特設サイト第136回 漢方エキス製剤について

今回は漢方エキス製剤についての解説です。意外とご存じないのではないかと思います。

わが国における漢方エキス製剤は医療用および一般用として294処方あります。ともにメーカーが製造したものですが、医療用エキス製剤は医師による処方箋に基づき、病院や調剤薬局で処方されるもので、外用剤である紫雲膏を含めた148処方にとどまります。一方、一般用エキス製剤は処方箋がなくても購入することができ、薬局やドラッグストアなどで販売されているもので、294処方まで認可されているものの、すべてがエキス製剤として流通しているわけではありません。使用頻度の少ない処方は製造されていないのが実際です。その他、薬局製剤製造販売業許可をとった調剤薬局などで、薬局製剤製造販売承認を受けた品目に限って製造・販売できるものにも漢方薬は存在し、それらは216種類(236品目)あります。種類と品目の数が合わないのは、煎じ薬(湯剤(とうざい))だけでなく、散剤(さんざい)や丸剤(がんざい)といった複数の伝統的な剤型をとることがあるからです。また、配置薬の中にもメーカーが製造した漢方製剤はあり、それらは37処方あります。これらをすべて合わせて294種類の漢方製剤をわたしたちは利用することができます。

さて、ここででてきた「漢方薬の剤型」ですが、図1のように漢方薬は伝統的な剤型といわゆるメーカーが製造したエキス製剤とにわけることができます。薬局製剤では伝統的な剤型をとることができますし、それが一つのメリットです。いわゆる煎じ薬は湯剤とよばれ、葛根湯のように最後に「湯」の文字がつきます。一方で生薬そのものを粉末化したものを混合した処方は散剤とよばれ、五苓散や当帰芍薬散のように最後に「散」をつけて区別します。同様にして、生薬を粉末化して混合した処方を蜂蜜などで練り固めて成形した丸剤は桂枝茯苓丸や八味地黄丸などのように最後に「丸」がつきます。一方で、散剤や丸剤も「湯剤」のように煎じ薬として調製することもでき、その場合は「○〇散料」とか、「△△丸料」と名付けて区別しており、それ故メーカーが製造したエキス製剤には「五苓散料エキス顆粒」とか、「八味地黄丸料エキス顆粒」という表現のものが存在します。

漢方型の剤型の特徴
図1:漢方型の剤型の特徴

また、伝統的な剤型とエキス製剤とでは図2に示すような特徴があり、それぞれ長所や短所になっています。とくに、気をつけていただきたいのは、伝統的な剤型ではその有効性に原料となる生薬の良しあしが大きく影響しますし、エキス製剤ではメーカーの中では一定の品質が保たれていますが、メーカーが違うと生薬の組み合わせの割合が違う場合や用いる生薬が少し違う場合もあり、それがメーカー間の特徴となっています。それは、拠り所としている成書がそれぞれ異なるからだと思います。

漢方型の剤型の長所と短所
図2:漢方型の剤型の長所と短所

次に、実際のエキス製剤を見てみると、メーカーによっては医療用と一般用(OTC医薬品)の取り揃えにバリエーションがあり、満量処方では医療用と一般用がほぼ同じというものも存在します(図3)。一般用では、医療用に比べて安全性を優先するため、構成生薬の量を減じたものとするのも理解できますし、一般用漢方エキス製剤が第2類医薬品として流通しているため尚更です。一方で、漢方医学に習熟した医師によっては、エキス製剤を利用する際に複数の処方を併用したり、それぞれ量を加減して処方したりするなど、よりきめ細やかな薬物治療を実施することがあります。

漢方エキス製剤の実際
図3:漢方エキス製剤の実際

セルフメディケーションを推進する中で、漢方エキス製剤を活用することは一つの手段ではありますが、安全かつ効果的に使う、すなわち適正使用を実践するためには医師・薬剤師の指導が重要だと思います。漢方エキス製剤に興味のある方々はたくさんいらっしゃると思います。いろいろとお試しになる前に、まずはお近くのクリニックや調剤薬局、ドラッグストアで医師・薬剤師に是非ご相談ください。

(2026年7月23日)

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