特設サイト第20回 漢方処方解説(5)麻黄附子細辛湯

  • 麻黄附子細辛湯

久しぶりの漢方処方解説です。

季節柄、またもや感冒に用いられる処方ですみませんが、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)を紹介します。
麻黄附子細辛湯は、麻黄(まおう)、附子(ぶし)、細辛(さいしん)の3つの生薬からなる処方で、これも漢代の「傷寒論」に収載されています。
一般に、感冒やインフルエンザなどにかかると、寒気を感じた後、すぐに発熱へと向かう経過をたどると思いますが、この処方の適応はその寒気が終始ずっと続くような感冒です。

なんとなく、わかりにくいですね。

つまり、感冒にかかったという自覚はあるものの、いつまでも背筋がゾクゾクして、体温を測ると確かに熱があるのに、あまりその発熱を自覚できない場合です。また、もともと冷え性で、熱があるからと冷やそうとしてもかえって気持ちが悪く、むしろ何かかぶって暖かくしている方が気持ちいいというような症状のときに有効です。
熱が出ても低く、なんとなく背筋が寒いというのは高齢者の感冒によくあることで(もちろん、高齢者でなくてもあることですが)、そのため「老人の感冒薬」とも呼ばれていますが、麻黄が配合されているので、使い方には注意が必要です。

麻黄の主成分であるエフェドリンは、総合感冒薬などにも気管支拡張薬として入っていますが、中枢神経系や交感神経系を興奮させる働きがあり、高血圧や循環器系に基礎疾患を抱える患者さんにはそれらの症状を悪化させる恐れがあります。また、消化器系にも作用し、胃部不快感や食欲不振を引き起こすこともありますし、男性では排尿困難を生じてしまうこともありますから、気をつけなければなりません。
とはいえ、「のどがチクチクしたら、麻黄附子細辛湯を」という口訣(くけつ)(※1)もあり、頓服(とんぷく)(※2)ですぐに効果を感じることができるなど、使いやすい漢方薬の一つとして重宝しています。

まだインフルエンザ流行のニュースは耳にしておりませんが、これからの季節はちょっとした感冒にかかりやすい時期でもあります。ドラッグストアの店頭にも数多くの漢方製剤が並ぶことでしょうし、薬剤師や登録販売者の方々とよく相談して、上手に漢方薬を使ってください。

(※1)口で直接言い伝える秘伝。

(※2)服用する時間が決められておらず、症状が出た時に服用すること。

(2015.12.17)

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