教授、平松正行副学長、岡本誉士典准教授
パソコン画面の融解曲線の違いを示す神野透人教授。薬学部衛生化学研究室のPCR検査装置(右) パソコン画面の融解曲線の違いを示す神野透人教授。薬学部衛生化学研究室のPCR検査装置(右)

新型コロナウイルスのPCR検査時に、変異株かどうかを簡単、迅速に識別する方法を薬学部衛生化学研究室の神野透人教授らが開発しました。従来型より感染力が強いとされる変異株への脅威が広がる中、市中感染をいち早く確認できるといい、社会実装が期待されます。

神野教授らは愛知県衛生研究所と共同で「実証実験」を行い、この成果と合わせて5月12日、記者会見して発表しました。

今回の識別法は、高分解能融解曲線分析(HRM解析法)という手法を用います。まず、ウイルスのゲノム(全遺伝情報)から、試薬(蛍光色素)を結合させたDNA二本鎖をPCRで作成。徐々に温度を上げていくと、二本鎖が一本ずつに分かれていき、その際に蛍光強度が変化します。DNAを構成する塩基の種類が1個でも違えば、温度-蛍光強度グラフの曲線が異なってきます。その曲線の違いから変異の有無と変異株の種類が識別できます。

ウイルスの実物がなくても、文献やデータベースにあるゲノム配列情報に基づいてDNAを合成する技術を導入することで解決。従来型、英国型、南アフリカ型、ブラジル型、フィリピン型、日本固有型、カリフォルニア型、インド型の8種類を識別できるようになりました。

愛知県衛生研究所との実証実験は2021年4月に3週間にわたって行いました。実物の209の陽性検体を用いて、従来型と英国型をほぼ正確に識別できました。

一般的なPCR検査の装置をそのまま使用して、いずれの変異株も90分程度で識別することが可能です。ゲノム解析に要する期間(1週間程度)を大幅に短縮できるといいます。

会見で神野教授は「市中感染が広がってクラスター(感染者集団)発生の懸念が高まっている中、その迅速性から、有効性が高いと考える。いかに使っていただけるかが技術の意義を分ける」と力説。「医療の現場で使っていただき、市中感染の正確な把握に活用してほしい」と締めくくりました。

愛知県では12日から31日までの緊急事態宣言が発令されました。この研究成果は注目を集め、記者会見には8社、17人が出席。Zoomでも参加できるようにしたため、他に5社、6人が遠隔で聞きました。

変異株の脅威広がり、注目集める

  • 研究成果を発表する神野透人教授 研究成果を発表する神野透人教授
  • 発表の様子 発表の様子

平松正行副学長のあいさつ

  • あいさつする平松正行副学長 あいさつする平松正行副学長

記者会会見では、冒頭、研究担当副学長の平松正行薬学部教授があいさつしました。

新型コロナウイルス感染症は、誰もが想像していなかったように、1年以上たっても、今なお収束の気配すら見えていません。最近では、変異株によると思われるさらなる感染拡大が続いています。早期に感染者、クラスターを見つけ、変異株にも対応した適切な対応をしていかないと、医療も社会も回らなくなってしまいます。

本学では、名城大学独自の「新型コロナウイルス対策研究プロジェクト」を立ち上げ、また、3月23日に締結した愛知県との包括協定のもと、陽性患者の検体を用いた「実証実験」もスムーズに実施することができました。本日、会見をさせていただく神野教授の技術が、少しでもコロナ感染症の収束に向けた対策の一助になればという思いで、会見を開かせていただきました。

小原章裕学長のコメント

  • 小原章裕学長 小原章裕学長

平松副学長は小原章裕学長のコメントを代読しました。 

昨年の夏に、担当部署の発案で、学長特別予算で開始した「新型コロナウイルス対策研究プロジェクト」の1つが、今回、大きく実を結んだこと非常にうれしく思っています。

今後は、学外団体や企業、本学の関連部局が協力して、この研究成果の社会実装化を目指してくれるものと思います。

『研究の名城大学』は、今後も社会に貢献できる研究を遂行してまいります。

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