特設サイト第42回 あいち健康の森 薬草園 2017

あいち健康の森薬草園は、「薬草を通じて、自然との共生や薬・食を学ぶことにより、県民の心とからだの健康づくりを推進すること」を目的に、2015(平成27)年4月に大府市に設置されたもので、開園からはや2年6カ月が過ぎました。もともと竹や笹が自生する粘土質の痩せた土地でしたが、多くの方々の努力により、園自体が育ってきております(第12回参照)。

先日、この薬草園に関する愛知県主催の運営懇談会があり、5月以来の訪問をして参りました。春には、群植されたジャーマンカモミールが繁っていましたが、その摘み取り後はローゼル(第40回参照)が植えられ、今は赤い蕚(つぼみ)を大きく膨らませています。

ジャーマンカモミール

ジャーマンカモミール

ローゼル

ローゼル

さて、今回は、その運営会議で取り上げられた成果と今後の楽しみについてご紹介いたします。ともに、名古屋市に本社がある松浦薬業株式会社の技術企画室のご協力の下、実施されているものです。

先にも述べましたが、もともと粘土質の土壌でしたので、土を入れてもなかなか改良されず、薬用植物の栽培に苦慮されていました。そんな折、松浦薬業株式会社から「漢方土壌改良剤を利用すること」が提案されました。この「漢方土壌改良剤」というのが非常に興味深く、実際に漢方エキス製剤を製造する過程で生じる抽出残渣を発酵させ、「漢方堆肥」にして土壌にすき込むというものでした。

ソバ試験栽培

ソバ試験栽培

昨年の8月に体験薬草農園の一区画に集中的にすき込み、隣接した区画を対照とした実験が行われました。2カ月後の10月には土が柔らかくなり、通気性や排水性が改善されたという成果が上がり、さらに本年4月からは農作物の生育への効果を検証するという実験へと移ったそうです。その結果、隣接したもともとの土地では育たなかった赤ジソやゴマはしっかりと育ち、中でも赤ジソは日本薬局方規格を超える成分含量を示すなど、目覚ましい成果が上がっていました。こうした薬用植物だけでなく、ジャガイモや早生ソバ、トウガンなどでも約2倍の収穫量を得ることができたことなどが報告され、出席者一同驚きを隠せませんでした。生薬・漢方薬メーカーならではのユニークな案であり、産業廃棄物の素晴らしい有効利用の結果であることは言うまでもありません。

また、新たな目玉として、オタネニンジンの実験栽培が進められています。 オタネニンジンは、いわゆる生薬の人参(朝鮮人参や高麗人参という名称でも知られる)の基原植物であり、漢方薬には欠かせない生薬です。以前、あいち健康の森薬草園の基本となった構想についてご紹介したように、「尾張徳川の御薬園を再現する」という狙いがあった園ですから、今回の取り組みも単に「貴重なオタネニンジンの栽培をしよう」というだけでなく、「尾張藩御薬園での人参栽培の歴史を鑑みると、その栽培文化の復活・継承は意義深いのではないか」という熱い思いを呼び覚ますものでした。今回、オタネニンジンの試験栽培が開始されたことは非常に喜ばしいことで、その成長が大きな楽しみです。

オタネニンジン

オタネニンジン

人参半屋根式栽培

人参半屋根式栽培

薬用植物園を設置し、維持して行く上で、土壌や気候が大きな問題となります。また、薬用植物によっては工夫を凝らさないと生育しないものも多くありますから、開設当初からその姿を見ることができるのも貴重な経験となります。

こうした近隣の薬草園を参考にしながら、本学でも薬草園の充実を図っていきたいですね。

(2017.10.31)

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