特設サイト第74回 漢方処方解説(35)辛夷清肺湯

八事キャンパスのコブシ
八事キャンパスのコブシ

コブシの蕾(辛夷)
コブシの蕾(辛夷)

10月も最後の週となりました。肌寒く感じる日も多くなってきましたが、日中は汗ばむほどの陽気の日もあります。八事キャンパスに入り、スロープを登ったところで目に入るコブシには、もうたくさんの蕾ができていました。本コラムでも過去にご紹介した薬用植物ですが、今回はそれが主薬となった処方をご紹介します。

モクレン科のコブシやタムシバ、ハクモクレンの蕾を用いる辛夷(しんい)は、「風邪(ふうじゃ)を除き、鼻閉を治す」生薬として用いられています。香りの強い、新鮮なものがよいとされ、葛根湯(かっこんとう)や柴葛湯(さいかつとう)、麗澤通気湯(れいたくつうきとう)に加味されるほか、主薬として用いられるのが辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)です。

その辛夷清肺湯は、慢性の鼻炎や副鼻腔炎に用いられる処方で、辛夷のほか、黄芩(おうごん)、山梔子(さんしし)、麦門冬(ばくもんどう)、百合(ひゃくごう)、石膏(せっこう)、知母(ちも)、枇杷葉(びわよう)、升麻(しょうま)が配合されています。 黄芩や山梔子、知母、石膏、升麻、枇杷葉は、肺を冷やし、炎症を抑える作用があるとされます。肺の熱は、呼吸器系の〝潤い〟をなくし、鼻の炎症とともに鼻づまりを起こすと考えられており、麦門冬や百合は、その肺の潤いを補うとされます。

ただ、辛夷の入った処方は、少し飲みにくい味という印象があるのですが、証の合う方は不思議と苦もなく飲めるようですから、風邪の折だけでなく、慢性的に鼻炎や鼻づまりにお困りの方は一度、この辛夷の入った処方をお試しするのもいいかと思います。

(2020年10月29日)

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