特設サイト第49回 八事キャンパスの薬用植物(7)

今年の梅雨も寒暖の差が激しく、のどの風邪を患う学生をチラホラ見かけますが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

クチナシの花

クチナシの花

八事キャンパスでは、雨に打たれてローズマリーの若葉が香る日もあれば、梅雨の合間の晴天の下、クチナシの花の甘い香りが漂う日もあります。季節の移ろいを、草花の香りで楽しむために植栽したものの一つですが、これも立派な薬用植物です。植えて3年目、ようやくたくさんの花を咲かせてくれました。

クチナシはアカネ科の常緑低木で、学名をGardenia jasminoidesと呼ぶように、ジャスミンに似た香りのする大きな花を咲かせます。和名の「クチナシ」は、完熟しても果実が開裂しないことによると言われ、生薬名はサンシシ(山梔子)です。

赤く色付く前のまだ黄色い時期に採集し、果柄(かへい)、蕚裂片(がくれつへん)を除去して、陰干しして乾燥すると、写真のような外部形態を示すものとなり、これを切断して、いくつかの漢方薬に配合します。

このサンシシの薬効は、漢方の古典によれば、「清熱(せいねつ)して煩燥(はんそう)を除き、精神を安定させる。あわせて黄疸(おうだん)を治す」と表現されており、胸中の煩悶感を鎮めて精神安定を図り、胸苦しさを取り除く作用や、発熱性の黄疸に対して熱を除き、黄疸を治す作用をもつと言われています。また、目の充血や鼻血などにも用い、炎症を鎮め、充血を解消する作用もあるとされますし、さらに内服だけでなく、外用として捻挫や打撲などに消炎湿布薬として利用されています。ドラッグストアで見かける生薬配合の湿布薬には、オウバクととともに、パッケージのイラストに見ることができます。

サンシシ

サンシシ

最近は、このサンシシにも副作用に関する注意が喚起されており、サンシシを含む漢方薬を長期間服用している方の中で、腸間膜静脈硬化症という症状が生じる可能性が示唆されています。サンシシを構成生薬とする漢方薬(加味逍遙散、防風通聖散、清上防風湯、黄連解毒湯、五淋散、辛夷清肺湯、柴胡清肝湯、竜胆瀉肝湯、荊芥連翹湯など)を、5年以上とか、非常に長期に渡り服用している方で、腹痛や下痢、便秘、腹部膨満感などの症状が続く方は、お近くの医師・薬剤師に一度ご相談ください。

今年は、このクチナシの花を、一輪、二輪と研究室に持ち込み、その甘い香りを楽しんでいます。その果実の形は、将棋盤の足の意匠にも使われ、「勝負に口出し無用」という意味が込められているとか。梅雨空の下で、そんな逸話も講義でしています。

(2018年7月9日)

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